一般に信じられている説は真っ赤なウソ!? ゴルフ場が18ホールになった理由

皆さんは「なぜゴルフの1ラウンドは18ホールという中途半端な数になったのか」と、疑問に思ったことはありませんか? 18ホールになった理由として流布している逸話はすべて現代ゴルフ発祥の地であるスコットランドが絡んでいますが、果たして本当の理由とは?

1.ウイスキーが18ホールで空になった説

 現在われわれは、1ラウンドを18ホールとして当然のようにプレーしていますが、「18」というのはちょっと中途半端な数です。なぜゴルフ場のホール数はこの数字に落ち着いたのでしょうか?

全英オープンで見慣れたオールドコースの景色も歴史上の紆余曲折を経て生まれている

 まず、18ホールになった理由として有名なのがウイスキー説です。

 現代ゴルフの起源とされるのが14世紀のスコットランド。スコットランドは冬はもちろん、夏でも寒風が吹くほど気候が厳しい地域です。さらに、ほとんどのゴルフ場はリンクスと呼ばれる海に面したコースなので、ゴルフは寒さとの戦いでした。

 だから、当時のゴルファーは寒さをしのぐために、みんなウイスキーを飲みながらプレーしており、その飲み方にも流儀があって、1ホール終わるごとにキャップ一杯分のウイスキーを飲んでいた。そして、ちょうどウイスキーのボトル1本が空になったのが18ホール目だったので、14世紀頃のスコットランドではみんな18ホールでプレーをやめていたという説です。

 牧歌的なスコットランドを象徴するロマンチックな逸話ですが、それを裏付ける史料はなく、残念ながら俗説の域を出ないもののようです。

2.市からの土地返還要求によって仕方なく説

 もう1つ、有力な説として流布しているのが、セントアンドリュースのオールドコースが市に土地を返還したため、というもの。

 全英オープンの開催コースとしても有名なセントアンドリュース・オールドコースは「ホーム・オブ・ゴルフ」とも言われており、ゴルフが生まれた聖地とされています。

 15世紀頃から記録が残っているオールドコースですが、当初は12ホールで、17世紀頃になると22ホールまで拡大。しかし、18世紀になると、セントアンドリュースの市政が土地の一部を不動産転用するために返還要求を出し、その結果、セントアンドリュースは4ホール分を縮小して、22ホールから18ホールになったという説です。

 確かに、オールドコースが18ホールになった18世紀半ばより前の時代に、セントアンドリュース市がペストの流行による税収減のため財政破綻の状態にあったことは史実のようです。財政再建のため市は国王から賜った土地を次々と売却しました。

 その中にはセントアンドリュースのリンクスも含まれていたことからこうした説が流布したのだと思われますが、土地の売却とホール数の縮小が直接関係しているという史料は今のところ見つかっていないようで、信ぴょう性としては三角印といったところかもしれません。

3.これが本命!? コースをもっと面白くするため説

 最後になりましたが、現在、最も確実な史料が残っているのがこの説。セントアンドリュースのメンバーがオールドコースのレイアウトをさらに面白いものにするために、最初と最後の4ホールずつを2ホールずつに改造したというものです。

 セントアンドリュースの会員組織であるR&A(ロイヤル・アンド・エンシェント・ゴルフクラブ・オブ・セントアンドリュース)の1764年の議事録に、オールドコースを当時の22ホールから18ホールに改造する旨の記録が残っています。

 当時の同クラブキャプテンであるウィリアム・セントクレアとメンバーたちは、最初と最後の4ホールずつが短すぎるので、各2ホールずつに改造することを決定したということです。

 つまり、スタートと上がりで短いホールが続くことに飽き足らなくなった、もっとありていに言えば、つまらなくなったメンバーたちが純粋にゲーム性を高めたいというゴルファーとしての思いからホール数の縮小を行ったということになります。

 前の2説に比べると、やや歴史のロマンやドラマチックさには欠けますが、いちゴルファーとしてみた場合、これが一番腑に落ちる説かもしれません。

※ ※ ※

 いずれにしても、セントアンドリュース・オールドコースが18ホールに落ち着いたことで、これを手本として18ホールがゴルフ場のスタンダードになったことは間違いありません。

 もう1つ、現在に残っているものでセントアンドリュースの由来になっているのがINコースとOUTコースという呼び方。セントアンドリュースでは1番から9番まではどんどんクラブハウスから遠くなっていくレイアウトになっているため、これを「GOING OUT」と呼び、逆に10番から18番まではクラブハウスに戻ってくるので「COMING IN」と呼ぶようになりました。そこから1番から9番をOUT、10番から18番までをINと言う慣習ができました。日本のゴルフ場の場合、ハーフごとにクラブハウスに戻ってくるためあまりピンと来ませんが、由来を聞けば納得していただけるでしょう。

 こんなふうに今に残るゴルフ関係のさまざまな慣習や呼び名の起源となっているセントアンドリュース。「ホーム・オブ・ゴルフ」という異名は伊達ではないことを分かっていただけたでしょうか。

(参考資料:石川洽行著『ゴルフの歴史』、scottishgolfhistory.org)

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