コースの美しさを再確認!? 「ノンプレー」のゴルフ場イベントはゴルフ人口増加につながる？

　知人とゴルフ談義をしていたとき、興味深い話題が出ました。人生で初めてゴルフ場に行ったのにプレーしなかったというのです。

「保井さん（＝筆者）はライターだから、そういう経験をしたことがあると思いますが、われわれ一般ゴルファーはプレーしないのにゴルフ場へ行くことなんてありませんから、すごく新鮮でした」

　彼がプレーしないのにゴルフ場へ行ったのは、所属している組織がチャリティーコンペを主催し、コンペの運営スタッフとしてかり出されたからです。

　コンペの運営スタッフはプレーしないのにゴルフ場に行くことがあります。コンペ賞品の運搬、コンペ参加者の出迎え、受け付け、スタート前のルール説明、写真撮影、表彰式の準備などを何人かのスタッフで手分けしながら行ないます。

　大人数のコンペでは、主催者サイドの人間が各組に1人ずつ入ってエチケットリーダーやゲストをアテンドする役割を果たしながら、プレーしないスタッフが周辺業務をサポートするとコンペを円滑に運営することができます。

　ゴルフ場もコンペの運営スタッフが来場することがあるのは承知しているので、レストランで昼食を取ったりドリンクを飲んだりするときのために、ロッカーキーのついていない精算用のカードフォルダーを用意しています。

　ゴルフ場に行ったのにプレーしないことを業界用語でノンプレーといいます。コース撮影、レッスン取材、イベント取材、ゴルフ場との打ち合わせなど、ノンプレー案件はいろいろあります。

　個人的にはノンプレーのコース撮影がけっこう好きです。日が昇った直後と日が沈みかけたゴルフ場は普段プレーしているときとはまったく違う表情を見せてくれることがあります。

　プレーしながらコースを回っているとレイアウトがなかなか覚えられないのですが、ノンプレーだと18ホールを1度回っただけでレイアウトを覚えることができます。おそらくボールを打つことを考えているときと、コースを眺めているときでは脳の別の場所が働いているのでしょう。

　ただ、一般ゴルファーがこのようなノンプレー案件に参加する機会はほとんどありません。今のところコンペの運営スタッフというのが一般ゴルファーにとって最も可能性の高いノンプレー案件かもしれません。

　先日参加したゴルフコンペの主催者もコンペの運営を優先してノンプレーでした。そのコンペでもう1人、印象的なノンプレーの来場者に会いました。それは年輩ご夫婦のご婦人です。

　このご夫婦でゴルフをするのは夫のみで、妻はゴルフをしません。でも、2人そろってゴルフ場を訪れ、夫だけがコンペに参加し、妻はスタートホールを見送った後クラブハウスで夫の帰りを待ちます。

　前半ハーフが終わるとハーフタイムの休憩時は一緒に昼食を取り、後半のスタートもティーイングエリアで見送ります。

「いつからこのようなスタイルなのですか」と聞いたところ、なんと新婚旅行のときからずっと夫がプレーするのを妻が待つというスタイルで全国各地を旅行されてきたとのことでした。

　おそらく夫婦一緒にゴルフをしようとした時期もあったでしょうし、実際に始めたこともあるのかもしれませんが、結果的に今のスタイルに落ち着いているのは、それが2人にとって最も居心地がよかったということなのでしょう。このようなノンプレーのスタイルも非常にユニークで魅力的です。

　ゴルフ場という施設は、実はノンプレーでも十分に楽しめます。そのことに気づいているゴルフ場は近年、ノンプレーのイベントを次々と企画していますが、いまだに気づいていない施設が圧倒的に多いです。

　プレーヤーもノンプレーヤーも気軽に出入りできる施設になれば、きっとゴルフ人口の増加にもつながるはずです。