“体重移動”と“スエー”は何が違うのか
“体重移動“はその名のとおり体重を移動させる動作ですが、スエーはヨコ方向に体の位置が動く事を意味します。

8万人以上のゴルファーにアドバイス経験を持つインドアゴルフレンジKz亀戸店・筒康博ヘッドコーチは「どちらも『移動』ではあるので、特にビギナーが混同しやすいのも理解できます。しかし、“体重移動”と“スエー”には大きな違いがあります」。一体、どんな違いがあるのでしょうか?
まず、ティーチングする側が「もっと“体重移動”しなさい」などとレッスンをしますがスイング動画には“体重移動“そのものは映りません。もちろん、スイングの各シーンを見れば大体どのくらいの体重配分になっているか? ティーチングしている側の人間には分かります。

しかし、レッスンの受け手であるゴルファーに対して「もっと“体重移動”しなさい」は、少しナンセンスなアドバイス。今は簡単に体重移動を測定できるので、可視化&共有してあげるべきだと思います。
必ず起きる“体重移動” をどう活用するかが重要
そもそも、ビギナーはスイングにおける“体重移動”に関して、誤解している部分があります。クラブと腕を動かしスイングを行うこと自体、その重さは移動します。つまり“体重移動”自体は、どんなゴルファーにも起こっているのです。

ではなぜ“体重移動”が必要なのか?
それはスイングした結果として行うのではなく「動きのきっかけ(トリガーアクション)」として“体重移動”を活用すると、クラブや身体の動きがスムーズになってスピードとパワーを出しやすいということです。
具体的には右足方向への“体重移動”をきっかけに、クラブと腕を動かし、体を捻転しながらトップへ持っていくバックスイングをして欲しいという事です。トップからダウンスイングにかけては、ワンテンポ早い感覚で“体重移動”します。下半身から順番にスタートする事で、手先だけを使ったスイングに比べてスムーズかつパワフルになるのです。
実は“体重移動”がうまく使えると、スイング中の頭のブレが少なくなる大きなメリットがあります。頭の位置がブレなくなる事でボールが見やすくなり、クラブと体の動きはダイナミックになるので、飛距離アップ効果も期待できるのです。
アドレス作りに体重移動の「コツ」がある
“体重移動“を効率良く取り入れているスイングには、ある「動作」が共通してみられます。それは下半身を固定せず、パタパタと動かしながらアドレスを作っていることです。

ゴルフスイングは「静から動」の動作ですが、できるだけ「動」のままスイングをスタートする事でスムーズな“体重移動”を活用できるのです。
個人差はありますが「左右」にパタパタしながらアドレスを行ったり、「上下」に体重を感じながらスイングをスタートする「きっかけ」を習慣にすると、トップから切り返し時にも無理なく“体重移動”を活用しやすくなります。
【解説】筒 康博(つつ・やすひろ)
伝説のプロコーチ・後藤修に師事。世界中の新旧スイング方法を学び、プロアマ問わず8万人以上にアドバイスを経験。スイング解析やクラブ計測にも精通。ゴルフメディアに多数露出するほか、「インドアゴルフレンジKz亀戸」ヘッドコーチ、WEBマガジン「FITTING」編集長を務める。