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- ゴルフではなぜ「メートル」ではなく「ヤード」を使うのか?
コロナ禍でも3蜜を避けられるスポーツとして、人気に火がついているゴルフ。東京オリンピックでの日本人の活躍もあり、試合中継を見たという方も多いかもしれません。そんなゴルフでは多くの国でメートル単位ではなくヤード単位が使用されています。今回は、ゴルフではなぜ「ヤード」単位を使用しているのか解説します。
ゴルフでヤードが使われている理由とは?
ゴルフでは距離の単位として「ヤード」を使用しますが、日本ではゴルフやアメリカンフットボールなど一部の競技以外で使われることがほとんどないため、あまりなじみのない単位といえるでしょう。
ヤードとは、「ヤードポンド法」という単位系の中で長さを表す単位であり、1ヤード=0.9144メートルとなります。日本では、国際基準となっている「メートル法」が単位系として広く使用されています。
では、なぜゴルフでは国際標準である「メートル法」が使用されていないのでしょうか。理由は、「国際的に単位を統一する」ことの難しさが大きく関わっているといえます。「ヤードポンド法」はイギリスが起源の単位系ですが、主にヨーロッパで広く普及していた単位となります。経済の国際化により単位の統一化が必要になったため、1875年に「メートル法」を国際標準とする「メートル条約」が各国で締結されました。
現在ではほとんどの国がメートル法を使用していますが、日本を含め多くの国では単位を変える事に大変な困難があったといわれています。モノの単位は市民生活と深く結びついているため、それが変更されることは、人々に多くの混乱をもたらすことは容易に想像できます。
例えばアメリカの場合、メートル条約へ加盟はしましたが、ヤードポンド法の使用を禁止にしなかったため、市民の間にメートル法が浸透することはありませんでした。イギリスでも単位を変えることへの反対が強く、道路標識はヤード表示のままになるなど、完全にメートル法へ移行することはできませんでした。
日本のゴルフ界も、一時期メートル表示に変更した時期がありました。1976年に通商産業省(当時)が「商行為においてはメートル法で」という方針を掲げたからです。しかし、ヤードからメートルへの変更はゴルファーから猛反発がありました。ヤード表示の距離感に慣れているゴルファーの立場からすれば、メートル表示に変更することによって生じる「距離のズレ」は致命的であるからです。そのため、日本では1984年にヤード表示に戻り現在に至ります。
ほかにも、ゴルフの世界では、あらゆる基準が米英の意向ありきという側面があり、メートル表示反対の動きに影響を与えたとされています。しかし、アメリカやイギリス、日本以外の国ではゴルフ場の距離をメートル表示している国も数多く存在します。
グリーンに乗ったらメートルに変わるのはなぜ?
ゴルフでは距離をヤード単位で表しますが、グリーン上ではメートルを使用するのが一般的です。プレーの途中で単位が変わるというのは、めずらしいのではないでしょうか。
ゴルフの本場であるイギリスや米国では、グリーン上で「メートル」を使用することはなく、代わりに「フィート」という単位を用います。「フィート」はヤードポンド法で「ヤード」より小さい長さを表す単位で、1ヤード=3フィートとなります(1フィート=30.4804センチメートル)。距離の単位として「ヤード」を使用するのであれば、グリーンではその下の単位である「フィート」を使用するのが本来のあり方といえるでしょう。
また、グリーンの速さを表す単位としても、同様に「フィート」が使用されています。これは、スティンプメーターという測定器具を使って平坦なグリーンにボールを何度か転がして、平均距離を「〇フィート」と表す方法です。日本のゴルフ場でも、グリーンの速さに関してはこの「フィート」を使うのが一般的なのです。
では、なぜ日本ではグリーン上だけはメートルを使用しているのでしょうか。理由は、日本人にとって「フィート」はあまりになじみのない単位であり、直感的な距離感の把握ができないためといわれています。もちろん、頭の中で計算して「フィート」から「メートル」へ換算することはできるでしょうが、慣れ親しんだメートルを使用する方が合理的です。このように、ヤードを使用しながらもグリーン上だけはメートルに変わるというのは、日本独自の風習だといえます。
※ ※ ※
ゴルフで「ヤード」単位が使用されている理由には、「国際的なメートル法への統一の流れ」と、その潮流にのらなかった「米英のゴルフ界への影響力の大きさ」が関わっています。スポーツにおいても「単位」の扱いは、難しい問題なのかもしれません。
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