コースによってそれぞれだが数億円単位の維持費がかかる
ゴルフを始めると、ゴルフ場の敷地が想像していた以上に広々としているので、「この施設を維持管理するにはどのくらいの金額がかかるのだろう?」と思うことがあります。
ゴルフは他のスポーツに比べてプレー料金が高額です。平日5000円以上、土日1万円以上の料金を取るゴルフ場がほとんどですから、維持管理にもそれなりにお金がかかるのでしょう。

ゴルフ場関係者に年間維持費を聞いてみたところ、「18ホールでもクラブハウスが大きいところもありますし、36ホールでもクラブハウスが小さいところもありますから、一概には言えません」という答えが返ってきました。
ゴルフ場を維持管理する経費としては次のようなものがあるそうです。
「まずはクラブハウスの維持管理費です。これは電気代とか水道代とか、いろいろあります。それとフロントではゴルフ場の運営システムの維持費、レストランでは食材費、マスター室では乗用カートのリース代、コース管理ではコース管理費があります」
「あと、ほとんどのゴルフ場は借地ですから、地代もかかります。地代も借地率によって変わります。一般的にゴルフ場は売り上げの8割が固定費だと言われています。その固定費を下げる努力はしますが、3億円稼いだら、2億4000万円が経費で飛んでいくわけです。そこから従業員の給料を払ったり、設備投資を行ったりします」
ゴルフ場の運営システムの維持費というのは、誰が何番のロッカーを使って、そのロッカー番号の人の料金はいくらと精算できるようにするためのシステムであったり、メンバーの年会費の入金管理を行ったりするシステムなどの外注費です。
「サーバーがゴルフ場にあるのかどうかによっても、システムの維持費が全然違います。月5~10万円で済んでいるところもあれば、月20~30万円かかっているところもあります」
また、コース管理費もホール数や芝生の種類、気候条件などによってまったく変わってくるそうです。
「たとえばグリーンがベント芝で、フェアウェイがコウライ芝のコースと、全部コウライ芝のコースでは管理費が変わります。九州や沖縄に行けばバミューダ芝もあります。それが18ホールなのか、27ホールなのか、36ホールなのかによっても値段が変わります。コース管理費はお金をかけようと思えばいくらでもかけられますから、上限はありません」
顧客満足度を高めるためには、コース管理にお金をかけてコンディションを整える必要があります。
ただ、そのぶんプレー料金が割高になると、顧客満足度が下がりますから、さじ加減が難しいところです。
「ですから売り上げが5億円あるのに赤字のところもあれば、売り上げが3億円しかなくても黒字のゴルフ場もあります」
ゴルフ場単体として黒字を出す必要がないコースもある
ただ、ゴルフ場にもいろいろあり、大手ゴルフ場運営会社の系列コースもあれば、親会社の本業が別にあり、ゴルフ場は副業として営業しているケースもあります。

「オーナーさんがゴルフ場で儲けたいのか、自分がプレーできればいいのか、税金対策で持っているのかなどによっても、年間維持費は変わってくると思います」
1990年代後半から2000年代前半は維持管理費がまともに捻出できないゴルフ場がけっこうありましたが、そういったゴルフ場の多くが法的整理を経てオーナーチェンジしました。
新しいオーナーはそのゴルフ場に何らかの魅力を感じてコースを取得しているわけですから、年間維持費もそれなりにかけているところが以前と比べて増えている気がします。
それ自体はゴルファーにとって喜ばしいことですが、クラブハウスが必要以上に豪華なゴルフ場は、新しいオーナーが建て替えるわけにもいきませんから、その維持管理費もプレー料金に加算されているのかと考えると、多少複雑な気持ちにもなります。