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- 新作は今平周吾がドライバー替わりに使ったほどの飛び! ヤマハのチタン製スプーン新旧モデルを試打比較
2021年に発売されたヤマハ「RMX VD」シリーズのフェアウェイウッドは、飛距離性能の高さから契約外のプロもバッグに入れる隠れた名器でした。その23年の新作は、さらに飛ばせるように進化しているとのウワサが……。その真相を確かめるため、ゴルフライターの鶴原弘高が新旧の2モデルを比較試打しました。
チタンによって低重心化できるから、めちゃ飛ぶ!
近年はヘッド素材にチタンを採用するフェアウェイウッドが増えています。ゴルファーのなかには、なんとなくチタンのほうがフェースの弾きが良くて飛ばせるイメージを持っている人も多いのではないでしょうか。
ただ、フェースの反発性能はルールで規制されていますし、実はステンレスでもチタンと同等の反発性能を出すことは可能です。チタンのメリットは別にあって、それはステンレスよりも比重が軽いために余剰重量を生み出せるところ。チタンによってヘッドをより低重心化できれば、地面から打ってもドライバーのような弾道で飛ばしやすくなるのです。
ヤマハは2021年に発売された前作にあたる「RMX VD フェアウェイウッド」からチタンを採用しています。それも単一素材のチタンヘッドではなく、ボディーに6-4チタン、フェースにβチタン、クラウンにカーボン、ソールに高比重合金を使ったコンポジットモデルです。この21年モデルは契約外のプロもバッグに入れて使うほどの隠れた人気モデルとなり、アマチュアからも「めちゃ飛ぶ!」との高評価を得ていました。
モデルチェンジした23年の新作も、もちろんチタン製です。基本的なヘッド素材や構造は前作から変わっていませんが、高比重かつ大容量のタングステンをソール前部に配置することで、3番ウッドは前作よりもさらに低重心化が図られています。メーカーから聞いた話によると、前作の3番ウッドの重心高さが19mm、新作の3番ウッドはなんと17mmになっているそうです。新作は超が付くほどの低重心ヘッドと言っていいでしょう。
23年の三井住友VISA太平洋クラブマスターズで勝利した今平周吾は、ドライバーをバッグから抜いて、少し長尺化した新作3番ウッドをバッグに入れていました。この新作3番ウッドを使ってドライバー並の飛距離をマークしていたことからも、飛距離性能の高さがうかがえます。
果たして、ヘッドスピード43m/sのゴルファーが打っても、新作を使えば3番ウッドでもっと飛ばせるようになるのか。今回は各モデルに用意されている60グラム台の標準シャフト、フレックスSで比較試打しました。
現代的なルックスの前作と、バルジがあってクラシックな雰囲気の新作
新旧の2モデルを構え比べてみると、別メーカーのクラブのように思えるほど、ヘッドのシェイプや見え方が異なっていることに驚きます。
前作はクラウンに特徴的なグラフィックを採用していて、いかにも現代的なルックス。フェース全面がまっすぐに見えて、直線的に打ちやすそうなイメージがわきます。
それに対して新作は、バルジ(フェース横方向の丸み)がはっきりと見えて、しっかりと叩いても引っかけにくそうな“逃げ顔”です。ヘッドシェイプ全体にクラシックさが感じられ、長年ゴルフをたしなんできた人に喜ばれそうな顔つきのモデルになっています。
新旧どちらのヘッドを構えやすく感じるのかは、使い手であるゴルファーによります。けれど、両モデルともにソールの据わりが良く、フェース面をターゲットに向けやすいところは共通しています。構えたときの印象が異なる2モデルですが、構えやすさではどちらのモデルにも満点を付けていいと思います。
新モデルは驚異的に高い球を打ち出せて、放物線の棒球を打ちやすい
弾道計測しながら打ち比べてみると、総じて新作のほうが少し飛ばせていました。新作のほうが前作よりも打ち出し角が高く、ボール初速を出しやすいところが印象的でした。
筆者はもともと地面から打っても球が高く上がるスイングなのですが、新作を打ったときの打ち出し角の高さは驚異的といえるものでした。もちろん、装着されているシャフトの影響もありますが、新しい「RMX VD」3番ウッドのヘッド性能には十二分に超・低重心設計のメリットが感じられました。
スピン量はともに地面から打つと3300回転前後でしたが、ティーアップしてアッパー軌道でインパクトすると2000回転台にまで収まります。新旧モデルともに、ドライバーのような高弾道かつ低スピンで飛ばしやすいクラブであることは間違いありません。新旧ともに飛ばせるモデルですが、できるだけ打ち出し角を上げたいなら新作を選んだほうがベター。オーソドックスなヘッドの見た目や、すっきりした形状のクラブを好む人にも新作をオススメします。
5番ウッドになると、旧モデルのほうが飛ばしやすい
今回は3番ウッドで試打比較しましたが、5番ウッドになると新旧モデルでの性能差が大きくなるので、購入時には注意が必要です。21年の前作はドライバーのように飛ばせる弾道で人気が出たのですが、一部のプロからは「球がグリーンに止まりづらい」という意見が出ていたそうです。そんな声を反映し、新作の23年モデルでは番手別の重心設計が採用されていて、3番ウッドは高弾道かつ低スピン、5番ウッドはスピンが入りやすく、めくれるような高弾道で球を止めやすいクラブとして開発されています。
プロのように番手ごとに用途を分けて、飛ばす3番ウッドとグリーンを狙う5番ウッドの組み合わせで使いたいなら新作を選ぶといいでしょう。もし5番ウッドでも可能な限り飛ばしたいという人なら、あえて旧作を選んでもいいかも知れません。
試打・文/鶴原弘高
つるはら・ひろたか/1974年生まれ。大阪出身。ゴルフ専門の編集者兼ライター。仕事のジャンルは、新製品の試打レポート、ゴルフコース紹介、トレンド情報発信など幅広く、なかでもゴルフクラブ関連の取材が多い。現在はゴルフ動画の出演者としても活躍中。ギア好きゴルファーの会員制コミュニティサイト『3up CLUB』(https://3up.club/)では、配信される動画のキャスター兼編集長を務めている。Instagram :tsuruhara_hirotaka
【取材協力】フライトスコープジャパン
今回の取材はフライトスコープジャパン本社内のパフォーマンススタジオをお借りし、「FlightScope MEVO Range」と「Pro V1 RCT」ボールを用いて計測を行いました。
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