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霞ヶ関CCでの日本ジュニアは今年限り!? 酷暑から生徒守る改革が急務も開催地・時期の変更には課題山積【小川朗 ゴルフ現場主義!】
8月22日まで埼玉県の隣り合う2つの名門コース、霞ヶ関CCと東京GCで開催されていた「日本ジュニアゴルフ選手権」は、熱中症予防のため男女ともに当初の54ホールから36ホールに競技短縮されました。開催地や時期について、選手の安全に配慮する立場から疑問の声が上がっています。
本来36ホールでは世界アマランキングのポイントにならない
乗用カート導入か、開催コースの変更か、それとも開催時期の変更か。「ジュニアゴルファー日本一決定戦」が「命の問題」に直面しています。8月22日まで埼玉県の隣り合う2つの名門コース、霞ヶ関CCと東京GCで開催されていた「日本ジュニアゴルフ選手権」は、熱中症予防のため男女ともに当初の54ホールから36ホールに競技短縮されました。

とりあえず異例な形で開催された試合は終わりましたが、果たしてこれでよかったのでしょうか。ラウンド数が多いほど、多少のミスをしても挽回する力のある実力者が有利になりますが、短期決戦ではそのチャンスが少ない分、勝敗の行方は運に左右されやすい要素が増えます。
また今回は例外措置となるようですが、本来54ホールでなければ世界アマチュアランキングのポイント加算トーナメントとして認められません。これは世界のトーナメントに進出しているトップアマたちには切実な問題です。
3分の1がカットされた短期決戦。マラソンで言えば、42.195キロ先のゴールが、スタート直前になっていきなり28キロ地点くらいまで近づけられた、という感じでしょうか。今年、日本ジュニアに出場した選手たちは、18ホールが予定されていた初日と2日目を9ホールずつプレー。予選カット後の最終日のみ、当初予定されていた通りの18ホールで日本一の座を争いました。
実際のところ、15歳ながら2025年7月11日現在の日本アマチュアランキング1位・長崎大星選手は初日に37を叩いて51位タイと出遅れ、2日目も35で42位タイと低迷。最終日こそ66をマークして猛追しましたが、通算4アンダーで首位から5打差の9位タイ。「難しかった?」の問いに「そうですね。2日目のハーフは特に……。手堅く、手堅く、という思いもあって、結構苦しかったですね」と唇を噛みました。
「あと18ホール欲しかった?」との問いにも「そうですね。挽回するなら」と悔しさをにじませましたが、まだ高校1年生。「最終日はそこそこ悪くなかったので次に向けて頑張ります」と前を向きました。
とはいえ、そもそも舞台となっている霞ヶ関CCがある埼玉県川越市は、2017年7月23日付の日本経済新聞電子版で、「暑さ日本一の可能性がある」と報じられたほどの、全国でも有数の酷暑地域。出場選手への健康被害を懸念する声は、すでに数年前から上がっていました。
日本ジュニア12~14歳の部の会場となっている東京GCでは、23年7月10日に成人の「関東ゴルフ連盟7月月例競技」において、猛暑のなか死者が出ています。ジュニアの育成に長年携わってきた三觜喜一プロも筆者の取材に対し、「ジュニアも真夏の過酷な条件で、歩きのプレーをさせられています。『こんな状況を続けてはならない』と、これまでも発信しているのですが、なかなか改善してもらえない。今後のゴルフ界は変わらなければいけないと思います」と警鐘を鳴らしていました。
それだけに三觜氏は「熱中症アラートが出たらクローズになるゴルフ場も出てきているのに、いまだに同じことを続けているんですね。僕は日本ジュニアを霞ヶ関で続けている理由は『うちのコースは権威が高い』と、霞ヶ関に関係のあるJGA関係者たちが、ただ言いたいだけなんだと思っています。大人のエゴに、子供たちが付き合わされている。全然選手ファーストじゃない」と厳しく指摘。さらに続けて「軽井沢でも、箱根でも、気温も28~29度でできるのでは」と、開催場所の変更をすべきだと付け加えました。
乗用カートの導入も選択肢に
そこで主催者である日本ゴルフ協会(JGA)の山中博史専務執行役を直撃。するとこんな裏事情を語り始めました。「先週の涼しさが判断を遅らせたというところがありました。『猛暑の勢いが下がったから(54ホール)いけるかな』と思ったけど、やっぱり予報が厳しいということで、初日前日の19日に変更を決めることになってしまいました」と難しい決断だったことを明かしたうえで、こう続けました。

「去年、関東ジュニア選手権(男子)をカレドニアンGC(女子は千葉CC川間C=ともに千葉)で3日間9ホールずつで開催したんです。今回の競技委員長が関東ゴルフ連盟の競技委員長ということもあり、関東ゴルフ連盟さんの方から『こういうやり方もありますよ』とご提案いただいたんです。先週たまたま涼しかったので大丈夫かなと思ってたんですけど、やっぱり今週の予報は一気にまた気温が上がってきて、特に2日目がすごかった。40度ぐらいの予報も出ていたし、雷の予報もやっぱり出ていたので、僕らマネジメントサイドでも競技委員会からの話を聞いて、最終的に『分かりました。了解しました』ということで結論を出しました」
直前でバタバタしたことは事実で、選手たちにも戸惑いが広がっていたことは明らか。こうなると、来年は思い切った開催内容の変更を迫られることになりそうです。しかし、そう簡単にはいかない事情が山積みとなっていました。
山中氏は「個人的な意見ですが」と前置きしたうえで、乗用カートの利用を提案しました。
「カートに乗ると体力的な温存もできるし、風も当たるし、日よけにもなる。キャディーさんも手押しのカートですから暑いなか大変です。『今回短縮になったのでだいぶ楽になった。助かった』いう声もキャディーさんからあったので、乗用カートを使ってみるのもいいと思っています。雷の可能性とかもあるので、カートを使えれば避難も楽です。ただ、未成年にカートの運転はさせられないので、ボランティアの方かキャディーさんにお願いすることになるでしょうが」
とはいえ猛暑対策のうえでは、やはり涼しいところに開催場所を移すというのが最も有効な方法に思えます。この点については日本選手権とあって全国から選手が集まってくる事情を挙げつつ、山中氏は苦しい胸の内を明かします。「宿泊やアクセスの問題を考えると、やっぱり関東近郊でやるのが一番いいんじゃないか、という声があります。今年の関東ジュニアさんは、長野(信州伊那国際GC)でかなり涼しくて助かったみたいですし。千葉の方でも勝浦などは涼しいという話もあります」
コースや開催時期を変更するハードルは高い
その一方で高校男子・高校女子、中学男女という大会規模から、3つの会場が必要となることが高いハードルになります。

「以前は高校男子が120人で高校女子が60人で中学が60人でした。でもオリンピックスポーツである以上、男女平等で参加選手も均等にすべきというJOCからの指導もあり、今は霞ヶ関CCでの高校が男女約140人ずつで合わせて280人。東京GCの中学が男女合わせて130人。合計約410人いるわけですよ」(山中氏)。
開催時期についても悩みは山積みです。「日本ジュニアは各地区で予選になったトップが集まってくるから、春に開催するとなると、前倒しで『いつ予選をやるか』が問題になります。秋になると日照時間が短くなるし、ゴルフ場は混んでくる。冬もさすがにちょっと厳しい」と、開催時期も動かしがたいのが現状です。
「今年から日本高等学校・中学校ゴルフ連盟(以下高ゴ連)との共催になったので、そちらとも話をしなきゃいけない。JGAだけで決められる問題じゃないんです。来年も同じことをやっていては『学習能力がない』となっちゃう。やっぱり実力を出すためには54ホールの方がいいと思うんで、そのためにはどういう方法ができるか。早急にやります」と言い切りました。
今回、共催に加わった(一社)日本高等学校・中学校ゴルフ連盟の井上尚彦理事長もこう語ります。
「いろんな意見があると思うんですけど、1回目が無事終われたことで、全ての意見を踏襲してベターな選択をしたと思っています。これで熱中症で倒れた選手が出たら『なんでやんねん』って言われたわけですから。2回目からはJGAさんと話をしながら、2回目は時期的なものだとか、場所の問題だとか、そこを考えた時に何が必要なのか、どうした方がいいのかということを考えて行きたいと思います」
近日中にJGAと高ゴ連の話し合いが持たれるとのことです。そこでどんな決定が出されるのか、保護者、指導者らジュニアゴルフ関係者は注視しています。
取材・文/小川朗
日本ゴルフジャーナリスト協会会長。東京スポーツ新聞社「世界一速いゴルフ速報」の海外特派員として男女メジャーなど通算300試合以上を取材。同社で運動部長、文化部長、広告局長を歴任後独立。東京運動記者クラブ会友。新聞、雑誌、ネットメディアに幅広く寄稿。(一社)終活カウンセラー協会の終活認定講師、終活ジャーナリストとしての顔も持つ。日本自殺予防学会会員。(株)清流舎代表取締役。
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