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- 小学生がゴルフ場の閉鎖危機を救う!? “修学旅行の代わり”だった茅ヶ崎ゴルフ場の卒業イベントが継続した大きな意味
3月7~9日の3日間、神奈川県のGDO茅ヶ崎ゴルフリンクスで〈茅ヶ崎市 卒業記念「Special Days」 in GDO茅ヶ崎ゴルフリンクス〉が行われ、今春卒業を迎える市内の6年生たちが、アプローチゲームやフットゴルフに歓声を上げました。このイベント、最初は2021年に修学旅行に行けなかった児童たちの代替行事として行われましたが、今年の6年生は幸いにして修学旅行を楽しむことができました。それでも継続となっていることには、ゴルフ場にとっても大きな意味がありました。
地元・茅ヶ崎市も神奈川県もゴルフ場存続の方向で固まりつつある
ここ10年余り閉鎖の危機に立たされてきた名作ゴルフ場が、近隣の小学校や地域社会と手を携えることにより、存続への道を一歩ずつ確かなものにしています。
そのゴルフ場とは、GDO茅ヶ崎ゴルフリンクス(神奈川県)。現在はパブリック営業となっていますが、元は茅ヶ崎ゴルフ倶楽部の名称で運営されていたメンバーシップコースで、西の名匠とうたわれている上田治が関東に残した数少ないコースの一つ。地元の人たちからは「茅ヶ崎ゴルフ場」の名でも親しまれてきました。9ホールのため注目されることは少ないですが、その設計の巧みさと1957年の開場以来、茅ヶ崎の地に根差してきた歴史や文化的背景は、多くのゴルフ場愛好家から高い評価を受けています。
そんな名作ゴルフ場がなぜ閉鎖の危機に立たされてきたのか。経緯をかいつまんで振り返ると、事の発端は2012年。主たる地権者である神奈川県が、地代の値上げを通告。当時の運営会社は据え置き交渉を行いましたがかなわず、撤退を決めました。その後は別の事業者が土地の利活用方法が決まるまでの暫定措置としてゴルフ場としての運営を続けましたが、16年に公募によって電通・東急のグループが複合商業施設を造る案で優先交渉権を得ると、年度末でのゴルフ場の閉鎖が確定的になりました。
しかし、同地周辺は火災での延焼が広がりやすい木密地域であり、ゴルフ場が広域避難場所となっていたことから市民が反発。粘り強い抗議活動に屈する形で程なく電通・東急は優先交渉権を辞退しました。
その後、再び暫定措置としてのゴルフ場営業を経て、21年度からはゴルフダイジェスト・オンライン(GDO)が地権者である神奈川県、茅ヶ崎協同株式会社と本契約を結んで正式な運営事業者となり、名称もGDO茅ヶ崎ゴルフリンクスと改めて現在に至ります。
しかし、本契約とはいっても、この契約は5年間の期限付き。その後どうなるかは予断を許しません。20年に同地の利活用について県議会で質問を受けた黒岩祐治知事は、5年間はゴルフ場として活用することを明言しつつも「(新型コロナウイルス)感染症の収束状況や経済の回復状況を見据えながら、新たな利活用の方法について、茅ヶ崎市ともよく調整し、検討してまいります」と、別の可能性を排除しない答弁を行っているからです。
これは、そもそもゴルフ場としての利活用を決めた理由を「コロナ感染症の収束が見通せない中、新たな事業提案を公募したとしても事業者からの応募が見込めないことから」としていることを踏まえると、なおさらゴルフ場存続派は油断できないことになります。
その後、地元と県の意向はゴルフ場の存続か廃止か、どちらに傾いているのか。前述した黒岩知事への質問に立った茅ヶ崎市選出の桝晴太郎県議に聞くと、「私は地元の声を反映する立場としてゴルフ場存続を訴えていますから、地元はもちろんですし、県のほうもその方向になっていると思います」と、現状における手ごたえを教えてくれました。
GDOが正式な運営事業者となって2年弱で、ゴルフ場存続に向けて明るい見通しが語れる状況となった背景は、最近行われた近隣小学校の卒業記念イベントに代表される、地域との結びつきの強化を抜きにして語れません。
GDOではゴルファーだけではない地域住民にゴルフ場を知ってもらい親しんでもらうため、コースを使ってのヨガやドッグラン、ナイトピクニックといった催しでノンゴルファーを積極的に呼び込む取り組みを行ってきました。また、クラブハウス2階のダイニングカフェを常時一般に開放し、今では近隣住民の憩いの場、開放的な景色の中でランチを楽しめる場として親しまれており、お昼時などはゴルファーが入れないケースもあると聞きます。これは同コースが9ホール営業のため、ランチをとらないゴルファーも多いから可能なことと言えます。
他にも、コース管理小屋を改装し、道を挟んですぐのビーチに出るサーファーのためのボード置き場やシャワーを設置したり、早朝から9ホールを回ってリモートワークを行いたい人のためにコワーキングスペースを整備するなど、いかに地域住民のニーズを満たすか、幅広い層から必要とされる施設となれるかに心を砕いているのが分かります。
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