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- 西郷真央が手にした日本勢5人目の偉業… 「+35」の“地獄”から這い上がった不屈の闘志 「今でも信じられない」
米ツアー参戦2年目の西郷真央(さいごう・まお)が、同ツアー初優勝をメジャー「シェブロン選手権」で飾った。日本勢の女子による海外メジャー制覇は5人目の快挙。最後はプレーオフにもつれる死闘となった。
女子メジャー史上最多の5人によるプレーオフ
◆米国女子プロゴルフ メジャー第1戦
シェブロン選手権 4月24~27日 ザ・クラブatカールトン・ウッズ(テキサス州) 6911ヤード・パー72
西郷真央が劇的な5人プレーオフを制して、メジャーで米ツアー初優勝を飾った。
日本勢のメジャー優勝は、1977年「全米女子プロ」の樋口久子から、渋野日向子(2019年「全英女子オープン」)、笹生優花(2021・2024年「全米女子オープン」)、古江彩佳(2024年「アムンディ・エビアン選手権」)に続く6回目(5人目)。これで、現在の5つのメジャータイトルすべてを日本勢が制したことになる。

今季メジャー初戦「シェブロン選手権」の最終日は、タイトルの重圧に加えて難しいピン位置、強い風の中でのガマン比べの様相を示した。
優勝争いを引っ張ったのは、アリヤ・ジュタヌガーン(タイ)だ。首位に3打ビハインドの6位タイで最終組の2つ前からスタートすると、2番バーディー、4番イーグル。あっという間に首位に並ぶと、8番のバーディーで10アンダーまでスコアを伸ばして抜け出した。
だが、9番でボギーの後、苦しい戦いを強いられる。13番のボギー以降はパーを重ねるゴルフが続いた。
最終組は通算9アンダーで首位を並走する西郷とユ・ヘラン(韓)、1打ビハインドのリンディ・ダンカン(米)。早々に優勝争いから脱落したユを尻目に西郷は2バーディー、2ボギーで前半を終えた。バックナインは10番、11番、15番をボギー。なかなかパーオンしないメンタルを削られるようなプレーで6アンダーまで後退した。
4組前でキム・ヒョージュ(韓)が7アンダーでホールアウト。8アンダーをキープしていたジュタヌガーンが、18番パー5の第2打をグリーンオーバー。ラフからの第3打をミスしてボギーを叩く。同じ組のイン・ルオニン(中)はバーディーで、7アンダーが3人となった。
西郷はグリーン奥から寄せきれなかったが、3メートルのスライスラインを沈めてバーディーを奪取。土壇場で追いついてガッツポーズだ。ダンカンも18番をバーディー。女子メジャー史上最多となる5人のサドンデスプレーオフに突入した。
18番を舞台に行われたプレーオフは、勝利の女神が5人の間を一打ごとに行ったり来たりするような展開となった。西郷、ジュタヌガーンが第2打をグリーンオーバー。キム、ダンカンはレイアップ。ルオニンただ一人が上4メートルに2オンした。
3打目勝負のキムが3メートルのバーディーチャンスにつけ、ジュタヌガーンも奥から2メートルに寄せる。西郷も80センチにピタリとつけて、いずれもバーディーチャンス。ルオニンのイーグルパットが大きくオーバーし、全員にチャンスが残った。
キムのバーディーパットがカップの左をすり抜け、ダンカンはボギーで脱落が確定。ジュタヌガーンも2メートルをカップに蹴られる。ルオニンの2パット目もカップに弾かれ、誰もバーディーが取れないまま西郷の番が来た。絶好のチャンス。しっかりと沈めてバーディーを取り、優勝を決めた。
一瞬、天を仰ぎ、両手でガッツポーズをした西郷は、キャディーとハグしてうっすらと涙を浮かべる。プレーオフを戦った4人のライバルたちからも祝福のハグを受けて、勝利の喜びに浸った。
2022年はシーズン5勝を挙げるも最終戦は“35オーバー”を喫する
「夢にまで見たメジャー優勝なので、今でも信じられないです」と喜びを爆発させる。「あれが優勝をつかみ取った一打かなと思います」というのは、プレーオフ進出を決めた72ホール目のバーディーパット。「1日あれくらいのを決めきれてなかったので、プレッシャーはかかったけど決めきれないと今後勝ち切れないと思った。しっかりしたストロークをしようとだけ思って、4日間で一番いいストロークができたと思います」と振り返った。
「最後のバーディーパットは手どころじゃなく、全身震えながらストロークして。今でもその感覚が残っています。諦めずにやってきてよかったなと思います」と話しながら感極まった脳裏には、苦しかった日々が浮かんでいたに違いない。
日本ツアーで2021年に何度も優勝争いをしながら惜敗が続いたが、2022年の開幕戦で初優勝すると一気に開花。序盤戦だけで5勝を挙げたが、その後首痛から不振に陥った。同年の最終戦では通算35オーバーでぶっちぎりの最下位という地獄も見たが、そこから這い上がって約1年後に復活優勝を果たし、直後のQTで米ツアー参戦を決めた。
2024年は7試合でトップ10入り。うち2試合は2位と、優勝に手が届きかけたが勝てなかった。ルーキー・オブ・ザ・イヤー(新人賞)のタイトルは手にしたが、優勝という目標は今年へ持ち越された。
今季はここまで7試合中2試合でトップ10入り。5位タイだった「ブルーベイLPGA」では、ルーキー・竹田麗央の優勝を見守る結果となった。だが、これまでの悔しさや苦しさがメジャー優勝という最高の形で結実。それでも「自分がやらなきゃいけないことは変わらない」と言い切り、地に足をしっかりとつけている。表彰式後は大会恒例の池ダイブも決めて満面の笑み。ここからの快進撃の予感がした。
そのほかの日本勢は、岩井千怜、古江彩佳、山下美夢有が通算2オーバー30位タイ、吉田優利が通算3オーバー40位タイ、西村優菜、岩井明愛、渋野日向子が通算4オーバー44位タイ、畑岡奈紗が通算5オーバー52位タイ、竹田麗央が通算6オーバー59位タイ、勝みなみが通算7オーバー62位タイ。馬場咲希、笹生優花は予選落ちを喫している。
西郷 真央(さいごう・まお)
2001年生まれ、千葉県出身。19年に「日本女子アマ選手権」で優勝し、同年のプロテストに合格。22年にツアー初勝利を飾った。このシーズンは年間5勝を挙げる活躍でランキング5位に入っている。24年シーズンは米女子ツアーを主戦場にして、「CPKC女子オープン」「ビュイックLPGA上海」で2位の成績を残している。25年「シェブロン選手権」を制し、米ツアー初優勝をメジャーで飾った。日本ツアー通算6勝。島津製作所所属。
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