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- 「完璧な球を打ったので満足」 今季最初の複数回優勝者となった穴井詩を支えた技術と心の源とは?
永峰咲希とのデッドヒートを制し、穴井詩の今季2勝目で幕を閉じたパナソニックオープンレディース。優勝を決めた82ヤードのウェッジショットはどのような技術とメンタルで放たれた一打だっただろうか。
「どこかで落としてきた自分の軸を発見しました」
◆国内女子プロゴルフ<パナソニックオープンレディース 4月28~30日 浜野ゴルフクラブ(千葉県) 6656ヤード・パー72>
残り82ヤードの第3打をバックスピンで30センチにピタリ。58度のウエッジで放ったスーパーショットで穴井詩がシーズン2勝目決めた。
最大瞬間風速14.4メートルの定まらない風と、時に強く降る雨。JLPGAツアー、パナソニックオープンレディース最終日は、タフなコンディションの中で首位スタートの穴井と、2打差3位タイから追い上げる永峰咲希が激戦を繰り広げた。
最終組の穴井が1番でボギーを叩き、前の組の永峰と並ぶ。6番パー5はどちらもバーディーを奪ったが。8番パー5の第3打を、永峰が直接カップに放り込んで逆転。バックナインに入った。

1打ビハインドの穴井は10番パー4、11番パー4と続けて2.5メートルの難しいパーパットを沈めてしのぎ、永峰との一進一退の戦いは終盤にもつれ込んだ。
17番パー3をバーディーとした永峰が先に通算9アンダーで待つ中、見事なショットで引導を渡した穴井。
「状況がよくわからなかったので、最悪(第3打を)入れなきゃいけないかなと思った。ちょうどいい距離。バックスピンでちょうど戻る傾斜にピンがあったので、入るところまで計算しました。入りませんでしたけど」という自信満々の勝利への1打だった。
ヤマハレディースオープン葛城に続くシーズン2勝目。通算5勝目だが、年間複数回優勝は初めてだ。「メチャクチャうれしいです。今年の目標の一つだったので」と破顔一笑。素直な喜びを前面に出した。
「(国内)メジャーで勝ちたい」という気持ちを形にして、2023年に臨んでいた。昨シーズン終了後、すぐにアマチュアからプロになる時期にもスイングを見てもらっていた石井雄二コーチに連絡を取ったのだ。2014年いっぱいで“卒業”していたコーチに頼ったのは「年初めに目標を聞かれて(国内)メジャー優勝、と言うようになったのはだいぶ前からです」という思いを実現するために他ならない。
国内メジャーと称される公式戦初戦のワールドレディスサロンパスカップ直前の今大会で、その石井コーチにバッグを担ぐことを依頼したのも開幕前のことだ。それほど、ビッグタイトルへの思いは強い。
初日のプレー後に、コーチの指示でバランスディスクから球を打ち「どこかで落としてきた自分の軸を発見しました」と、2日目に首位に立っていた穴井。雨風予報のこの日に備えて、前日も同様にバランスディスクで練習して優勝争いに臨んだ。
タフなコンディションに途中、またしても軸を見失いかけたが最後はしっかりと取り戻し「完璧な球を打ったので満足しています」と胸を張った。
国内ビッグタイトルの先に、海外のメジャーへの思いもある。「出た時には上に行きたいとは思うんですけど、まだ『勝つ』と思うまでの自信はないです」と、謙虚な言葉。だが、それだけリアルに考えていることの裏返しでもある。
石井コーチとは、スイング自体を変えるのではなくできる限り力感を抜いてクラブのパス、フェースの向きを安定させてスイングにねじれをなくすことに取り組んだ。
「ドライバーはできたりできなかった理だけど、アイアン、アプローチはすごくよくなってゲームの幅が広がった」(石井コーチ)。この日のプレーは、まさにこの言葉を形にしたものだった。
序盤戦を終えて、すべての試合で優勝者が異なる展開だった今年のツアーで、初の複数回優勝者となった穴井。飛距離のある豪快なゴルフにショートゲームの精度が加わり、怖いものなしになってきた。
穴井 詩(あない・らら)
1987年11月11日生まれ、愛知県出身。2008年にプロテスト合格。2016年「ゴルフ5レディス」でプロ初優勝を飾る。2011年からシードを守り続け、今季は12シーズン目を迎える。女子ゴルフ界きっての飛ばし屋で、若手の台頭激しい2022年シーズンもドライビングディスタンス1位(257.49ヤード)に輝いた。ツアー通算5勝。GOLF5所属。
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