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- 「ここは井上誠一だから良いコースだよ」上司が言ってたゴルフ場設計の巨匠は何が凄いの?
ゴルフ場に詳しい上司や先輩ゴルファーから「井上誠一」という名前を聞いたことがある人もいるのではないでしょうか。日本を代表するゴルフ場設計の巨匠として知られ、多くのファンがいますが、井上設計の何が凄いのでしょうか?
アリソンではなくマッケンジーに師事していた井上誠一

川奈ホテル富士コースを設計したチャールズ・ヒュー・アリソンの弟子として紹介されることの多い井上誠一ですが、実際にはわずか2カ月半の仕事場近くに居合わせたにすぎず、アリソンから設計思想を学んだとは考えにくいです。霞ヶ関カンツリー倶楽部のコース設計にスタッフとして関わった際には、オーガスタナショナル、サイプレスポイント、メルボルンゴルフクラブなどを設計しているDr.アリスター・マッケンジーのコース写真や記述を入手し、それらを参考にしました。
Dr.マッケンジーは、ゴルフ場設計家になる前には眼科医として従軍していた経歴があります。Dr.と呼ばれる所以ですが、井上家が代々眼科医だったことが、マッケンジーに対する親近感を抱かせたとも考えられます。
マッケンジー以前のゴルフコースは、リンクスランドと呼ばれる自然の土地をそのまま生かしており、コースレイアウトを決めるのが一番の仕事でした。しかし、ゴルフブームの影響でリンクスランドにゴルフ場が溢れたため、内陸の土地にまでゴルフコースが造られ始めます。山を削り、土地を造成して、プロジェクトとしてゴルフ場全体をデザインする試みが始まったため、ゴルフ場設計にコスト概念が持ち込まれました。
ゴルフコースの元々のお手本はリンクスの自然なコースなので、それに近い形を人工的に作ろうとDr.マッケンジーは考えました。コスト削減のために、バンカーを掘った土で別の場所にマウンドを作り、地形に変化を造るなどの工夫もしました。
そのようなDr.マッケンジーの手法を、実際にコース設計に取り入れたわけですが、日本のゴルフコースが設計されるようになったばかりの草創期だった時代背景も味方しました。ゴルフ場バブル以前の日本では、用地と施工業者にも恵まれていました。コースを造るのに最適な立地と豊富なリソースに恵まれていたからこそ、素晴らしいコースができたとも言われています。
それでも日本人はみんな井上誠一が大好き
井上誠一のコースが海外ではまったく評価されないのに、日本で良いと言われるのはどうしてなのでしょう。それは井上誠一のコースが、ゴルフが大好きな日本人の情緒に訴えるからに違いありません。井上誠一のコースは、「女性的な」という、現代にはそぐわないセクハラまがいの表現で形容されることが多いです。コースの造形物が曲線で形づくられ、その稜線と空とのコントラストは日本画や浮世絵をモチーフにして“描かれている”と表現されます。
ゴルフコースを“描いた”井上誠一の作品は、例えるならば、昔の人が想像した麒麟や獅子のようなものかもしれません。本物を見たことがない中でイメージを膨らませ、造り上げられた創作のゴルフコースだからです。それは井上が晩年にスコットランドを初めて訪れた際に「もっと早くここに来たかった」と涙を流し、帰国後にはしばらくゴルフコース設計から離れていたというエピソードにも現れています。
井上誠一のゴルフコースが日本人を惹き付けてやまないのは、“本物”とは違うけれど、戦略性の出来不出来を超えた、日本人の情緒をくすぐる人智と芸術的価値を見出せるからでしょう。
参考文献:
『遥かなるスコットランド 名匠井上誠一伝』(早瀬利之/廣済堂出版)
『井上誠一 大地の意匠』(山田兼道/ピップス)
『いつか、ここで。井上誠一のゴルフコース 日本のゴルフ遺産をまわろう』(山田兼道/ゴルフダイジェスト社)
“Some Essays on Golf Course Architecture” H.S. Colt and C.H. Alison, Coventry House Publishing
“Golf Architecture” Dr. A. Mackenzie, Coventry House Publishing
“Methods of Early Golf Architecture” Alister Mackenzie, H.S. Colt, and A.W. Tillinghast, Coventry House Publishing
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