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渋野日向子もホップ、ステップ、ジャンプでスターダムに!? 米女子ツアーを盛り上げる2大改革とは?【舩越園子の砂場Talk】
今年から渋野日向子、古江彩佳も参戦する米女子ツアーに2大改革が断行されようとしているようだ。それは「トップ10ルール」と「選手の成績をギャンブルの対象とすること」。具体的にはどう変わるのだろうか。
米女子ツアーで始まる「トップ10ルール」
今年から畑岡奈紗、笹生優花に加え、新たに古江彩佳、渋野日向子も正式メンバーとして参戦を開始する米女子ツアー(LPGA)が、ノンメンバーへの門戸を広げるため、新たなルールを定める予定であることが、米ゴルフウイーク誌によって1月13日(米国時間)に報じられた。
同誌によれば、今後、LPGAのノンメンバー選手がスポンサー推薦やマンデー予選などを経てレギュラー大会に出場し、トップ10入りした場合は、翌週のレギュラー大会に出場する道が開けることになる。
これを聞いて、米女子ツアーにこれまでこのルールがなかったことに、むしろ驚かされたゴルフファンは多かったのではないだろうか。
というのも、ノンメンバーに対する「トップ10ルール」は、米男子のPGAツアーでは昔から存在しており、このトップ10ルールを活用して翌週の試合へ、そのまた翌週へと前進し、最短ルートで正式メンバーになったケースは、これまで多々生まれてきた。
かつての登竜門だったQスクールや下部ツアーでの下積み時代を飛び越えて、一気にノンメンバーから正式メンバーへステップアップするスピード出世を目指す選手たちにとって、この「トップ10ルール」は、何よりの頼みの綱となってきた。
近年で言えば、何のステータスもないままプロ転向を宣言し、マンデー予選からPGAツアーに挑み始め、あれよあれよという間にスターダムを駆け上ったジョーダン・スピースは、このルールを最大限活用した代表例だ。
日本人選手で言えば、丸山茂樹も松山英樹も、このルールをうまく生かしながらPGAツアーへの扉を開いた。
しかし、米女子ツアーには、このルールがこれまでなかったため、たとえば笹生は昨年4月にスポンサー推薦でロッテ選手権に出場し、6位になってトップ10入りを果たしたものの、翌週の大会に出場する道は開けなかった。
とはいえ、彼女はその2カ月後に全米女子オープンを制してLPGAメンバー資格を手に入れることができ、素晴らしいハッピーエンドのストーリーとなったわけで、それはそれで良かったなと思う。
しかし、もしもこの「トップ10ルール」が昨年も存在していたら、笹生の歩み方は少しばかり違っていたのかもしれない。そして、今年からこのルールが施行されれば、今後は笹生のような将来性溢れる若い選手が正式メンバーになるための道は、少しばかり早く、そして広く開けるようになる。
その意味で「トップ10ルール」は、若き女子選手たちに対するLPGAの門戸の開放、扉のオープン化につながると言えそうだ。
米女子ゴルフもギャンブル対象に
ところで、LPGAが取り組もうとしている扉のオープン化の対象は、選手たちだけではない。米国の女子ツアーや女子ゴルフを盛り上げるためには、選手層のみならず、ファン層も拡大しなければならない。
そこでLPGAが新たに始めようとしているのは、ツアー競技の結果や選手たちの1打1打や成績等々をギャンブルの対象にする取り組みだ。
ギャンブルと聞くと、日本では眉をひそめる方々が多いかもしれない。だが、欧米ではショッピングモールやレストランなどが併設されているカジノリゾートが家族で楽しめるエンターテインメントと認識されるほど身近な存在だ。
2018年に米国の最高裁判所でスポーツベット(ギャンブル)を合法とする判決が出されて以来、さまざまなスポーツフィールドでスポーツギャンブルは一気に活発化している。
PGAツアーのジェイ・モナハン会長は、「ゴルフは最もギャンブルに適しているゲームだ」と語り、一早くPGAツアー内の新しいギャンブリングシステムづくりに取り組み始め、現在も推進中だ。
以前からPGAツアー選手たちのショットやパット、さまざまなデータの収集・分析を行なってきたショットリンクで得られた情報を、さらに詳細に精密に分析し、新たに得られた高度なアウトプットをスポーツギャンブルの運営会社に提供。そして、賭けの対象となる候補のリストやオッズが一般の人々へ提供されるという仕組みだ。
これにより、ゴルフファンのみならずギャンブルを楽しむ人々にとっても、PGAツアーが興味関心の対象になる。そうなることで、PGAツアーのファン層が広がり、ギャンブル運営会社と手を組むことで、結果的にはツアーの新たな収入源にもなっている。
そんな米男子ツアーの成功を範として、米女子ツアーもスポーツ・ギャンブルに歩み寄ることを決め、その道のプロであるIMGアリーナとの協力体制を整備している。
これにより、22年の早い段階からLPGAの大会とその選手たちがスポーツギャンブルの対象になり、「シブノの優勝に賭けるぞ!」といった声が、米国や世界のあちらこちらで上がることになる。
IMGアリーナは世界470のスポーツギャンブル専門企業と手を取り合い、年間4万5000以上のスポーツイベントのデータを収集・分析してカジノなどへ提供しているスポーツギャンブルのプロモーターだ。男子のPGAツアーや欧州のDPワールドツアー、テニスのATPなどもIMGアリーナと協力関係を結んでおり、LPGAは一歩遅れてようやく同じ船に乗ることになる。
手本があれば真似る、なければ独自で開始
こうして米女子ツアーは「トップ10ルール」を新たに制定することで選手への門戸の開放と選手層の拡大を目指し、スポーツ・ギャンブルを採用することでファン層の拡大と資金力アップを目指し、22年をキックオフしようとしている。
この2つの変化は、どちらも米男子ツアーを手本にした取り組みだが、女子ゴルフ界ならではの独自の斬新な動きも見られる。
全米女子オープンを主催するUSGA(全米ゴルフ協会)が長年の慣習を破り、USGA史上初めて民間企業(プロメディカ社)を大会スポンサーに付け、賞金額をほぼ倍増させたことは、先日、この場でお伝えした通りだ。
いい手本があれば、どんどん真似る。手本や前例がないものは、勇気を出して独自で開始する。そんな積極姿勢が、低迷してきた米女子ゴルフをこれから急ピッチで盛り上げていきそうな予感がする。
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