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- 「ある数値の急上昇」が過去の女王たちと酷似 西郷真央の賞金女王獲得を裏付けるデータとは!?
7戦4勝、トップ10フィニッシュ率100%という驚異の成績でメルセデス&賞金ランキングトップを独走する西郷真央。彼女の強さを分析すると、昨シーズンからの「リカバリー率」の上昇がポイントになっているという。
「リカバリー率」がトップ君臨のカギ!
西郷真央がパナソニックオープンレディースを制して早くも今季4勝目を挙げた。出場7試合で4勝、2位2回。最も悪い順位でも10位という驚異的な成績でメルセデスランキング、賞金ランキングともに独走中だ。
圧倒的な強さの要因はいくつかあるだろうが、ここで取り上げたいのはグリーンを外したホールでパーセーブ(チップインバーディを含む)した確率を示すリカバリー率である。一見、地味なデータだと思われるかもしれないが、実はトップに君臨するためにはカギとなるものなのだ。
昨シーズン、西郷のリカバリー率は63.6496%で部門24位。中の上というところだ。対してパーオン率は74.5448%で部門3位と非常に高い数字を残していた。ショット力は元々、トップクラスだったのである。
今年、西郷のパーオン率は75%ちょうどで2位。昨シーズンとほぼ同じである。一方でリカバリー率は77.7778%と飛躍的に向上して部門1位に立っている。これは、賞金女王に上り詰めた多くの選手と同じ傾向なのだ。
2000年以降、賞金女王の座に就いた日本人選手は8人いる。この8人の初賞金女王時とその前年のリカバリー率とパーオン率の順位を比較してみよう。
◆過去の賞金女王、「リカバリー率」と「パーオン率」の前年との比較
選手名 リカバリー率 パーオン率
不動裕理(2000年) 13位→1位 2位→1位
大山志保(2006年) 25位→3位 1位→1位
上田桃子(2007年) 37位→2位 4位→2位
古閑美保(2008年) 15位→5位 7位→9位
横峯さくら(2009年) 24位→1位 2位→1位
森田理香子(2013年) 22位→36位 11位→7位
鈴木愛(2017年) 5位→5位 29位→11位
稲見萌寧(2020-21年) 14位→2位 1位→1位
2013年の森田理香子と2017年の鈴木愛を除く6人は賞金女王になる前年からパーオン率は上位。ショット力は高かったのである。
一方で、この6人はリカバリー率が低かった。それが、賞金女王に輝いた年は6人とも飛躍的に上昇している。パーオン率も上昇傾向だが、もともと高かったためそれほど目立っていない。2009年の横峯さくらと昨シーズンの稲見萌寧はパーセンテージが下がっていたほどだ。
鈴木は前年から小技がうまいタイプだったから、リカバリー率は横ばい。森田は平均ストローク5位で賞金女王になった特異な存在なので例外的に考えたい。
何が言いたいかというと、ショットメーカータイプの選手が頂点に立つにはリカバリー率の向上が不可欠だということ。不動、大山、上田、古閑、横峯、稲見という面々はもともと高かったショット力に小技の巧みさが加わったことでブレークを果たしたのである。西郷は間違いなくその系譜を継いでいる。
師匠である尾崎将司もリカバリー率1位の常連だった
西郷の師匠である尾崎将司は豪打が目を引いた選手だが、絶対的な強さを支えていたのは小技だった。実際、5年連続賞金王となった1994年から98年の期間でリカバリー率1位が実に4回もあった。
タイガー・ウッズも同じ。リカバリー率(米ツアーの名称はスクランブリング)1位になったことが3回あるが、そのシーズンはすべて賞金王となっている。
西郷が憧れの選手に挙げる不動は2000年から6年連続で賞金女王に輝いているが、4年目の2003年には10勝という記録的なシーズンをつくった。この年のリカバリー率は前年より約10ポイント上昇の71.3542%でもちろん1位。女子で初めて70%超えを果たした年だった。
リカバリー率は単純に小技がうまいというだけでなく、ゲーム運びのうまさが表れるものである。
尾崎やウッズが、いくら小技がうまいといっても難しいアプローチを残してばかりでは、リカバリー率は上がらない。正しくゲームを組み立てているからこそ、グリーンを外しても寄せやすいアプローチが残る確率が高くなる。だからリカバリー率も上がるのだ。
パナソニックオープンレディース最終日、強い風が吹く中、西郷は7回もグリーンを外した。だが、ボギーは1個もなかった。将棋で言うところの「正着」を指し続けた結果だと思う。
この確かなゲーム運びが西郷のリカバリー率の高さ、ひいては圧倒的な強さにつながっている。15番のショットインイーグルも、その延長線上だろう。尾崎やウッズが、しばしば劇的な1打でトーナメントを制していたことを思い出した。
西郷 真央(さいごう・まお)
2001年10月8日生まれ、千葉県出身。2019年、高校在学中にプロテスト合格。2020-21年シーズンはトップ10フィニッシュが21回と安定した成績を残した。2022年シーズンは開幕戦で初優勝を挙げると、4戦目となるアクサレディス、5戦目のヤマハレディースを連勝するなど早くも4勝。島津製作所所属。
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