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初開催「日本女子シニアオープン」が「2025年問題」で果たす役割とは? 「男5:女1」の比率をゴルフ界は変えられるか【小川朗 ゴルフ現場主義!】
女子シニア世代初のナショナルオープンとして開催された「日本女子シニアオープンゴルフ選手権 太陽生命 元気・長生きカップ」は、大本命・不動裕理が9アンダーで2位に4打差をつける完勝。初代チャンピオンの座に就きました。この大会が女子ゴルフの発展に果たす役割とは?
大本命・不動裕理が9アンダーで2位に4打差をつける完勝
女子シニア世代初のナショナルオープンとして開催された「日本女子シニアオープンゴルフ選手権 太陽生命 元気・長生きカップ」は、大本命・不動裕理が9アンダーで2位に4打差をつける完勝。初代チャンピオンの座に就きました。

レギュラーツアー50勝、2000年代に一時代を作った不動の強さは、48歳となった今も健在であることが、今大会で改めて証明された形です。
不動のストロングポイントはその実力ももちろんですが、「無事これ名馬」とも呼ぶべき故障知らずの健康体であることも見逃せません。プロ生活29年を振り返ってもらいましたが、病気もケガも「確かにほとんどないですね」。その秘訣は「ちょっとした変化に気づくこと」。体調に対して敏感であるからこそ、危機回避能力に優れ、長く一線で頑張ることができているのでしょう。
そんな不動の優勝は、今大会の特別協賛社である太陽生命にとってもうれしいニュースに違いありません。同社は4月21日付のニュースリリースで、こう宣言していました。
「ゴルフはコース状況を把握し戦略を練るなどの『思考』、コースを歩きボールを打つという『運動』、仲間との会話による「コミュニケーション」を同時に行う競技であり、認知機能を向上させる可能性が高いスポーツであると考えられています。 当社は2020年から『JLPGAレジェンズツアー 太陽生命 元気・長生きカップ』の開催を通して『認知症予防』『健康寿命の延伸』といった社会的課題に取り組んでまいりました。このたび新たに創設された本大会が女性ゴルファーの目標となり、また健康寿命の延伸等の社会的課題の解決に資する大会となることを願うとともに、さらに社会の元気・長生きに向けた取組みに貢献してまいります」
今はまさに「2025年問題」の真っただ中。ベビーブームの1940年代後半に誕生した約800万人の「団塊の世代」が全員75歳の後期高齢者となって迎えたのが、まさに今年なのです。人口のボリュームゾーンを構成するこの方たちに望まれるのは、介護なしに健康で楽しく過ごせる日常です。
人口の3割に迫ろうとする高齢者が病院通いとなれば、医療費や介護費などの社会保障費が上昇し、国の財政を圧迫するのは目に見えています。
そうならないようにするための、最適な手段の一つがゴルフ。一昨年の8月に都内で行われた「R&Aジャパンゴルフサミット」の席上、ゴルフが心身に与える好影響についてのリポートが報告されています。その中で特筆すべきは「歩きのゴルフは約6~8キロを歩くため有酸素運動を提供し最大2000キロカロリーを消費するため、慢性疾患の予防と治療に役立ちゴルファーはゴルファーをしない人より約5年間長生き」であるという指摘。まさに2025年問題の対策に、ピッタリのスポーツであることが分かります。
それだけではありません。認知症の予防にもゴルフは役立つというのです。2018年に国立長寿医療研究センターは「身近なゴルフ運動が、地域在住高齢者のある種の記憶機能に好影響をもたらすことを実証した」ことを発表。平行する形でデュアルタスク(運動しながら頭を使う)が認知症予防に効果的であるという説も、医療関係者や介護の現場でも、広く語られるようになりました。
ゴルフは、有酸素運動のウォーキングをしながら、残り距離の計算や風への対策、林や池を避けるための状況判断などを同時に行う、まさにデュアルタスクのスポーツ。ゴルフシミュレーターや練習場を併設するデイサービス施設も登場し、利用者の拡大に成功している例も出現しました。
不動らシニア女子プロが「年齢以上のゴルフ」を見せる意義
「太陽生命」の開催意図でもある「今大会が女性ゴルファーの目標となること」についても、成功と言っていいでしょう。今大会は日本タイトルに昇格したことで、アマチュア選手にも門戸が開かれ、18人がプロと一緒に試合でプレーする機会を得ました。

11オーバーの63位タイでローアマチュアに輝いた堀野恵美さんは「初めての大会で皆さんに優しくしていただき、とても楽しかったです。プロは状況判断がすごく、どんなところからでもピンを狙っていく。本当に勉強になりました」と、プロの球筋や技術の豊富さを吸収した、至福の体験を振り返り満面の笑み。それは参加したアマチュアに共通する喜びで、今大会を起点に全国の女性ゴルファーへと広がっていくことが期待されます。そうした動きは、女性ゴルファー増加の夢も抱かせます。
憧れの存在として、表彰式ではアマチュアゴルファーたちに囲まれ、記念撮影をねだられていた不動も「これからはそういう(アマチュアと試合でプレーする)ことも増えていくんじゃないかな」と自らの使命をしっかりと自覚している様子。日本のシニア・レジェンズツアーは45歳からが基本ですが、グローバルスタンダードは50歳から。
「とかくレギュラーツアーにばかり目が行きがちですが、ステップ・アップ・ツアーには30代で頑張っている選手が多いですし、われわれの世代でもレジェンズの試合もちょっとずつ増えて、40歳くらいからレジェンズを目指してもう一回頑張る選手も多い。でも、今まで20歳のゴルフを見ていた人が急に50歳のゴルフを見ても、ちょっと物足りなさを感じると思うんです」と続けて、これからの課題についても口にしました。
「距離も違うし、この年齢で頑張っていて、年齢以上のゴルフをギャラリーの人にもそういう考え方というか変化が、浸透しないとな、と思います。そういう意味ではもうちょっと長い目で見ないと難しいんじゃないかなと思います」(不動)
スタートしたばかりの日本女子シニアオープン。今年はJLPGA(日本女子プロゴルフ協会)のレジェンズツアーとは一線を画した形で開催されたこともあり、JLPGA関係者という立場では誰も現地にいなかったのが残念ですが、今後はこの大会をいい形で利用してレジェンズツアーの試合数を増やしていくことが重要になります。
それが喫緊の課題であることは確かですが、そのためには2025年問題に強い保険会社や健康、介護、終活関連のスポンサーにアプローチするJLPGAの営業力も要求されます。
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