苦手コースを克服して7アンダー3位でフィニッシュ
15番パー4を終えた段階ではテレサ・ルーと並んでトップタイにいた高橋彩華。ところが、グリーンを空けてからわずか数分後に、西郷真央が第2打をカップインさせる奇跡のイーグルを奪う。
一瞬にして1打リードする立場から今度は1打ビハインドの立場になったのだ。勝つためには残り3ホールでスコアを伸ばさなければならない。

ところが、迎えた17番パー3では無情にも約1メートルのパーパットを外してしまう。スライスラインだったが、ボールがカップの左をすり抜けていったのだ。
「カラーから約12メートルのパットをイメージどおりに打ったんですが、思ったより転がらず、変な距離を残してしまいました」と振り返る。
最終18番パー5でもバーディーを奪えず、西郷との差を縮めることができなかった高橋。「もう少し伸ばせたかなという気持ちがある一方で、この風の中でいいゴルフをできたという気持ちもあります」と複雑な表情を浮かべていた。
悔しい気持ちは当然あるが、過去3度出場しながら1度も予選通過がないという苦手コースだったにもかかわらず、通算7アンダーをマークしての3位タイに満足感があったことも事実。どちらに感情を移していいのか微妙だったのだろう。
今季は全9試合に出場している高橋だが、今回の3位タイでトップテン入りの回数が5回を数え、メルセデス・ランキングでも3位につける。
好調の理由を聞いてみると、「ドライバーショットですね。昨年まではここぞというときに必ず曲げていましたが、今年はその回数が減り、フェアウェイにボールを置けるようになったのが大きいですね」と分析する。
今シーズンのフェアウェイキープ率を見ると、66・32%(57位)とそれほど高くないが、勝負どころではフェアウェイをとらえているという。
さらに、ここ数試合はパッティングの調子が上がってきているとのこと。今大会でもイメージどおりのパッティングができているため、以前のようにカップを外しても焦ることなく、「そのうち入るだろう」という精神的な余裕があったという。
できれば、その感覚を「ワールドレディスチャンピオンシップサロンパスカップ」まで維持したい気持ちも強い。なぜなら、昨年の同大会最終日を3打差つけての首位タイで迎えながら、逆転負けを喫したからだ。
「今年こそという気持ちはありますが、一つだけ不安があります。今年は茨城GCの東コースではなく西コースで開催するんですよね。東コースは好きなんですが、西コースは不得意で……」
予想外の本音を漏らしたが、昨年までの自分と今年の自分とは違うんだという自信もある。「その自信がどこまで通用するのか試してみたいですね」と、不敵な笑みを浮かべていた。
高橋 彩華(たかはし・さやか)
1998年7月24日生まれ、新潟県出身。昨季は前半戦から幾度となく優勝争いに絡んだが、あと一歩届かない惜しい試合が続いた。最強世代と呼ばれる「1998年度生まれ」としてプレッシャーがかかる中、フジサンケイレディスで悲願の初優勝を遂げた。東芝所属。