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- “託児所”は無いけど、ママさんプレーヤーの“気概”はある!
◆国内女子プロゴルフ<ニッポンハムレディスクラシック 2日目◇9日◇北海道・桂ゴルフ倶楽部 6763ヤード・パー72>
「日本にあってアメリカにないもの」「アメリカにあって日本にないもの」
日本の試合会場には「ギャラプラ」がある。会場を訪れるギャラリーのために、飲食物を売るテントがずらりと並び、長テーブルとイスが並べられる「ギャラリープラザ」の略称だが、実を言えば、そのギャラプラとずばり同じものは、米ツアーの会場にはない。
米ツアーの場合は、ハンバーガーやホットドッグ、飲み物などを売る「コンセッションスタンド」が、クラブハウス近辺やコース内のところどころに設置されている。コース内の一角に、日本のギャラプラ的に、いくつかの出店が並べられることもあるのだが、試合会場に行けば当然のように存在している「ギャラプラ」は、日本独自の楽しい企画だ。
今週のニッポンハムレディスクラシックでは、コロナ禍ゆえにギャラリーの入場を1日1000人に限定していることもあり、桂ゴルフ倶楽部に設けられているギャラプラはダウンサイズだ。
それでも、主催者である日本ハムのシャウエッセンを使ったホットドッグを売る出店の横には、ビーフカレーやローストビーフ丼、お茶やコーヒーを売るテントがあり、日本ならではのこんなメニューのテントがもしも米ツアー会場にあったら、涙が出るほど嬉しかっただろうなあと、ついつい思ってしまった。
日本にない「託児所」へのママさんプレーヤーの思い
そんなふうに「日本には必ずあるのにアメリカにはないもの」が見て取れる一方で、逆に「アメリカには必ずあるのに日本にはないなあ」と首を傾げてしまうものもある。
そう、アメリカでは、男女どちらのツアーでも、試合会場には選手や関係者の子どもたちを預かるデイケア(託児所)がある。プレーを終えて、預けていた我が子を抱き上げた途端、選手の表情が和らぐシーンは、眺めているだけでも幸せな気分になる。
だが、日本の試合会場に託児所は「これまで数例しかなかった」と聞いた。
今大会には出産して子育て中の横峯さくら、若林舞衣子が出場しているが、彼女たちのベイビーは、ママの試合中、どこでどうしているのかが気になった。
2014年に結婚し、夫の森川陽太郎さんがキャディを務める“二人三脚スタイル”で、日米双方で転戦を続けてきた横峯は、今年2月に第一子となる男の子を出産したばかり。今年5月のリゾートトラストで復帰し、今週は復帰2戦目を迎えている。
横峯自身、米ツアー転戦時に現地のデイケアを間近に眺め、頑張るママさんゴルファーたちの姿に触発されたそうだが、日本の試合会場には託児所がない。
「出産して試合に復帰してからは、コースのそばに家を借りて、そこで夫の母が子どもを見てくれています。そうできる環境はありがたいけど、経費がめちゃくちゃかかります。そのぶん頑張って稼ぎます(笑)けど、これからの若い選手のためにも、試合会場に託児所ができるよう、私自身、世の中に向かって意見を発信しています」
横峯の言葉に、夫でキャディの森川氏も笑顔で頷いていた。
一方、2019年に第一子となる男の子を出産した若林はJLPGAの「産休(産前産後休業)」制度を活用し、2020年から戦線復帰。「(東京の)自宅で姉や夫が息子を見てくれています」という“単身赴任スタイル”で試合に臨んでいるが、出産経験や我が子と離れ離れで戦う新たな環境が彼女自身を強くしたようで、「以前より思い切りのいいプレーができるようになりました」
そんな良き手ごたえを感じていると同時に、託児所の必要性を強く感じているという。
「もう、ゴルフで結果を出してから結婚、出産という時代ではなく、今は結婚ブームでもあるので、早く結婚し、早く出産し、早く試合に戻って来るのが理想。試合会場は女性の働く場なので、やっぱり託児所はほしい。でも、結果を出さないと発言しても聞いてもらえないので、とにかく結果を出したい」
日本の試合会場に託児所はまだないが、頑張るママさんプレーヤーたちの熱く大きな肝っ玉は確かに存在し、彼女たちの気概が日本の女子ゴルフの世界や環境をどんどん改善、改革してくれそうである。
母として、女子プロゴルファーとして、熱く語ってくれた彼女たちから、幸せなエネルギーをもらった想いがした。
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