2018年以降は約20%を黄金世代が達成! 激増する女子ツアーのホールインワン数を分析してみた

ゴルファーなら誰もが1回は達成したいと願う「ホールインワン」。アマチュアとは比較にならない確率で達成するプロゴルファーだが、近年の女子ツアーではその達成率が顕著に上昇している。その理由を探ってみました。

ホールインワン確率、2010年代に男子ツアーを女子ツアーが逆転

「ホームランは野球の華」という言葉がある。豪快な一発が観客を一気に盛り上げるからだろう。

 ゴルフならばホールインワンか。ホームランよりはるかに希少価値の高い出来事だから、目の当たりにした観客は盛り上がらずにはいられない。

小祝さくらが2018年のKKT杯バンテリンレディスで達成したのが黄金世代初のホールインワン 写真:Getty Images

 もっともコロナ禍が長引き、日本では観客数を絞ったり、無観客だったりと無条件で盛り上がることは難しいが、アメリカでは状況が違う。

 先日「世界一騒がしいホール」とも表現されるWMフェニックスオープン16番ホールで2日連続のホールインワンが達成された時は、ホールを取り囲んだ巨大なスタジムに陣取った2万人を超える観客から地鳴りのような大歓声だけでなく飲み物の缶やペットボトルまでシャワーのように降り注いでいた。

 さて、このホールインワン、国内女子ツアーでグングン増えているということはご存じだろうか。そして、その原動力となっているのが、あの世代なのだ。

 まずは1990年以降で10年ごとに区切った国内男女ツアーそれぞれのホールインワンの確率を見ていただこう。2020年代はまだ2年間(1シーズン)だけのデータになるが、ご了解いただきたい。

      女子       男子
1990~99年 727ラウンドに1回 691ラウンドに1回
2000~09年 625ラウンドに1回 599ラウンドに1回
2010~19年 601ラウンドに1回 747ラウンドに1回
2020~21年 477ラウンドに1回 950ラウンドに1回

 ご覧のように、女子は1990年代10年間のホールインワン確率は727ラウンドに1回だった。それが2000年代には625ラウンドに1回、2010年代は601ラウンドに1回と高くなり、2020、21年、つまり昨シーズンは477ラウンドに1回という高確率を叩き出している。

 対して男子は1990年代、2000年代は女子を上回っていたが、2010年代で逆転され、昨シーズンは大差をつけられる形となっている。

 ちなみに、一般アマチュアのホールインワン確率は2000ラウンドに1回とも3000ラウンドに1回とも言われているから、やはりプロはレベルが違う。

 女子は2018年から増加傾向に拍車がかかっている。2018年に歴代最多となる24回のホールインワンが飛び出し、2019年も23回を記録。そして昨シーズンは2年にわたる異例のロングランだったとはいえ、実に34回もホールインワンが生まれているのだ。

2018年以降にホールインワン数が劇的に上がった要因は「黄金世代」

 では2018年はどんな年だったのか。察しのいい方は分かるだろう。そう、黄金世代の面々が初めてフルシーズン戦った年なのだ。

 アマチュア優勝の資格でプロ転向した畑岡奈紗は別にして、黄金世代のプロテスト初挑戦は2017年。勝みなみ、小祝さくららが7月の最終テストをクリアして夏以降順次プロデビュー。そして翌2018年からフルシーズンで参戦しているわけだ。

同一ラウンドで2回のホールインワンというギネス記録を達成した山路晶 写真:Getty Images

 黄金世代のホールインワン第1号は小祝。2018年のKKT杯バンテリンレディスでプロデビュー10試合目のことだった。

 第2号はアース・モンダミンカップで決めた渋野日向子。前年のプロテストは不合格だったが、QTで出場権をつかんでプレーしていた。初日の9番ホール、5番ウッドの一撃で沈めてホールインワン賞600万円を手にしている。この年は大里桃子も決めて黄金世代は計3回だった。

 2019年は河本結と吉本ひかるが2回ずつ、新垣比菜と勝が1回で計6回のホールインワンが飛び出した。2020年は山路晶、渋野、田中瑞希が記録して計3回。

 そして2021年は何と言ってもリゾートトラストレディス2日目に山路が女子ツアー史上初となる同一ラウンドでホールインワン2回という歴史的な快挙をやってのけたことが目立つ。

 これは女子の世界記録としてギネスブックにも認定された。山路のほかには原英莉花、新垣、大里も決めて計5回だ。

 2018年以降の4年間(3シーズン)での黄金世代合計は17回である。この4年間のツアー合計は81回だから黄金世代は全体の21%を占めているわけだ。恐るべき占有率である。

 ここ4年間の黄金世代のホールインワン確率を計算すると269ラウンドに1回だった。ツアー全体の倍近い確率である。この黄金世代のホールインワン率の高さがツアー全体の数字を押し上げているわけだ。

 最後に、畑岡にも触れておきたい。畑岡は日本ではホールインワンがないが、米女子ツアーでは4回も達成している。しかも昨年のウォルマートNWアーカンソー選手権では2日連続のホールインワンまでやってのけている。やはり、黄金世代は何か持っているのだろう。

 来週開幕する女子ツアー、今年はどれだけのホールインワンが飛び出すのだろうか。

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渋野日向子は2回 写真:Getty Images
原英莉花は1回 写真:Getty Images
小祝さくらは1回 写真:Getty Images
勝みなみは1回 写真:Getty Images
河本結は2回 写真:Getty Images
大里桃子は2回 写真:Getty Images
浅井咲希は0回 写真:Getty Images
新垣比菜は2回 写真:Getty Images
臼井麗華は0回 写真:Getty Images
高橋彩華は0回 写真:Getty Images
小祝さくらが2018年のKKT杯バンテリンレディスで達成したのが黄金世代初のホールインワン 写真:Getty Images
同一ラウンドで2回のホールインワンというギネス記録を達成した山路晶 写真:Getty Images

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