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- 「消えた天才ゴルファー」を作らないために… 米国との違いから日本のジュニア育成を考える
ジュニアゴルファーの育成は米国と日本では大きく違っているという。そこで、具体的な違いを比較しながら、ジュニア育成について考えてみました。
小学生からうまくても才能があるかは分からない
ジュニアゴルファーの育成に力を入れているゴルフコーチと先日、話をする機会があり、いろいろと考えさせられることがありました。
彼は小学生のときからプロ野球選手を目指して野球に取り組んでいたものの、中学で身長が伸びなくなって高校からゴルフを始めたという経歴の持ち主です。
ゴルフでプロを目指すつもりはなかったのですが、大学時代に米国へ留学し、現地のゴルフアカデミーで腕を磨いていたところ、米国の大学のゴルフチームから「ウチの大学に来ないか」というスカウトを受けました。
彼は日本の大学に籍が残っていたので、そのスカウトを断ったところ、ゴルフアカデミーのコーチから「大学のゴルフチームでプレーしないのであれば、アマチュアで君よりも上手な選手はいないからプロ転向したほうがいい」と言われ、プロ転向したそうです。
でも、帰国して日本の大学を卒業した後のプロ生活は華々しいものではありませんでした。賞金を稼いで生計を立てることはできず、ティーチングに専念するようになりました。
彼は自分の子どもが小学1年生になった年からジュニア育成に力を入れ始めました。ただし、自分自身がプロゴルフのタフな部分を経験してきたので、子どもたちにゴルフを教える際に心がけているのは「ゴルフを楽しんでもらうこと」です。
「子どもたちがプロゴルファーを目指すかどうかは本人が決めることですし、目指すことになったら『頑張れよ』と応援しますが、小学生の子どもたちにゴルフの才能があるかどうかなんて僕には分かりません」
「子どもたちが中学で身長が伸びるかどうかも僕には分かりません。その子が将来、どれくらい一生懸命に練習するか、試合で優勝争いしたときに冷静でいられるかどうかも分かりません」
「彼らがゴルフを楽しんで、好きなようにやれば、結果的に伸びる可能性はありますが、小学3~4年生の子どもにゴルフの才能があるかどうかなんて、この仕事を20年していますけど僕には分かりません」
「天才少年」「天才少女」とチヤホヤするのは“消えた天才”を作るだけ
一方で、日本のマスメディアは小学生が世界のジュニア大会で好成績を挙げたりすると、すぐに「天才少年」「天才少女」と騒ぎ立てます。でも、ゴルフは早く始めた子がうまくなるのは当たり前です。
米国ではゴルフだけでなく野球やバスケットボールなど他のスポーツにも取り組みながら高校生になるころに特定のスポーツに絞り込んでいくのが主流です。日本人のように子どものころからゴルフばかりしている選手は皆無です。
前述のゴルフコーチは日本と米国のジュニア育成の違いについて次のように語ります。
「日本や韓国はジュニア時代からずっと試合に出続けて、そこで勝ち続けてプロを目指すのが主流です」
「じゃあアメリカはどうかと言いますと、小学生も中学生もジュニア大会はありません。全米ジュニアは高校生からです。それでもPGAツアーで一番多い国籍はアメリカ人なので、別にそういう風にやらなくてもいいんじゃないかと思います」
子どもたちがいいスコアで回れるようになったとしても、フィジカルもメンタルもまだ成長過程ですから、技術的に優れているというだけの話です。それに対して「天才少年」「天才少女」と周囲の大人がチヤホヤするのは百害あって一利なしです。
米国ではタイガー・ウッズが幼少期からゴルフを始め、「天才少年」と呼ばれた選手がそのまま世界の超一流選手になったというケースがあります。しかし彼の選手生活を見ていると、肉体を追い込み過ぎたり精神を追い込み過ぎたりする気質はジュニア時代に受けたスパルタ指導の弊害ではないかと感じることがあります。
日本でも「天才少年」「天才少女」と呼ばれた選手がプロになってもそれほど活躍できなかったり、プロにさえもなれなかったりするケースがあります。
子どもたちがジュニア時代からプロゴルファーを目指すことを否定するつもりはありませんが、周囲の大人はプロゴルファーになれなかったときのことも考えてリスクヘッジ(危機回避)してあげるのが正しい接し方のような気がします。
ゴルフというスポーツ自体がリスクを取ったりリスクを回避したりしながら、どうやってリワード(報酬)を得るかを競い合うスポーツですから、それを見守る大人もリスクとリワードのバランスを考える必要があると思います。
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