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- 素朴な疑問…なぜゴルフクラブは「14本」しか使えないのか?
ゴルフ規則では、「14本を超えるクラブを持ってスタートすること」は禁止されています。これに違反すると、ストロークプレーの競技では1ホールにつき2罰打、1ラウンドで最大4罰打が課せられます。なぜ、クラブの本数は14本に決められたのでしょう?
過去には55本のクラブでラウンドした選手がいた!?
ゴルフでは、飛ばしたい距離や状況に応じて選べるさまざまな種類のクラブがあります。ボールを遠くへ飛ばすための「ドライバー」、正確にグリーンを狙う「アイアン」、アプローチでさまざまな球を打ち分ける「ウェッジ」など、ロフト角や長さによって細かく分けられています。

このようにさまざまな種類のあるゴルフクラブですが、1回のラウンドで持ち込める本数には制限があります。2022年1月現在のゴルフ規則では「14本」と決められており、ゴルファーは自分のプレースタイルに合わせて、適切なクラブを選ぶ必要があります。
ではなぜ、ラウンドで使用できるクラブ本数に制限があるのでしょう?
これには諸説ありますが、1859年の全英アマに出場したジラードという選手のエピソードが有名です。ジラード選手は、2台のリヤカーに樽を乗せ、その中に55本のクラブを入れて、競技に臨んだというのです。
55本のクラブを運ぶため、キャディーに大変な負荷がかかり、プレー中のクラブ選択にも多くの時間を費やすなど、さまざまな問題が出たと言われています。
競技後、ジラード選手についたキャディーが、ゴルフ界のルールを決定する「R&A」にクラブの本数を制限するように直訴。すぐに理事会が開かれ、最初はクラブ本数を「1ダース(12本)+パター1本の合計13本」とする方向で検討されたようです。
しかし、理事の1人が「ゴルファーは縁起を担ぐことも大事。13は不吉な数字なので14本にしたらどうか」と異論を唱えたことから、1本追加して「14本」に決まったと言われています。
このように、クラブ本数が制限された背景には、「本数が多いとキャディーの負担が増える」「クラブ選びに時間がかかってスロープレーにつながる」といった理由があったようです。
本数制限がない時代にはクセの強いクラブがたくさんあった
ラウンドで使用できるクラブ本数に制限がなかった時代は、今ほどゴルフ場の整備が行き届いていませんでした。生活環境とゴルフ場が隣り合うような状況だったため、ボールを曲げたら、生活用の水路に入ってしまった……なんてこともあったようです。
そのため、さまざまな状況に対応する独特なクラブが多数生み出された時代でもありました。ゴルフ場のコンサルティングを行う株式会社TPC代表取締役社長の飯島敏郎氏は、以下のように話します。
「昔は、クラブを工夫することも楽しまれていました。たとえば、池の中にあるボールをショットできるように、アイアンの打点部分だけを切り抜き、水の抵抗を最小限に抑えるクラブがありました。水路や溝の多いゴルフ場に合わせて、溝から打ちやすいクラブなどもあったようです」
このように、クラブの本数や形状が規制される前までは、ゴルファー自身がクラブに工夫を施すことも、ゴルフの楽しみの一つでした。それだけに、さまざまな状況に特化したクラブを追加していき、クラブ本数がどんどん増えたのかもしれません。
今では、ルールを守りつつ、性能を高めたゴルフクラブがたくさん存在します。そういった数あるクラブの中から、自分に合った最高の14本を選ぶことが、今の時代にあったゴルフの楽しみ方だと言えるでしょう。歴史と共に、ゴルフの楽しみ方は変化しているようです。
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