4パットを「幸運のダボ」と振り返る笹生優花 “鈍感力”がメジャー2勝目を引き寄せた!? 熾烈な五輪代表争いの行方は?

第79回全米女子オープン最終日(現地時間2日)、笹生優花(さそう・ゆうか)が3打差をひっくり返す見事な逆転劇を演じ、同大会2勝目を挙げた。

上位が崩れるのと反比例するように笹生は上り調子に

◆米国女子プロゴルフ メジャー第2戦<全米女子オープン presented by アライ 5月30~6月2日 ランカスターCC(ペンシルベニア州) 6583ヤード・パー70>

 笹生優花が、2度目のビッグタイトルを手に入れた。

 第79回全米女子オープン最終日(現地時間2日)、笹生が見事な逆転劇を演じ、同大会2勝目を挙げた。

世界最高峰のタイトルである全米女子オープンで2勝という偉業を成し遂げた笹生優花 写真:大会提供
世界最高峰のタイトルである全米女子オープンで2勝という偉業を成し遂げた笹生優花 写真:大会提供

 通算5アンダー首位タイにミンジー・リー(豪)、アンドレア・リー(米)、ウィチャニー・ミーチャイ(タイ)の3人が並び、2打差で渋野日向子、さらに1打遅れて笹生という最終日。2番バーディーの後、6番パー3で4パットのダブルボギーを叩いた笹生だったが、淡々とプレーを続け、バックナインに入って一気に躍進する。

 首位に立っていたミンジーが崩れ始めるのと対照的に、2組前で今大会最難関ホールの12番パー3をバーディーとして勢いに乗る。パー5の13番では3打目を90センチにピタリとつけて連続バーディーとし、通算3アンダーの単独首位に立つ。

 ミンジ―が12番でティーショットを池に入れてダブルボギーを叩き優勝争いから脱落していくのを尻目に、飛距離のアドバンテージもある笹生は15番で1.2メートルを沈めた後、16番パー4では右6メートルに1オンして連続バーディー。優勝に向けて突き進む。

 代わって優勝争いの相手に浮上したアンドレアも終盤崩れ、笹生を楽にさせていく。

 マイペースのプレーを続けた笹生は、17番を3パットボギーとしたが動じない。18番もグリーンにキャリーしながら手前にこぼれたボールをピタリとカップに寄せてタップインパー。通算4アンダーで2位の渋野日向子に3打差をつける優勝だ。

「今度は(日本出身の)父に捧げることができました」

キッズからのサイン攻めに応じる笹生優花 写真:大会提供
キッズからのサイン攻めに応じる笹生優花 写真:大会提供

 2021年に続いて2度目の全米女子オープン優勝。22歳11カ月での大会2勝目は史上最年少だ。

 初優勝の時は母の母国であるフィリピンの選手として出場していた笹生。同じ年の東京五輪にフィリピン代表で出場した後、父の母国である日本国籍となっている。米国人以外で同大会を複数回制しているのは、これまでアニカ・ソレンスタム(スウェーデン)、カリー・ウェブ(豪)、パク・インビ(韓)の3人だけ。笹生はレジェンドたちに肩を並べた。

 表彰式では、コースのスタッフに感謝した後、「毎日早く来て、とても難しくセッティングしてくれました」と、ジョーク交じりに笑わせる。多くの人に感謝の言葉を続け、家族の支えに触れた時、声を詰まらせ、感涙にむせんだ。

 インタビューで日本とフィリピンの2つの国の“代表”として大会2勝を挙げたことについて尋ねられ「Feels great(最高の気分)。今度は(日本出身の)父に捧げることができました。両親に恩返しができてうれしく思います」と、満面の笑みで口にした。

 また、6番の4パット・ダボについては「いつもやってしまう」と反省しつつも、「2021年の時(前回の全米女子OP優勝時)もそうだった」と振り返り、「幸運のダブルボギーなのかも」とポジティブに捉える。この“鈍感力”こそが世界最高峰の舞台で2勝を挙げる原動力になったのかもしれない。

 優勝で8月のパリ五輪出場の可能性も出てきた。出場選手は全部で60人。代表決定は6月24日時点の五輪ランキングによる。各国代表は基本的には2人まで。ただし、ロレックス(世界)ランキングを基準にした同ランキングで15位以内にいる選手なら、最大4人までが出場できる。

 日本代表候補は現在、畑岡奈紗(大会前のロレックスランキング18位。今大会44位タイ)と山下美夢有(同23位。今大会12位タイ)だが、その次にいる古江彩佳(同25位)が今大会6位タイ、そしてポイント配分の高い今大会で優勝した笹生は、大会前まで同ランキング30位。

 代表決定までに米ツアーはあと2試合残っているが、そのうち1試合はやはりメジャーの全米女子プロゴルフ選手権とあって、その動向は気になるところ。「あと2試合あるので集中してやりたい」と笹生も貪欲なだけに、熾烈な代表争いとなることが予想される。

笹生 優花(さそう・ゆうか)

2001年生まれ、フィリピン出身。アマ時代は「アジア大会」の女子個人戦で金メダル(16年)、「オーガスタ女子アマ」3位(19年)など活躍。19年にJLPGAのプロテストに合格し、20年にツアー初勝利。21年には「全米女子オープン」で畑岡奈紗とのプレーオフを制し、メジャー初制覇を達成。同年の東京五輪はフィリピン代表として出場したが、その後、日本国籍を選択した。24年「全米女子オープン」でメジャー2勝目を達成。日本ツアー通算2勝、米ツアー2勝。

【動画】笹生優花のウイニングパットに拍手喝采の渋野日向子 これが実際の映像です

【写真】全米女子オープン日本勢全21人の成績をおさらい

画像ギャラリー

優勝:笹生優花 4アンダー 写真:Getty Images
2位:渋野日向子 1アンダー 写真:Getty Images
6位タイ:古江彩佳 2オーバー 写真:Getty Images
9位タイ:小祝さくら 3オーバー 写真:Getty Images
9位タイ:竹田麗央 3オーバー 写真:Getty Images
12位タイ:山下美夢有 4オーバー 写真:Getty Images
19位タイ:岩井千怜 6オーバー 写真:Getty Images
36位タイ:尾関彩美悠 10オーバー 写真:Getty Images
39位タイ:河本結 11オーバー 写真:Getty Images
39位タイ:西村優菜 11オーバー 写真:Getty Images
44位タイ:畑岡奈紗 12オーバー 写真:Getty Images
51位タイ:吉田優利 13オーバー 写真:Getty Images
67位タイ:鈴木愛 15オーバー 写真:Getty Images
74位:岩井明愛 21オーバー 写真:Getty Images
予選落ち:櫻井心那 写真:Getty Images
予選落ち:西郷真央 写真:Getty Images
予選落ち:神谷そら 写真:Getty Images
予選落ち:藤田さいき 写真:Getty Images
予選落ち:稲見萌寧 写真:Getty Images
予選落ち:木村彩子 写真:Getty Images
予選落ち:仁井優花 写真:Getty Images
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