勝みなみのパターの握り方は杉原輝雄と同じ!?
■勝みなみ/1998年生まれ、鹿児島県出身。2014年「KKT杯バンテリンレディス」で史上最年少となる15歳293日でアマチュア優勝。14年「日本ジュニア」優勝、15年「日本女子アマ」優勝、15年「日本女子オープン」ローアマに続き、今年の「日本女子オープン」でタイトル4冠達成。宮里藍、諸見里しのぶに続く快挙を成し遂げた。プロ通算5勝。明治安田生命所属
「日本女子オープンゴルフ選手権」で、勝みなみ選手が2位に6打差をつける通算14アンダーでメジャー初優勝を飾りました。最終日は、6バーディー、1ボギーの66でプレーしましたが、良い流れをつかむきっかけになったのは、4メートル前後の距離が残った1番、2番ホールのパーパットを決めたことでした。

彼女自身も、試合後のインタビューで「1番でパーが獲れなければ今日は流れがつかめないだろうと思いながらパーパットを打ちました」。また、2番も「これを決めたら良い流れが来ると思って打ちました」とコメントを残しています。
この日の勝選手のストロークを見ていて感じたのは、フェースの開閉が少なく、方向性、転がり、距離感が安定していたことです。勝選手は、ピン型のパターを使い、クロスハンドではなく順手でグリップしています。
一見オーソドックスなスタイルに見えますが、指先をよく見ると、実は独特な握り方をしていたのです。今回は、ここにスポットを当ててお話ししようと思います。
皆さんは、パッティングの際、親指をどこに置いていますか? 多くのゴルファーは、グリップのフラットな面に両手の親指をセットし、親指同士を重ねるように握っているのではないでしょうか。この握り方には、「スクエア感を出しやすい」というメリットがあります。
しかし、勝選手は親指をフラットな面に置かず、右手親指がグリップの左側面、左手親指がグリップの右側面にかかるようにパターを握っています。
つまり、両手の親指をクロスさせてパターを持っているのです。実はこれ、日本ゴルフ界のドンといわれた杉原輝雄さんと同じ握り方なんですよね。
親指をクロスさせるグリップのメリットとは?

では、親指をクロスさせるグリップには、どんなメリットがあるのか。それは、指先を鈍感にできることです。パッティングは感覚、感性が大切だと言われますが、指先が敏感だと、ストロークを邪魔し、ヘッドやフェースの動きが不安定になってしまいます。
勝選手のように親指をクロスさせることで、指先の器用さを消すことができ、良い意味であいまいにストロークしやすくなるのです。
指先を鈍感に使うためには、クロスハンドでグリップする、大きなヘッドを使うという方法もありますが、親指のポジションを少し変えるだけも効果が期待できます。パッティングに悩んでいるゴルファーの皆さんは、ぜひ試してみてください。
■石井 忍(いしい・しのぶ)/1974年生まれ、千葉県出身。日本大学ゴルフ部を経て1998年プロ転向。その後、コーチとして手腕を発揮し、多くの男女ツアープロを指導。「エースゴルフクラブ」を主宰し、アマチュアにもレッスンを行う。