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コラム

前澤友作氏のプライベートコースはかつて年間6万6000人利用の人気パブリックゴルフ場だった!/シリーズ『ゴルフ場減少時代』

2025.02.10 小川 朗(日本ゴルフジャーナリスト協会会長)
ゴルフ場 シリーズ ゴルフ場減少時代 前澤杯 国内男子ツアー 小川朗 ゴルフ現場主義!

2025年2月6日、注目のゴルフ場が公開されました。その名も「MZ(エム・ズィー) GOLF CLUB」、実業家の前澤友作氏が所有するプライベートコースです。そこで、デイスターGCから現在の「MZ(エム・ズィー) GOLF CLUB」までの変遷を追ってみました。

一風変わった運命をたどった「MZ GOLF CLUB」

 2025年2月6日、注目のゴルフ場が公開されました。その名も「MZ(エム・ズィー) GOLF CLUB」。かつてZOZOのトップとして米PGAツアーの「ZOZO CHAMPIONSHIP」の日本開催を実現した「前澤(まえざわ)」氏と、地元「睦沢(むつざわ)」町に共通する「MZ」が由来するコースは、前澤氏の手に入るまで、一風変わった運命をたどった有名コースでもあったのです。

「MZ GOLF CLUB」の前身はデイスターゴルフクラブ。大手ゼネコンの大林組がバブル真っただ中の1990(平成2)年にオープンさせたコースです。

 接待を目的に作られたため、クラブハウスは当時としても目を引くほどの豪華な造り。その頃でも新設の27ホールは希少でありながら一般募集は行わず、4500万円(入会金500万円、入会保証金4000万円)の縁故募集で500口近い入会があったといいます。

国内男子ツアー「前澤杯 MAEZAWA CUP 2025」の会場として初めて公開された「MZ(エム・ズィー) GOLF CLUB」 写真:清流舎
国内男子ツアー「前澤杯 MAEZAWA CUP 2025」の会場として初めて公開された「MZ(エム・ズィー) GOLF CLUB」 写真:清流舎

 そのため、当時このゴルフ場は一般ゴルファーへの知名度は「ほぼゼロ」。正会員はすべて法人の、知る人ぞ知るゴルフ場として歴史を重ねていくのです。

 しかし21世紀に入ると世相も一変。バブルは弾け、ゴルフ場の倒産ラッシュが起きる日本列島にハゲタカファンドが舞い降りて来ました。景気の後退とともに法人の体力も落ちていきます。企業の多くが、会員権を持つ余裕すらなくなりました。

 デイスターもオープンから20年経った2010年秋、会員すべてに4000万円の入会保証金を一括で返還。高級接待コースの衣を脱ぎ捨て、パブリックコースとして新たなスタートを切ることになります。返済総額は推定で200億円近いとウワサされました。

 しかし法人専用に特化してきた20年の歳月が、強烈な逆風となってしまいます。知名度の低さがたたり、パブリック元年は27ホールでありながら3万人の来場者にとどまりました。ここから新しいデイスターは次から次へと再生への手を打っていきます。まずは知名度アップのために首都圏のゴルフ場に”キャラバン営業“。セルフ無料券と一緒にパンフレットを配布しました。

 コースの美しさと豪華なクラブハウスには定評があっただけに、少しずつ首都圏のゴルファーの興味を引くようになります。そこに2013年、圏央道が開通。木更津北インターから1時間かかっていたのが、市原鶴舞インターから14キロとなり都心からの所要時間は20分短縮され、集客の追い風となります。

 9ホールずつクローズしてコースに自走式カートの動線を確保して案内板も設置。セルフプレーの環境を整備してからはコース内の渋滞対策にも先進的に取り組みます。

 9ホールごとにマーシャルを配置し、渋滞が発生すると同時に現場へと急行。バンカーをならしたり、ピンを持ったりのキャディー業務でサポートし、遅れていたグループを“平常ダイヤ”に戻す役割を担い続けました。

 芝も5年かけてペンクロスベントから007へと移行し、ついには11フィートの高速ベントが完成。パブリック移行とともにスタートした割引が受けられる友の会のメンバーもコースの評判とともに右肩上がりに増え、7年で400人を突破しました。

 さらに力を入れたのが女性の集客。パウダールームを導入しロッカーも拡張。毎月1日にはプチケーキを無料にするなど、きめ細かいサービスで客足が伸びていきました。ついに2016年は年間6万6000人と来場客を倍増させました。

前澤氏の夢は「ジュニアゴルファー育成の地」

 しかし2021年8月31日、大林組はホームページでコースの営業終了を発表するのです。その内容は、以下のようなものでした。

「大林組の連結子会社である茨城グリーン開発が所有・運営するゴルフ場『デイスターゴルフクラブ』(千葉県長生郡睦沢町、27ホール)の営業を、2021年12月30日をもって終了することといたしましたのでお知らせいたします。お客様におかれましては、1990年の開場以来、長きにわたりご愛顧いただき、誠にありがとうございました」

 こうして首都圏のゴルファーに愛されたデイスターは31年に渡る歴史に幕を下ろしたのですが、やがて転売先として前澤友作氏の名前が挙がるようになります。千葉県鎌ケ谷市出身で、6年前に「ZOZO CHAMPIONSHIP」を誘致した時も開催コースに関して「千葉以外は嫌だ」としつこくリクエストしたほどの「千葉愛」を抱いている前澤氏。

 2月6日の会見でも「住民票も千葉市に置いているし、千葉に貢献したいという思いが強かったので、当然自分のプライベートコースを買う場所も、千葉でずっと探していました」と告白しています。

 デイスターの閉場から間もない2022年1月。「周辺を森に囲まれ、電線や建物が一切見えない」美しいコースが醸し出す素晴らしい雰囲気にほれ込んだ前澤氏はデイスターを購入。コース整備を進め、今年4月の「前澤杯」の開催にこぎつけたわけです。「千葉で(トーナメントを)やれることは本当に光栄ですし、それに誇りも持っています。ずっと千葉に貢献していきたい」と語った後、筆者の「このゴルフ場をこれからどうして行きたいのか」という質問に、前澤氏はこう答えています。

「このゴルフ場をそもそも買わせていただくときに、元々の持ち主の方に『僕は日本のゴルフ業界を盛り上げていきたいんだ』というお話を再三させていただきました。その中でも将来的に僕がチャレンジしたいのは今回の大会だけじゃなく、ジュニアゴルファーの育成にすごく力を入れたいと思っています」

「それに応じたアカデミー、そういう施設を作って次世代の石川遼プロや松山英樹選手のようなプロが出てくるようなきっかけになる、ジュニアゴルファー育成の地みたいになるといいなと。実はそんな夢を持っていて、今回の前澤杯というのは、それにつなげていく大事な第一歩だと思って考えています」

 前澤氏はコースの改良にも意欲を燃やしています。「実はまだまだ自分自身満足していなくて、すでにコース設計者なんかとも相談をさせていただいて、徐々に改良していく計画もございます。

 この大会が続く限り、毎年毎年新しい姿をみなさんにお見せできることになるでしょうし、基本的にはどんどん難しくなっていく方向ですが、それに応じてアマチュアのみなさんにもフロントの簡単な場所から打てるような準備をさせてもらいながら、引き続き楽しんでもらえるようなコースを考えたいと思います」と熱っぽく語っていました。

 すでにグリーンも高速に仕上がり、プレーした石川遼プロも「グリーンとグリーン周りは明日大会があってもおかしくない状態。今日の時点で12フィート弱くらい出ていて、本当にグリーンが難しすぎるくらい難しかったです。なかなかツアーでもこれだけのスピードを、狙って出せるというのも難しいことなので、本当に管理してくださっている方々も素晴らしいなと思います」と絶賛していました。

 千葉は日本最多の33コースが散在する市原市が「ゴルフの聖地を目指す」と宣言するなど、ゴルフが盛んなお土地柄。前澤氏のMZGCも、将来のスター選手を生み出す夢の施設になる可能性を秘めています。

取材・文/小川朗
日本ゴルフジャーナリスト協会会長。東京スポーツ新聞社「世界一速いゴルフ速報」の海外特派員として男女メジャーなど通算300試合以上を取材。同社で運動部長、文化部長、広告局長を歴任後独立。東京運動記者クラブ会友。新聞、雑誌、ネットメディアに幅広く寄稿。(一社)終活カウンセラー協会の終活認定講師、終活ジャーナリストとしての顔も持つ。日本自殺予防学会会員。(株)清流舎代表取締役。

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