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- 便利な「セルフスタンドバッグ」を禁止するゴルフ場が続出!悪者扱いされないよう守るべきマナーとは?
最近よく見かけるようになった「セルフスタンドバッグ」。5本前後のクラブを入れて持ち歩ける便利さから一気に普及した感があります。しかし最近、使用を禁止するゴルフ場が増えているというのです。なぜなのでしょうか?
3~4年前から一気に普及したセルフスタンドバッグ
セルフプレーが主流の現在、ウェッジやパターなどを中心に5本前後のクラブを入れて持ち歩ける小さなサイズの「セルフスタンドバッグ」の愛用者は多いのではないでしょうか。通常サイズのキャディーバッグで足の出るタイプと区別するために「サブバッグ」と呼ぶ場合もあります。
セルフスタンドバッグの人気ブランド、AZROF(アズロフ)の関係者によれば、このタイプのバッグが登場したのは約10年前。
「セルフプレーが増えてきた時に、シニアや女性ゴルファーからの『セカンド以降、クラブを何本も持っていくのが大変』という声を聞いて、持ちやすいように取っ手をつけたりと、改良してブランドを立ち上げました。パイオニアとまでは言いませんが、弊社は現在の価格帯で(セルフスタンドバッグを)世に広めていくことできたと思っています。3~4年前が一番売れましたが、今は横ばいの状態」(AZROF関係者)とのことです。
では、セルフスタンドバッグがゴルファーたちの支持を集めた理由は何だったのでしょうか。
利用者の声を総合すると、次のようなものがあげられます。
(1)ライと正確な距離を把握した後で複数のクラブから選択できるため、いざ打つ段になって気が変わりクラブ交換のためカートに戻るようなことがない。
(2)ショット後にクラブを忘れて置いてくることがない。
(3)雨の時に地面に置かないからクラブが濡れない。
(4)ホールアウト後、カートに引っ掛けるだけだから、ほかのゴルファーと一緒に区分けしながらクラブを戻す手間が省ける。
これらは、いずれもスロープレーを防止する要素を含んでいます。
(1)の場面でライが悪かったり、思ったより距離があったりでクラブを取り替えたくなった場合、同伴競技者がたまたま乗用カート近くにいて別のクラブを持ってきてくれない限り、自分が取りに戻るしかありません。そうなれば当然スロープレーになってしまいます。またシニア層からは「特にアップダウンの多い電磁誘導カートのコースでは、カートとボールとの間を行ったり来たりすることがないので非常に楽」という声を聞きました。
(2)(3)の場合はクラブを地面に置くことで起こる問題。雨天時のプレーでは打つ前にタオルでグリップをゴシゴシと拭く手間が省けます。4番もワンアクションで済みますから当然プレーのペースに好影響を与えます。
これだけ見てくると、まさにセルフプレー時代の救世主といった感があり、一気に普及したのもうなずけます。
グリーンに持ち込んで傷つける、カートのカゴが重さでもげる
ところがここにきて、セルフスタンドバッグの使用を禁止するコースが増えてきているのです。例えば茨城県では、過去に男子・女子・シニアと数々のプロトーナメントや日本学生選手権などを開催している江戸崎カントリー倶楽部が、昨年10月1日から使用禁止に踏み切りました。
「セルフスタンドバッグの使用については、以前から個人の管理不足やカートのカゴの破損、グリーンに傷をつける等の事例が発生しておりました。このような事例を防止するため、令和3年10月より使用を禁止といたします。ご承知おき下さいますようお願いいたします」と、公式サイト上で趣旨を説明しています。
江戸崎CCで問題となったのは、まずグリーン上に残されていた「謎の傷跡」。
「グリーンの損傷はピンの近くにまであったため、調査したところ、セルフスタンドバッグを置いた跡だったと判明したのです。セルフスタンドバッグには脚を開いて置くタイプと、底の部分(が針のような形状)で地面に刺すタイプがあるのですが、刺すタイプでも結構グリーンエッジに刺す人がいます。そうした事情もあり、これはいったん全部止めないと、という話になりました」(同コースの関係者)
同県のJGMセベバレステロスゴルフクラブも今年の1月1日から使用を禁じています。同コースの平澤昌久支配人は、その事情を、こう明かしてくれました。
「やはり一番大きい理由は、乗用カートの問題です。元々カゴはバッグをぶら下げるようには作っておらず、せいぜいペットボトルやポシェット程度を入れる強度しかないんです。ところが多い時には(セルフスタンドバッグが)4本かかって、クラブも半分近く入っていることもありました。その結果カゴがもげて落ちる、バッグがカートに当たる、それをカートが轢く、ということが起きました。それで大きな事故になる前に、フェローシップ委員会、競技委員会、さらに理事会という流れで決議されました」
マナーさえ守ればプレーファストに貢献することは間違いない
県単位で対策を講じているケースも少なくありません。群馬県は「支配人会が(セルフスタンドバッグは)玄関では預からず、私物として管理していただく」(群馬県ゴルフ協会の話)というスタンス。禁止とまではいかずとも、続発するトラブルに頭を悩ませている空気は伝わってきました。
国内146のゴルフ場を保有・運営(内リース1コース)するパシフィックゴルフマネージメント(PGM)も「会社としてはセルフスタンドバッグに対する規制は行っていませんが、県のゴルフ協会などが方針を出している場合には、その指示に従ってやっています」(PGM広報グループ関係者)と、地域によっては対応を行っていることを明らかにしています。
その一方で、メーカーサイドも企業努力を怠ってはいません。ダンロップは中央部分に専用の仕切りを設け、セルフスタンドバッグをハンドルごと収納できるキャディーバッグを開発しました。特許も取得したこの新製品は、乗用カートを傷つけることもなく、落下のトラブルも予防できる点で、画期的なバッグだと言えます。
カートの問題はこれでクリアできても、グリーン上までセルフスタンドバッグを持ち込んで芝を傷つけてしまう問題への対策は残ります。前出の平澤支配人も「セルフスタンドバッグを禁止するようになってから(アプローチで使った)ピッチングウェッジなどをグリーン周りに忘れるケースが多くなっています。ペース・オブ・プレーの観点からも、セルフスタンドバッグは貢献していますから、禁止は痛しかゆしの面もあるんです。マナーの向上がなされれば、いくらでも再開はしますという話はしています」と、本音を明かしてくれました。
セルフスタンドバッグをグリーン上には絶対持ち込まない。まずはこの問題をゴルファーが共通の意識として持つことが、セルフスタンドバッグ復権への第1歩であることは確かなようです。
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