予選通過し「軍白期」明けとしては上々のスタート
日本男子ツアー通算4勝の韓国人プロゴルファーのハン・ジュンゴンが約2年の兵役を終え、ツアーに復帰しているのをご存じだろうか。

今季の日本ツアー開幕戦「東建ホームメイトカップ」に出場したハンは、通算1オーバーの48位タイで復帰初戦を終えた。先週開催された韓国男子(KPGA)ツアー開幕戦「DB損害保険プロミオープン」にも出場し、予選を通過して49位タイに入っている。
ハンにとっては約2年ぶりの実戦。除隊後に結果が出ないアスリートが多いため、「軍白期」(=兵役による空白期間)という表現があるほど。それからすれば、ハンの成績はまずますと言える。
ハンはアマチュア時代は無名の選手だったが、プロ入り後に才能が開花。2011年に日本ツアーでプロデビューを果たし、12年から韓国ツアーにも出場。日本ツアー通算4勝、韓国ツアーでも2勝している。
脂の乗っていた時期だったが、兵役の義務を果たすため、2020年から軍隊入り。ゴルフニュースサイト「韓経ゴルフ」によると、ハンは「社会服務要員」(現役兵の代替として公的機関で勤務する制度)として税務署に勤務。入口の案内デスクで顧客対応の仕事を任されたという。
その姿を想像すると違和感しかないが、ハンはそこで学んだことについてこう明かしている。
「税務署には良いことで訪ねてくる人はあまりいませんよね。複雑な感情を持った人たちに対応するのが日課でした。そのため感情のコントロールをしっかりできるようになったかもしれません。選手の感情を受け止めるキャディーの気持ちもよく分かるようになりました。復帰後はキャディーとうまく息を合わせられると思います」
2年のブランクがあるとはいえ、考え方ひとつで何事もプラスに変えることができる。ハンはこうした経験から、メンタルのコントロールはゴルフにも生かされると考えている。
雨対策でトレードマークの黒縁メガネを卒業

昨年11月に除隊したハンは、その後、アメリカ合宿で感覚を取り戻すための練習に取り組んだ。「衰えたヘッドスピードが元に戻りつつある」と自信を見せている。
ちなみに除隊後の彼の姿を見て少し違和感があったのは、トレードマークだった“黒縁メガネ”を外してプレーしていたからだ。
「韓経ゴルフ」が、ハンにメガネをやめた理由について聞くと、「メガネをするのはすごく楽なのですが、雨が降ると見えにくくなるので、これからはコンタクトレンズでプレーする予定です」と語っている。
メガネをしていないハンはパッと見では誰なのか分からないほどだ。次は日本ツアーの中日クラウンズ(4月28日~5月1日)に出場予定。上位進出を果たして、メガネをかけていないキリリとした表情を多くのファンに見せてほしいところだ。
その後の目標については「(9月の)米ツアー下部『コーンフェリー・ツアー』のQスクールに向けて、コンディション管理をしているところです」と、米ツアー進出へ意欲を見せている。
「軍白期」を乗り越えて、日本、そして米国で入隊前以上の活躍を見せてくれることに期待したい。