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コラム

1打差スタートで逃げ切る確率はたったの27.6% データから分かった松山英樹・ZOZO優勝の本当のすごさ

2021.10.28 宮井善一
タイガー・ウッズ 国内男子ツアー 松山英樹 米国男子ツアー

日本開催の米ツアー、ZOZOチャンピオンシップは1打差首位で最終日を迎えた松山英樹が制した。終わってみれば5打差の完勝だったが、米ツアーで逃げ切り勝ちを収めるのはそう簡単ではない。実際、どれくらいの難しさなのかを具体的なデータで紹介しよう。

J・ラームやD・ジョンソンでも1打差スタートで逃げ切り優勝の経験はなし

 松山が本格参戦した2013-14シーズン以降、米ツアーにおいて単独首位で最終ラウンドに入った例はZOZOチャンピオンシップ前までで266回あった。うち、逃げ切ったのは115回。勝率は43.2%である。

先日のZOZOで最後は5打差の圧勝劇を繰り広げた松山英樹 写真:Getty images

 ただし、勝率は何打差だったかで大きく変わる。以下はストローク差別の勝率である。

1打差 27.6%(32勝84敗)
2打差 37.9%(22勝36敗)
3打差 45.2%(19勝23敗)
4打差 78.6%(22勝6敗)
5打差 90.0%(9勝1敗)
6打差 87.5%(7勝1敗)
7打差 100%(4勝0敗)

 当たり前の話かもしれないが、2位との差が小さいほど勝率は下がる。1打差は116回あって32勝84敗。勝率はたったの27.6%なのだ。ほぼ4人に1人しか勝てないという計算になる。

 もっとも、「実績がある選手とそうでない選手では勝率が違うのではないか」と考える方もいるだろう。そこで、ZOZOチャンピオンシップ開催週の世界ランキング10位以内の選手に絞った勝率も調べてみた。

 結果は、20例あって5勝15敗。勝率は全体を下回る25.0%でしかなかった。世界ランキング1位のジョン・ラーム、同2位のダスティン・ジョンソンはともに0勝2敗。世界のトップクラスでさえ1打差首位から勝つのはこんなにも苦労している。そんな困難な状況を物ともせずに松山は勝ち切ったのである。

 ただ、このようなデータが当てはまらない選手もいる。タイガー・ウッズだ。

 上記のデータと時期は重ならないが、ウッズは米ツアーにおいて1打差首位で最終ラウンドというケースが12回あり、何と11勝1敗なのだ。唯一の敗戦はプロデビュー3戦目の1996年クオッドシティークラシック。初優勝する前の出来事である。それ以降は11連勝中だ。

 ウッズは1打差に限らず単独首位で最終ラウンドを迎えたすべてのケースでも46回中逆転負けを喫したのはたったの2回。前出のクオッドシティークラシックと2009年全米プロだけなのだ。その勝率は95.7%! もはや神の領域である。

日本ツアーは米ツアーよりやや逃げ切りやすい傾向

 では、日本ツアーはどうか。米ツアーとの違いはあるのだろうか。以下に米ツアー同様のストローク差別勝率を記してみよう。データを採取した期間は米ツアーに合わせて2014年以降とした。

1打差 29.6%(16勝38敗)
2打差 47.2%(17勝19敗)
3打差 63.2%(12勝7敗)
4打差 88.9%(8勝1敗)
5打差 100%(6勝0敗)
6打差 100%(2勝0敗)
7打差 100%(1勝0敗)

 ストローク差が小さくなるほど勝率が下がるのは同じだが、全体的に米ツアーより勝率は高い。1打差は米ツアーより2.0ポイント高い29.6%。これは多少高いという程度だが、2打差では9.3ポイント、3打差では18.0ポイントも日本ツアーの方が高くなっている。

 全体の勝率は48.8%。米ツアーの43.2%より5.6ポイント高い。つまり、米ツアーの方が逃げ切るのは難しいのである。それだけ、層が厚いといえるのではないだろうか。

「逃げ切り優勝の神」タイガー・ウッズだけは別格 写真:Getty images

 最後に、松山個人のデータに言及しよう。米ツアーにおいて単独首位で最終ラウンドに入ったのは今回で3回目だった。最初は2016年WGC-HSBCチャンピオンズ。3打差首位から最終ラウンドで66をマークし、7打差の圧勝を飾っている。2回目は記憶に新しい今年のマスターズだ。4打差首位から73と苦戦したが1打差で逃げ切った。

 つまり、単独首位からは3戦全勝ということだ。首位タイだったケースは3回あってすべて敗れているが、単独首位なら回数こそ少ないがすべて勝ち切っているのである。

 日本ツアーでは単独首位で最終ラウンドが6回あり、負けたのは初体験の2013年日本プロのみ。以降は5連勝中だ。

 ということは、日米合わせれば単独首位で最終ラウンドに入った場合は現在8連勝中になる。ウッズの領域にはまだ及ばないが、松山のデータも相当なもの。このまま不敗神話を続けてほしいものだ。

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