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明らかに暫定球をプレーしたほうがマシなスコアで上がれそう…本球をさがさずスルーしたらルール違反になるの?

小関洋一

2023年12月26日

コラム

日本のゴルフ場では「前進4打」という独自システムがあるため、競技ゴルファー以外ではあまり暫定球を打つ機会はないかもしれません。しかし、「マエヨン」がないコースやホールもあるため、暫定球の処置はしっかり覚えておきたいところです。

本球が見つかったがために「9」を叩いた全米OP覇者

 2023年米ツアーで起こったルールに関するエピソードで、個人的にとても面白く、興味深かった一件を紹介します。

曲がったボールがセーフかどうか疑わしいときは暫定球を打つべきです 写真:AC
曲がったボールがセーフかどうか疑わしいときは暫定球を打つべきです 写真:AC

 3月に行われた米ツアー競技「バルスパー選手権」(フロリダ州・イニスブルックリゾート)の初日、15番パー4でのこと。このホールは右ドッグレッグで、フェアウェイが右に曲がる角からグリーン手前にかけて大きな池が広がっています。

 2022年全米オープンチャンピオンのマット・フィッツパトリックはティーショットを大きく左に曲げてしまいます。

 ボールは深いブッシュの中へ。紛失球の可能性があったので暫定球をプレー。すると、これがナイスショット。グリーンまでの距離が短い、右サイドの池の手前、絶好の位置に止まりました。そのためフィッツパトリックは暫定球でのプレーを望んでいたようです。その場合、次は第4打になりますが、初球が落ちた辺りの状況と比べると、ずっと有利と思えたのです。

 ところが、暫定球のほうへ向かう途中で、初球をさがすギャラリーの一人がボールを見つけ、フィッツパトリックに「ここにあったよ!」と合図を送ったのです。

 それを見たフィッツパトリックは近くのルールオフィシャルに尋ねます。「自分のボールなのか、確認しなければならないの?」。

 それに対するオフィシャルの答えは「イエス。確認しなければなりません」。

 フィッツパトリックは仕方なく深いブッシュの中に入り、ボールを確認すると、それはやはり自分の初球でした。ルール上、この時点で暫定球は「破棄されたボール」になります。

 一方、見つかった初球は、あるがままではプレーできそうにありません。「アンプレヤブル」とするしかないのですが、ボールから2クラブレングス以内も、ボールとホールを結んだ後方線上をいくら下がっても、ブッシュの中で、適当な「救済エリア」はありません。
この場合は、直前のストローク地点、つまりティーイングエリアに戻って打ち直すしかありません。

 そして、打ち直したティーショット(第3打)は、暫定球が止まった先の池の中へ。

 結果、フィッツパトリックはこのホールを7オン・2パットの9打。プロのトーナメントではめったに聞かない「クインタプルボギー」としたのです。

 それでもフィッツパトリックは、この日を3オーバーの74で終えましたが、残念ながら2日目終了時点で予選通過には2打及ばず、カットとなりました。

初球をさがさないように周囲に依頼することができる

 親切にもブッシュの中に分け入り、初球を見つけてくれたギャラリーを責めることはできませんが、フィッツパトリックにとっては正直、「余計なお世話」とぼやきたくなったかもしれません。

 ところで、このケースでフィッツパトリックは、初球が見つかったのを無視して暫定球をプレーすることはできたのでしょうか?

 残念ながらそれはできません。しかも、重大な違反になる可能性があります。

 規則18.3c(3)「暫定球を放棄しなければならない場合」に、「暫定球がまだインプレーの球になっておらず、そして元の球かもしれない球が見つかった場合、そのプレーヤーはその球を確認するために合理的なあらゆる努力をしなければならない。そうしなかった場合、委員会がその行動をゲームの精神に反する重大な違反であると決定したときは、規則1.2aに基づいてそのプレーヤーを失格とすることができる」と規定されています。

 反対に、初球が見つかる前であれば、プレーヤーは初球をさがさず、さっさと暫定球をプレーしても違反ではありません。

 規則18.3c(2)「暫定球がインプレーの球となる場合」に、「元の球があると推定する場所よりホールに近い箇所から暫定球をプレーした場合」という規定があり、フィッツパトリックの場合も、初球が見つかるより先に暫定球をプレーすれば、それがインプレーのボールとなりました。

 先の規則18.3c(3)には、「プレーヤーが暫定球でプレーを続けたい場合、そのプレーヤーは他の人たちに元の球を捜さないように依頼できる、しかし、彼らに従う義務はない」とも書かれてあります。

 ツアートーナメントでは、周りを囲むたくさんのギャラリーやオフィシャル、ボランティアスタッフに、「ボールをさがさなくていいから」と大声で求めることはできないでしょうが、一般アマチュアの場合(競技の場合も含め)は、キャディーや一緒に回るプレーヤーたちに、そう依頼して暫定球でプレーを続けることができるでしょう。

 もちろん、周りのプレーヤーは「そうはさせじ」と、急ぎ初球をさがし、見つけてプレーヤーの目論見をくじくこともできます。

「前進4打」のローカルルールで暫定球をプレーできないコースもありますが、打つことができるコースでは、頭に入れておいたほうがいいルールでしょう。

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球がレッドペナルティーエリアにあることが分かっているか、事実上確実で、プレー ヤーが救済を受けたい場合、プレーヤーには3つの選択肢がある。それぞれ1罰打で、 プレーヤーは次のことができる。 (1)直前のストロークを行った場所に基づき救済エリアから球をプレーすることによっ てストロークと距離の救済を受ける。 (2)ホールとX点を結んだ後方線上のペナルティーエリアの外に球をドロップすること によって後方線上の救済を受ける。 (3)ラテラル救済を受ける(レッドペナルティーエリアに限る)。救済を受けるための基点 はX点で、球は2クラブレングスでX点よりホールに近づかない救済エリアの中にド ロップし、その中からプレーしなければならない。(ゴルフ規則 17.1dより抜粋)
1.後方線上の救済は「線の上」にドロップしなければならなくなった
2.救済後、風でボールが再び池に入ったら「無罰でリプレース」
3.間違ってインプレーでない球をリプレースしてパットした「2罰打→1罰打」
曲がったボールがセーフかどうか疑わしいときは暫定球を打つべきです 写真:AC
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