「あっという間過ぎて、何もできてない」
◆国内女子プロゴルフ<JLPGAツアーチャンピオンシップリコーカップ 11月24~27日 宮崎カントリークラブ(宮崎県) 6487ヤード・パー72>
渋野日向子が、飛ぶように過ぎていく時間について口にした。

JLPGAツアーチャンピオンシップリコーカップ3日目、渋野は1バーディー、3ボギーでプレー。
「スタートからいいバーディーチャンスにつけたのに、なかなかパットが決まらず、最終的にはショットも悪くなったのが悔しかったです。明日こそアンダーで回ってきたいです」と話した。
通算1アンダーは首位に12打差の23位タイと、残り1日で逆転優勝を狙うには苦しい位置だが、何とかいいところを見せたい気持ちが言葉になった。
2022年は、米ツアー23試合、日本ツアー3試合、そして妹・暉璃子とともに出場したシモーネ・アジアパシフィックカップの計27試合に出場。転戦で多忙な日々を過ごす中で、時間の流れがどんどん早くなっていく実感があると言う。
1週間前に米ツアー最終戦終了後に、テレビのインタビューで口にしたのが「1年がすごく早く感じるので、1日1日を大切にしないとな、と思います」という言葉。
ルーキーとしてプレーする米ツアーでの日々がそうさせるのかと思いきや、渋野の口からは想像もしなかった答えが返ってきた。
「中学生くらいから時間の流れがどんどん早くなっている気がします」
年齢を重ねるほど時の流れを早く感じるのはよくあることだが、24歳になったばかりの渋野が、10年以上前からそう感じていたとは驚きだ。
「今年も気が付けばもうすぐ12月。なんかあっという間過ぎて、何もできてない、何も進んでない感覚があり過ぎて、そう言ったのだと思います。最近は焦りのほうが多い気がします」と、心の内を掘り下げた。
プロになって、シードを取る前に日本で初優勝、そこから間を置かず全英女子オープンに優勝したのが19年のことだ。そこから間をおいて米ツアーに挑むことを決め、今年、やっとそのステージに立って試行錯誤を繰り返す日々。時間がいくらあっても足りない気持ちになるのも無理はない。
当たり前だが、時間の流れをコントロールすることはできない。しかし“持ち時間”の使い方は、自分でどうにでもすることができる。焦る気持ちを前に進むエネルギーに換えるには、どうすればいいのか。大きく羽ばたくための準備の時間をポジティブにとらえる力も問われる。渋野が持つ周囲を笑顔にし、味方につける能力も、その助けになるに違いない。
最終日は宮崎のギャラリーの前で、シーズンを笑顔で締めくくりたいところだ。それが、来シーズンへの活力となる。
渋野 日向子(しぶの・ひなこ)
1998年生まれ、岡山県出身。2019年のAIG全英女子オープンでメジャー初制覇。同年は国内ツアーでも4勝をマークし、賞金ランキング2位と躍進した。2020-21シーズンは、日本ツアーで2勝。同年に米国女子ツアーのファイナルQTを20位で突破し、今季から米ツアーを主戦場に戦う。国内6勝、海外1勝。サントリー所属。