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- 「カート道路からの救済」 “残り距離”によって左右どっちにドロップすべきか変わるケースがあるって知ってた?
カート道路から無罰の救済を受ける場合、たいていは“目分量”でカート道路の右側か左側かを判断していると思いますが、残り距離によって変わってくることがあるのをご存じでしたか?
馬場咲希が「4罰打」を課されたケースも
ジェネラルエリアの「異常なコース状態(動かせない障害物、修理地、一時的な水)」がプレーの障害になった場合、プレーヤーは無罰の救済を受けることができます。通常は「完全な救済のニヤレストポイント」を基点に測った救済エリアにドロップすることになります。そして、そのニヤレストポイントは、その障害がなければ、そこで使用したであろうクラブで決定しなければなりません。ゴルフ規則の「完全な救済のニヤレストポイント」の定義には次のように書かれています。
「この基点を推定するときには、プレーヤーはそのストロークで使用していたであろうクラブの選択、スタンス、スイング、プレーの線を特定する必要がある」
そうしなければ、正しいニヤレストポイントにならず、結果、「誤所からのプレー」(2罰打)になる可能性があります。
全米ゴルフ協会(USGA)がシェアするルール解説動画に、そのことを分かりやすく例示した動画があるので、それに沿って説明しましょう。
プレーヤーのボールはホールまで68ヤードの距離にあるカート道路の上に止まっていました。そこでプレーヤーは、カート道路の障害がなければ使うはずだったロブウェッジを手に、その障害が解消され、かつホールに近づかない「完全な救済のニヤレストポイント」を決定します。
道路の左側にポイントを求めた場合、ボールからの距離は6フィート(約183センチ)。反対の右側のポイントは5フィート5インチ(約165センチ)なので、「完全な救済のニヤレストポイント」はカート道路の右側になります。
しかし、ボールが止まった箇所がホールまで230ヤードのカート道路上だったときは、プレーヤーはより長いクラブ(ここでは3番ウッド)でニヤレストポイントを決めなければなりません。その場合、左側のポイントまでの距離は6フィートで変わりませんが、右側は6フィート5インチ(約196センチ)になるため、「完全な救済のニヤレストポイント」は、カート道路の左側になります。
そして、同ポイントから1クラブレングス(プレーヤーが持つ、パターを除く最も長いクラブ=通常はドライバーで計測)のホールに近づかないエリアが「救済エリア」となり、そのエリアにドロップし、同エリア内にボールが止まれば救済処置は完了です。
という救済の手続き(処置の基本的進め方)がこの動画で示されています。
この手続きですが、2年前の「住友生命Vitalityレディス 東海クラシック」で馬場咲希が誤認。ニヤレストポイントの位置を、1クラブレングスの救済エリアを計測するためのドライバーで決定していたことから、結果的に「誤所からのプレー」が2度あったと判断され、計4罰打を課されたことがありました。
必ずしも規則が推奨する手続きをとる必要はない
ところが、この動画では最後に「ルール上、次にストロークをシミュレートしてニヤレストポイントを決めたり、ドロップする前に救済エリアの範囲を物理的に測定する必要はないので、この救済は数秒で終えることができます」と、実際のスピーディーな手順が示されています。
現実的に「完全な救済のニヤレストポイント」がほぼ推定できる状況であれば、1クラブレングスの「救済エリア」も推定できるので、そのエリア内に余裕を持ってドロップすれば、いちいち厳密にエリアを測定する必要はないのです。
ゴルフ規則の「完全な救済のニヤレストポイント」の定義には「プレーヤーは選択したクラブを持って実際のスタンスをとったり、スイングしたりすることによってそのストロークを試してみる必要はない(しかし、プレーヤーが正確に推定をするためには通常はそうすることが勧められる)」とあり、さらに「ゴルフ規則のオフィシャルガイド」には「完全な救済のニヤレストポイントを決定するための推奨される手続きがあるが、規則は(それを)プレーヤーに要求していない。プレーヤーはその結果として規則の要件を満たさない救済エリアに自分の球をドロップして、その後にその球をプレーしたときにだけ罰を受ける」とあります。
つまり、規則が推奨する手続きをとらなかったことに対する罰はなく、「誤所からのプレー」を行ったときにだけ罰を受けるということ。その正しいエリアは1クラブレングスの半円の広さがあるので、ルールを理解していれば、余裕を持ってスピーディーに処置できるでしょう。
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