“チャンスのお値段”は? ツアー出場権をお金で買う「アフィリエイト・メンバーシップ」とは【舩越園子の砂場Talk】

優勝することや賞金・ポイントのランキングを上げることがツアー出場権を得るための王道だが、欧州ツアーやアジアンツアーにはお金を払えば通れる“抜け道”があると言う。

アフィリエイト・メンバーから年間王者になったC・モリカワ

「アフィリエイト・メンバーシップ」という言葉を耳にしたことはあるだろうか。

アフィリエイト・メンバーから、米国人初のレース・トゥ・ドバイ・チャンピオンに輝いたコリン・モリカワ 写真:Getty Images

 ずばり、ツアーに出場する権利を「お金で買う」メンバーシップのことだ。

 戦う場を探し求めている世界各国の選手たちの間でも、この「アフィリエイト・メンバーシップ」は、いまなお知る人ぞ知る存在。だが、この存在を知り、有効活用してきた選手は、実を言えば、すでに多数いる。

 先週、母国・南アフリカで開催されたDPワールドツアー(欧州ツアー)の大会を制し、同ツアー初優勝を遂げたショーン・ノリスも、その1人だ。昨年の日本オープンを制覇し、日本で通算6勝目を挙げたノリスは、「昨年12月、DPワールドツアーの新シーズンが始まるときに、アフィリエイト・メンバーになった」と明かしてくれた。

 一般に、ツアー出場資格を得る方法と言えば、そのツアーで優勝するか、賞金やポイントのランキングで一定以上に食い込むか、あるいは予選会を勝ち抜くといった道を経て、「ついに手に入れた!」と歓喜の声を上げるもの……と認識されているだろう。

 しかし、そのツアー出場資格をお金で買うことができる「アフィリエイト・メンバーシップ」のプログラムを、DPワールドツアーは10年以上前から採用している。

 とはいえ、詳細情報は大っぴらに公表されていないため、それを知り得た一部の選手から他の選手へと口伝えされているような状況だ。ここ数年のSNSでのやり取りの中にも、戦う場を求める若いプロゴルファーたちが「どうやったら情報が得られる?」「なぜ、アメリカのトッププレーヤーたちが、わざわざアフィリエイトになって欧州ツアーに出るんだ?」等々、焦りと羨望と嫉妬が入り混じった声が交錯している。

 その通り、2017年にはジョン・ラームやケビン・ナが、18年にはマット・クーチャーが、その後もトニー・フィナウ、コリン・モリカワといった若手選手たちがアフィリエイト・メンバーとして欧州進出を果たし、モリカワは米国人としては初のレース・トゥ・ドバイ・チャンピオンに輝いた。

 ちなみに、今季のアフィリエイト・メンバーのリストには、フィナウらとともに日本の金谷拓実の名前もある(注・ノリスはすでに優勝者カテゴリーへ移行)。

「お値段」は30万円前後とメリットを考えれば格安

 気になるのはアフィリエイト・メンバーになるための「お値段」だ。分かっている範囲で言えば、12年当時は2000ポンド前後だった。現在のレートで換算すると約32万円ほどになる。おそらく現在はポンドの数字そのものが、もう少し引き上げられていると思われるが、欧米ツアーの高額賞金と比べれば、「お手ごろ価格」だ。

 アフィリエイト・メンバーは、たとえばノンメンバーが特別推薦などで「お客さん」的に出場するケースとは異なり、正規メンバー同様、賞金はもちろんのこと、レース・トゥ・ドバイのポイントも稼ぐことができる。

 そのポイント・ランキングで110位以内に入れば、翌シーズンのシード権が得られ、正規メンバーに昇格する道が開ける。110位以内に入れなくても、145位以内ならQスクール(予選会)の1次予選、2次予選をスキップして最終予選へ直行することができる。

 そのための突破口として、お金を払ってアフィリエイト・メンバーになり、目の前のシーズンの出場権を手に入れて戦うことは、プロゴルファーとしての立派な選択肢の1つだと私は思う。

 さて、その「アフィリエイト・メンバーシップ」のプログラムが、今年からアジアンツアーでも導入されたことは、これまた知る人ぞ知る情報だが、戦う場を探し出すことに貪欲で情報収集力がある選手は、すでに「知る人」となって動き出している。

 今年1月に開催されたアジアンツアーの昨季最終戦、そして日本ツアーでは今季開幕戦にあたる「SMBCシンガポールオープン」で見事2位タイになり、全英オープンへの切符を手に入れた桂川有人は、3月の「インターナショナルシリーズ・タイランド」に推薦出場した際、規定の金額を支払って今季のアジアンツアーのアフィリエイト・メンバーになった。関係者の証言から推測されるその金額は「おそらく30万円前後ではないか?」と見られている。

高額賞金の新ツアーに参戦する道も開ける

 アジアンツアーのアフィリエイト・メンバーになると、どんな「いいこと」があるのかと言えば、チャンスの生かし方次第では、さまざまな「いいこと」が起こりえる。

 当然ながら、今年からアジアンツアーに新設された年間10試合(日本との共催大会含む)のインターナショナルシリーズに出場できる。

 ノーマンはアジアンツアーを「眠れる巨人」と評し、その将来性に賭けて、総額400万ドルをアジアンツアーに投じた。そのおかげで、アジアンツアーはどの大会も賞金総額が100万ドル級、あるいはそれ以上へと大幅アップ。アジアンツアーの「マネー」の魅力は、これまでの比ではない。

 そこで好成績を挙げれば、ノーマンが今年6月から新規で開始しようとしている「リブ・ゴルフ・インビテーショナルシリーズ」への出場の道も大きく開ける。

 ノーマン側の発表によれば、この新シリーズは6月から10月までの間に世界各地で8試合が開催される予定で、ロンドンのセンチュリオンGCが舞台となる初戦は6月9日から11日、予選カットなしの54ホール3日間で競われ、個人戦とチーム戦の両方が同時進行で行なわれる。

 出場枠は48名とされており、DPワールドツアーから3名、PGAツアーから3名、オーストラレイジアツアーから2名という具合に48名の枠は各ツアーごとに割り当てられており、なぜか日本ツアーからは6名という最大枠が設定されている。

 そして、アジアのインターナショナルシリーズからは3名、アジアンツアーからはさらに推薦等で3名、そして世界ランキングからは上位22名の枠がある。

 つまり、日本ツアーの選手がアジアンツアーのアフィリエイト・メンバーになって好成績を挙げれば、日本、アジア、世界ランキングなど、さまざまな枠からの出場が可能となり、夢のような高額賞金を稼ぎ出すことも可能になる。

 そのための突破口として、数十万円を支払ってアフィリエイト・メンバーになることは、リーズナブルな投資だと言えなくはない。

 ただし、米欧両ツアー側がノーマン率いる新ツアー(新シリーズ)、そして実質的にその傘下に入った形になったアジアンツアーに向ける視線は、きわめて厳しい。

 そうしたすべてを考慮に入れた上で、自分自身の戦い方を熟考してほしい。世界のどこで戦うにしろ、何はともあれ、心技体を磨くことが大前提となることは言うまでもない。

 だが、欧州進出も、アジア進出も、リーズナブルな投資によって、最初の扉を開くことはできる。戦う場は自分で選び、自分で手に入れていく。そういう時代が到来しつつあると言えそうである。

【仰天写真】ショーン・ノリスの母国、南アには野生のワニ、カバ、サルがコースに出る試合も!

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