「自分の価値観」を押し付けるゴルファーの特徴とは?
多くの人にとって、ゴルフは「紳士淑女のスポーツ」「趣味」「大人のコミュニケーション」、いや「メンタル格闘技」「自分との戦い」「人生そのもの」など、個々で取り組み方が非常に多様です。そんな中で、周囲の影響を受けながら様々な経験をします。
プロゴルファーのトーナメント優勝のように、多くの人が認めてくれるような機会は、よほど有名な大会で成績を残さない限りアマチュアゴルファーにはありません。

自分のためにゴルフをやっているはずなのに、歳を重ねて上達した人ほど「強い承認欲求」を満たすべく“持論”を展開しがちです。ビギナーからゴルフの楽しさを奪うマウント行為が、リアルでもネットコメントでも繰り広げられているのです。
ゴルフ仲間でもないのに初対面で「平均スコアは?」「平均飛距離は?」から始まり、「上達には何が重要?」「初心者はドライバー要らない」「オーバースペックじゃうまくならない」「シャフトの違いが分かってない」など取り組み方にまで首を突っ込んできます。
もし“持論”ゴルファーが私の店にいらっしゃったとしても、「ゴルフの楽しみ方」の一つですから否定はしません。ただ、周りを不快にさせるマウント行為はやめていただきたいと思っています。
奇抜な「新〇〇理論」はただの“持論” でしかない
みなさんの周りに「教え魔」ゴルファーはいますか?
スイングやレッスンにおいて、日本のゴルフ界には「最先端〇〇」や奇抜な「新〇〇理論」が無数に存在します。ランニングで例えれば「後ろ向きに走ると速くなる!」くらいのカオスな謎理論も堂々と発信されています。

これらの「〇〇理論」は、単に「自分がうまくなったコツ」でしかありません。ちなみに海外レッスンでは「Tip(ヒント)」「Way(方法)」の言葉は多く使われますが、よほど体系化された本でもない限り「Theory(理論・学説)」や「Method(論理的方法)」の重い意味の言葉は使いません。
ちなみに「〇〇理論で優勝できました!」とインタビューしているプロの優勝スピーチを聞いた事がありますか? きちんとしたデータでもない限り、「承認欲求」を満たすための“持論”だと思って間違いないでしょう。
ネットでも何のエビデンスもなくコメントでバトルしている人を見かけますが、ゴルフの特性上「他人を否定して」自己評価を上げないとモチベーションが保てない事情もあるのかもしれません。
“持論”を展開するゴルファーの悲しい「価値観」も理解してあげなければいけないのかも知れませんが、みなさんが共有・実行する義務はありません。
マウントを取らない「誘われる」ゴルファーの特徴
クラブ選びに関しても、「初心者は新品を買うな」「何を使っても一緒」「ドライバーは要らない」など、他のスポーツでの道具選びと比較すると完全に「カオス」状態です。メーカー契約があるプロならともかく、自分のお金でクラブを購入する「完全契約フリー」であるアマチュアゴルファーが、他人に“持論”を展開される筋合いはありません。
ベテランゴルファーが中古を長く使うのも、初心者が最新モデルのフルセットを購入するのも「自分のスタイル」の中で楽しめているなら問題ありません。

決して自分の価値観や持論を周りに押し付けない「マウントしない」ゴルファーには、必ず周りにラウンドに誘ってくれる仲間がいます。スコアにシビアな競技ゴルファーでも、スイング研究会でも、ギアオタクでも、アパレル好きでも、お互いに自分の価値観を相手に強要しないゴルファーはたくさんいます。
逆に、どんなにスコアがよくても、スイングがキレイで知識が豊富でも、周りが「大人の愛想」で付き合っているだけの「承認欲求」ゴルファーには近づかない方がよいでしょう。
いや、こんな僕の話でさえみなさんからすれば“持論”でしかありませんね。
【解説】筒 康博(つつ・やすひろ)
伝説のプロコーチ・後藤修に師事。世界中の新旧スイング方法を学び、プロアマ問わず8万人以上にアドバイスを経験。スイング解析やクラブ計測にも精通。ゴルフメディアに多数露出するほか、「インドアゴルフレンジKz亀戸」ヘッドコーチ、WEBマガジン「FITTING」編集長を務める。