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- 決して“ズル”じゃありません! 救済ルールを賢く使った2段階ドロップで“合法的なライの改善”も可能!?
カート道の上に止まったボール。救済を受けて球をドロップする際、救済エリア内にスプリンクラーヘッドなどの「動かせない障害物」があったら、それを避けてドロップするのが普通でしょうが、ルール上“避けなければいけない”わけではありません。それをうまく利用して、自分が打ちやすい場所にボールを落とすという“裏ワザ”を使うこともできるのです。
カート道から意図的にスプリンクラーの上にドロップして…
2023年に国内外のツアートーナメントで起こったルールに関するエピソードのなかで、最も興味深かったのが米シニアツアー(PGAツアー・チャンピオンズ)の「カウリグカンパニーズ選手権」(7月13~16日、オハイオ州・ファイアストーンCC)で、09年の全英オープン覇者、スチュワート・シンクがとった「動かせない障害物」からの救済でした。外見上はカート道路の障害からの普通の救済ですが、彼の狙いは普通とはちょっと違いました。

その様子を米シニアツアーがインスタグラムに動画で投稿しています。
説明文では「スチュワート・シンクはルールとスプリンクラーヘッドをうまく利用した」と書かれています。また、投稿に対するコメントには、「彼はこのゲームに関する知識を活用した。彼はIQが高い」といった賞賛の言葉が見られます。
どういうことでしょうか。
まず、状況ですが、ボールはフェアウェイ右サイドのカート道路のすぐ右横。短いラフの上にありました。
その位置ではプレーヤーのスタンスはカート道路の上になります。そのため、シンクもカート道路=「動かせない障害物」からの救済を選択したように見えます。
しかし、彼が避けたかったのはスタンスではありません。ボールのライだったのです。
ライに問題がなければ、彼はそのままストロークするつもりでいました。なぜなら、そこなら前方に邪魔になる樹木が少なく、直接ピン方向を狙えたからです。一方、救済を受けた場合は、ボールの位置は右側深くになり、樹木がよりスタイミー(ピンとボールの間に介在)になりました。
しかし、ボールはカート道路の右端のすぐ近くにあるため、そのままでは振り抜いたクラブのヘッドが道路にヒットする恐れがありました。
そのために、シンクはやむなくカート道路からの救済を選択します。
救済エリア内にある「動かせない障害物」を避ける必要はない
救済の手順は、まずカート道路による障害を避けられる「完全な救済のニヤレストポント」を決定。次に、同ポイントを基点に、ホールに近づかない、1クラブレングスの「救済エリア」を求め、そのエリア内にドロップしなければなりません。
ところが、そこでシンクは意図的に救済エリア内のスプリンクラーヘッドの上にドロップします。
スプリンクラーヘッドも「動かせない障害物」ですが、「救済エリア」内にあれば、ルール上、それを避ける必要はありません。意図的であれ、偶然であれ、ドロップしたボールが先ほど(=カート道路)とは別の「動かせない障害物」の障害にあっても、救済は完了。プレーヤーは改めて救済を受けるか、そのままストロークするかを選択しなければなりません。
シンクは新たに救済を選択。スプリンクラーヘッドによる障害を避けられる「完全な救済のニヤレストポイント」を決定し、そのポイントを基点に、ホールに近づかない1クラブレングスの「救済エリア」を求め、そのエリア内にドロップするのですが、シンクが選んだドロップ位置というのが、最初に止まっていた地点のすぐ近く。つまり、スタンスはカート道路の上になりますが、次にピン方向を狙いやすい位置でした。
こうして、シンクはルールとスプリンクラーヘッドをうまく活用し、「動かせない障害物」からの救済のドロップを2度行うことで、合法的にボールのライを改善したのです。
ルールに関する知識は、あったほうが“わが身を助ける”という好例でしょうか。
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