- ゴルフのニュース|総合ゴルフ情報サイト
- 記事一覧
- コラム
- ボールも天然ゴムじゃない! 原油の供給不安がゴルフ用品に与える影響とは? “チタンヘッド”もエネルギーに大きく依存!?
イラン情勢は2週間の停戦が合意されたものの、原油の供給がどの程度回復するかは予断を許さない。ゴルフ用品にはどれだけの石油製品が使われているのだろうか。元ブリヂストンスポーツ社員で、クラブ、ボールの企画開発にも関わった嶋崎平人氏が解説する。
ゴルフボールはコアからカバーまでほぼ100%石油由来
イラン情勢は2週間の停戦が合意されたものの、ホルムズ海峡が安全に通行できるかは予断を許さず、原油の供給不安は依然払拭できていません。ゴルフ用品への影響は、サプライチェーンをつなぐ物流を含めれば、すべてに間接的な影響が出てくることは間違いありません。
一方、石油由来の原材料を使用しているゴルフ用品は、この不安定な状況が続けば直接的な影響が出てきます。
石油由来の原材料を使っている代表例は、まずゴルフボールです。ほぼ100%石油由来の材料が使われています。ゴルフボールの構造から順に見てみると、飛距離性能の核となる中心部のコアですが、主材料はポリブタジエン(合成ゴム)です。ニュースでもよく供給不安が言及される石油原料のナフサから製造されます。ナフサ分解→ブタジエン→重合で合成されています。さらに、コアに使用される架橋剤(硬化剤)も石油由来です。一部、石油由来でない充填剤も少しだけ配合されていますが、コアは石油由来の合成ゴムの塊です。

次に反発性能やスピンをコントロールする中間層ですが、主材料はアイオノマー樹脂やポリウレタン樹脂で原材料は石油です。スピン性能や打感を決める一番外側のカバーには大きく分けて2種類あり、飛距離重視のディスタンス系に使われるのはアイオノマー樹脂、コントロール系でスピンがかかるのはウレタン樹脂で、いずれも100%石油から合成される材料です。
さらに耐久性や光沢などの外観のためにカバーの表面は塗装されていますが、ウレタン塗料やアクリル塗料が使われているので、これも石油由来の材料です。石油なしではゴルフボールはまったく製造できません。メーカーに取材してみると、ボールの原材料不足で生産ができない事態は起こっていないとのことですが、今後、石油由来の原材料の価格上昇の可能性はあるとのことです。
チタンヘッドの製造は多量の電力を必要とする
ゴルフクラブについて考えると、グリップに石油由来の材料が使われています。一般的にラバーグリップと呼ばれているものは、石油由来の合成ゴムとゴムの木から採取する天然ゴムとのハイブリッドです。この配合は柔らかさや耐久性を出すために、メーカー、モデルによって違います。また、最近利用されることが多くなってきている、樹脂グリップはポリウレタン、エラストマーが材料ですが、いずれも石油由来です。グリップの製造も石油に依存していることが分かります。
シャフトについても、カーボンシャフトはほぼ100%石油由来の材料が使われています。ベースとなる炭素繊維(カーボンファイバー)の原料は、PAN(ポリアクリロニトリル)系繊維を高温焼成(炭化)して製造されます。このポリアクリロニトリルの原料は石油です。さらにこの炭素繊維を固める“接着剤兼構造体に樹脂が使われますが、主にエポキシ系樹脂で、これも石油由来です。この炭素繊維と樹脂がシート状になったものが、プリプレグと呼ばれ、これを巻いて成型し、加熱してカーボンシャフトの素管を製造します。これを研磨、さらに塗装しますが、塗装に使われる塗料も石油由来のウレタン塗料です。一部ガラス繊維などを使うモデルもありますが、カーボンシャフトは石油由来の原材料が使われています。
ウッド系クラブのヘッドにもカーボンが使われることが多くなっており、チタンやステンレス、軟鉄などの金属製ヘッドを除けば、クラブの主要部品は石油に依存しています。さらに言えば、ドライバーに使われるチタンヘッドを考えると、チタン製造には多量の電力を使用します。詳細は省きますが、チタンの鉱石から精錬、溶解してチタンのインゴットになり、それを鋳造するためにも電力が必要で、カーボンシャフトやグリップのように原材料が直接石油に依存しているものとは違いますが、エネルギーの観点から間接依存しています。
このように、ボール、クラブだけを見ても、ゴルフ用品は石油に大きく依存しており、紛争が長引けばその影響がゴルフ用品の生産や価格に出てくることは間違いありません。
取材・文/嶋崎平人
1976年ブリヂストン入社。1993年からブリヂストンスポーツでクラブ・ボールの企画開発、広報・宣伝・プロ・トーナメント運営等を担当、退職後、ライターのほか多方面からゴルフ活性化活動を継続。日本ゴルフジャーナリスト協会会員。
最新の記事
pick up
-
今後ゼクシオはどこへ向かうのか? 家田社長が語る「25年」の継承と「XXIO 14」の挑戦<PR>
-
“自分で操りたい派”に刺さる? テーラーメイドの新「SYSTM2(システムツー)」パター登場! 世界的ヒット作「スパイダー」との違いは?<PR>
-
これが最新電気自動車の現実だ! 往復600キロのゴルフ旅を日産 新型「リーフ」で行ってわかった“BEVの安心感と実用性”<PR>
-
中田翔 VS. 河本力 の飛距離対決! キャロウェイの新作「QUANTUM」ドライバーで驚きの300ヤード超え連発<PR>
-
世界が認める“ゼクシオ品質”の裏側へ! ダンロップの宮崎工場で見た「誠実さが支えるクラブづくり」とは?<PR>
ranking










