- ゴルフのニュース|総合ゴルフ情報サイト
- 記事一覧
- コラム
- 「ネットで誹謗中傷」は日常 「キャディーにストーカー」も… ゴルフ場が対策に乗り出した“カスハラ”の生々しい実態とは?
アコーディア・ゴルフがカスタマーハラスメントに対する基本方針を1月8日に発表しましたが、実際のところ、ゴルフ場の現場はどのようなことに悩んでいるのでしょうか?
客とスタッフのやりとりが多いゴルフ場はカスハラが起こりやすい
昨今、接客業などを中心に社会問題となっているカスタマーハラスメント。通称「カラハラ」は、ゴルフ業界でもたびたび指摘されてきましたが、2月からPGMと兄弟会社になり、世界最大級のゴルフ場を保有するグループとなるアコーディア・ゴルフが、ついに「カスタマーハラスメント対応基本方針」を1月8日に発表しました。

内容としては、カスタマーハラスメントの定義や適用範囲、主な事例などが記され、悪質な行為には警察や弁護士と連携して厳正に対処し、従業員ひとりひとりを守っていくといった指針や対応策が明記されています。
実際、ゴルフ場の現場ではどのようなカスハラに悩まされているのでしょうか。ルールやマナーの啓蒙活動を積極的に行っている一般社団法人 静岡県ゴルフ場協会事務局長の吉田真之氏は以下のように話します。
「やはりキャディーに対するカスハラが深刻で、一番報告をもらうことが多いです。事例としては、『可愛いね』『ゴルフ終わったら飲み行かない?』など、身体的なことを言われたり、しつこく誘われたりして、迷惑しているという話をよく聞きます」
「また、そういった行為がエスカレートして、とあるお客様が業務終了後のキャディーを追跡して、自宅を特定されてしまった事件もありました。それ以来、出社できないといったストーカー被害のようなこともあったので、とくにキャディー関連の事柄に関しては注視して対応しています」
ラウンド前に「○○ちゃんを付けて」と、キャディーを指名するサービスがないにもかかわらず強引にスタッフへ要求したり、「言われた通り打ったのにラインが違うじゃないか」と、コース上で理不尽に叱責するゴルファーも一定数いるそうです。
また、近年エスカレートしているSNSやインターネット上での誹謗中傷にも気をつけていると吉田氏は話します。
「最近はインスタグラム等SNSを活用して集客や採用につなげる取り組みも行っていますが、なるべく顔のアップの写真は載せないなど、個人が特定されないような対策をしています」
ゴルフ場側に直接苦情をいわずに、ネット上の口コミで個人名を出して攻撃したり、ゴルフ場をけなすような発言をする人もかなり増えているそうです。
宅配便の取り扱いやクルマからの積み下ろし時の“疑われない”配慮
また、日本ゴルフ場経営者協会(NGK)の大石順一専務理事は「クラブやキャディーバッグを一時的に預かる際にトラブルが起きやすい」と話します。
「遠方から来場するゴルファーは、ゴルフ場にキャディーバッグを先に送るケースがありますが、移送中の衝撃が原因でクラブに傷がつくことがまれにあります。当然、ゴルフ場側に非はありませんが、宅配便用のカバーを外した状態にしてしまうと、スタッフが雑に扱ったのではないかと疑われ、何時間も怒鳴られるようなことがありました」
「それ以来、ゴルフ場ではカバーを外さず、送られてきた状態のままお客様に渡すことを徹底するようになりましたが、お客様のクルマからバッグを下ろすときやカートに積むときも同様で、相手に誤解を与えないような工夫することもカスハラを未然に防ぐ対策といえます」
昨今では、人件費を削減するために無人精算機を取り入れるゴルフ場が増えていますが、スタッフとゴルファーとのやりとりが最小限になるため、トラブルが起きづらくなるメリットもあるそうです。
最後に大石氏は「カスハラへの最も有効な対策は、会社として方針をしっかり打ち出し、断固として認めないとアピールすること」と話します。世界最大級のゴルフ場グループとなる見込みのアコーディアが明確な指針を出したことで、日本のゴルフ場全体のカスハラ抑制につながることが期待できます。
最新の記事
pick up
ranking