野球部の18分の1! なぜゴルフ部は他の部活に比べ少ないのか?

中学校・高等学校の運動部といえば、野球やサッカーを思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。多種多様なスポーツがそろっている運動部の中で「ゴルフ部」を目にする機会はほとんどありません。では、なぜゴルフ部は少ないのでしょうか?

夏の甲子園のゴルフ版「緑の甲子園」はプロの登竜門

 本日、いよいよ夏の甲子園大会が決勝戦を迎えます。昨年はコロナ禍により中止になってしまっただけに、例年より地元代表校の応援に熱が入ったという方も多いのではないでしょうか。野球に比べると注目度は低いですが、実はゴルフにも通称「緑の甲子園」と呼ばれる夏の全国大会(正式名称:全国高等学校ゴルフ選手権大会)があり、今年も昨日まで熱戦が繰り広げられました。

明愛(左)、千怜の岩井姉妹は6月に行われた最終プロテストで20位タイまでの狭き門を揃って突破し、晴れてプロゴルファーに 写真:Getty Images

 この大会は多くのプロゴルファーが輩出していますが、昨年は日本女子オープンでローアマに輝くなどツアーでも活躍した岩井明愛が、双子の妹・千怜ともに埼玉栄高校を優勝に導きました。

 しかし、中学校・高等学校の運動部にはさまざまなものがそろっている中で、自身が通っていた学校に「ゴルフ部」が存在していたという方は、決して多くはないでしょう。

 現に、日本高等学校野球連盟に加入している高校数は2021年8月現在3890校となっています。対して、日本高等学校・中学校ゴルフ連盟(高ゴ連)に加入している学校数は287校と高等学校(222校)・中学校(65校)をあわせても極少数なので無理もありません。

 では、なぜゴルフ部は少ないのでしょうか。高ゴ連は、ゴルフ部が増加しない原因について以下のように話します。

「ゴルフ部が増えない一番の要因として、学校側の理解度が低いことが挙げられます。ゴルフはクラブが少なくとも14本必要であったり、さらに、練習ができるゴルフ場が必要であったりと、多くの費用がかかるのではないかという先入観が非常に強いといえます」

「また、昨今の働き方改革の影響もあり、新しい部活を発足させるという負担を教師に強いるのはいかがなものかと考え、踏み出せない校長先生も多いようです」

 つまり、道具を揃える費用や練習場の確保、指導者不足からゴルフ部は創設されにくいということです。

 そのため高ゴ連ではこのような問題を解決すべく「ゴルフ部創設マニュアル」をホームページに掲載しています。

 ゴルフ部創設マニュアルでは、連盟が行っているサポート体制について以下のように記されています。

〈ゴルフ部の創部にあたり、一番心配されているのは顧問の問題だと思います。現状、 各校の顧問自身がゴルフ指導(技術面)を行っている例はあまり多くはありません。
 当連盟では、ゴルフ部を創部する場合に、指導者の問題を気軽にご相談いただければ、様々なアドバイスをさせていただきます。将来的には、日本プロゴルフ協会(PGA)や各地区学生ゴルフ連盟とタイアップすることで、技術指導の充実を図り、また定期的に指導者講習会を開催することで、各校顧問のスキルアップをサポートしていきたいと思っております。〉

 また、道具や練習場所の問題に関しては、ゴルフ用品販売、練習場運営を行うゴルフパートナーと提携しており、体格に合わせたクラブセット(中古)・練習用ボール1000球(中古)・ゴルフ練習場を無料で提供しているとのことです。

 このように、学校側がゴルフ部を創設する際に生じるであろう問題を解決すべく、連盟としてさまざまなバックアップを行なっています。こうした取り組みをまず周知させることがゴルフ部が今後増加していくための第一歩ともいえるかもしれません。

実際に連盟のサポートで創設されたゴルフ部に取材

 実際に、連盟のサポートを受けゴルフ部創設に至った学校があります。その中の一校が、三重県立伊賀白鳳高等学校です。

 同校は、三重県伊賀市の上野城から少し離れた郊外にあり、2009年に上野工業高校、上野商業高校、上野農業高校の3校が合併してできた学校です。2012年に同校へ鈴木啓二氏が赴任した翌年、ゴルフをしたいという生徒5名が集まり、まずは同好会として発足し、4年間の活動を経て2017年に正式に部活動として活動を始めました。

 2021年8月現在、伊賀白鳳高校ゴルフ部顧問をつとめる山添長輝氏は、活動内容について以下のように話します。

「現在は、部員数5名(3年生1名・2年生2名・1年生2名)で月、火、木、金の週4日で活動しています。練習場所は、学校近隣の民営練習場をお借りして、月に1回はレッスンプロの方に指導していただいています。技術が上達してきた生徒は、ハーフラウンドを回ることもあります」

「このような基盤はゴルフ部顧問の前任の鈴木先生、そして高ゴ連の手厚いサポートによってつくられました。ゴルフが上達したい子どもたちは、その好意のもとに練習しています。そのため、他の部活動で活動している生徒たちと、かかる費用は大きく変わらないと感じています」

 このように、本来であれば学校側で用意しなければならない練習場所や指導者、道具等は高ゴ連の手厚いサポートの上で確保されています。

 同校以外にもゴルフ部創設に至った学校と活動内容がゴルフ部創設マニュアルで紹介され、高ゴ連のホームページに記載されています。 

※ ※ ※

 ゴルフ部が少ない背景には、道具を揃える費用や練習場の確保、指導者不足が大きな問題となっています。そのため、高ゴ連はこのような問題を解決すべく「ゴルフ部創設マニュアル」を作成し、学校側への周知を図っています。

「ゴルフはお金がかかるスポーツだ」という昔からの風潮を少しずつ変えていくことが、ゴルフ部の増加やゴルフ人口を増やしていくことにつながっていくのかもしれません。

【写真】高校ゴルフ部で腕を磨き、プロテストに合格した新人女子プロたちの画像を見る

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