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- 「33人の日本選手とマスターズ」戸田藤一郎&陳清水から松山英樹までの戦いをデータで振り返る
間近に迫ったマスターズ。そこで、2021年松山英樹がマスターズを制覇するまでの「日本選手とマスターズの戦い」をデータで振り返ってみました。
1936年の第3回大会から出場していた日本選手
来週は男子メジャー今季第1戦のマスターズが開催される。松山英樹がディフェンディングチャンピオンとして臨む、日本のゴルフファンにとって特別な大会になりそうだ。
そこで、松山が初優勝を果たすまでの日本選手マスターズ挑戦の歴史とデータを紹介したい。

マスターズが創設されたのは1934年のことである。男子メジャー4大会の中では最も新しい。
日本選手が初めて出場したのは1936年の第3回大会。戸田藤一郎と台湾出身の陳清水(後に日本に帰化)がプレーして、陳が20位、戸田が29位に入っている。
実はこの前年にも宮本留吉、浅見緑蔵、中村兼吉に招待状が届いていた。ただ、この3人を含む6選手が4月から米国遠征することがすでに決まっており、マスターズに間に合わせるためには出発を早めなければならなかった。
しかし、招待状が届いた時点で日程を変更することが困難だった。そのために辞退し、幻のマスターズ初出場となったのだ。当時は船で何日もかけて太平洋を渡る旅。現在のように簡単に旅程を変えることができなかったのである。
戦前の出場は1936年の1回きり。戦後初めての参加は1958年の中村寅吉と小野光一だった。この2人は前年、日本で開催された国別対抗戦のカナダカップで優勝したコンビである。
次は5年後の1963年。小野と陳清波が招待された。ここから日本勢は毎年出場。昨年までに出場経験者は33人にのぼる。その中で出場回数トップ5は以下の通りだ。
日本人選手のマスターズ出場回数トップ5
1位 尾崎将司 19回
2位 青木功 14回
3位 中嶋常幸 11回
4位 松山英樹 10回
5位 丸山茂樹 9回
5位 片山晋呉 9回
何十年も前から頂点へ向かう階段を上っていた日本選手
出場回数1位の尾崎将司は1972年、25歳の時が初出場。翌1973年には日本選手初のトップ10となる8位タイに食い込んでいる。ここから、昨年の松山の優勝までの日本選手トップ10を時系列で並べてみよう。
マスターズでトップ10に入った日本人選手
1973年 尾崎将司 8位タイ
1986年 中嶋常幸 8位タイ
1991年 中嶋常幸 10位タイ
2001年 伊澤利光 4位タイ
2009年 片山晋呉 4位
2015年 松山英樹 5位
2016年 松山英樹 7位タイ
2021年 松山英樹 優勝
1986年の中嶋常幸は3日目を終えて2打差6位の好位置につけていた。最終日は2バーディー、2ボギーと伸び悩み、優勝したジャック・ニクラウスから5打差の8位。スコアは通算4アンダーで日本選手初の4日間アンダーパーを記録した。
2001年にはマスターズ初出場の伊澤利光が魅せた。練習ラウンドで伊澤を見たアーノルド・パーマーが「キング・オブ・スイングだ」と絶賛したスイングでイーグル、バーディーを量産。優勝したタイガー・ウッズには6打差をつけられたが通算10アンダーで日本選手最高位を更新する4位タイに入った。

次は片山晋呉だ。8回目の挑戦となった2009年、初日67で4位につけ、2日目は73と苦戦したが6位に踏みとどまる。3日目は70で通算6アンダー。5打差の6位で最終日を迎えることになった。その最終日はアウトを2バーディー、1ボギーで折り返すと、インでは13、16番でバーディーを奪い、最終18番では6メートルを沈めてバーディー。通算10アンダーの4位で終えた。優勝争いは12アンダーの3人によるプレーオフ。優勝者との2打差は当時、最もグリーンジャケットに近付いた瞬間だった。
そして松山。2011年に日本人アマチュアとして初めてマスターズ出場を果たし、4回目の出場となった2015年に5位を記録。最終日に66と追い上げてのものだった。
翌2016年には2打差3位で最終日を迎えた。だが、アウトで3オーバーの39と苦戦。インでは2アンダーの34と盛り返したが時すでに遅し。5打差の7位タイに終わり、悔しさで目を赤くしていた。
ここから5年、2021年は3日目に日本選手大会ベストの65を叩き出して、日本選手で初めてマスターズの首位に立った。4打のリードを持って臨んだ最終日は73と苦しみながらも1打差で逃げ切り。ついに日本男子初のメジャー制覇を成し遂げたのである。
こうして歴史を振り返ると、日本選手は何十年も前から頂点へ向かう階段を少しずつ上っていたことが分かる。最後の1段を上り切った松山が今年はどんなプレーを見せてくれるのか。故障の影響は気になるが、大会史上4人目の連覇を目指して奮闘する姿を期待したい。
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