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- 「6Sシャフト」はもう古い? 50グラム台のドライバーシャフトが流行っている理由
以前はドライバーには「60グラム台のSシャフト」というのが定番でしたが、昨今は50グラム台のドライバーシャフトが流行っています。理由を人気フィッターの石井建嗣(いしい・たけし)さんに聞きました。
5年ほど前まではアマチュアゴルファーのドライバーシャフトといえば「60グラム台のSシャフト」というのが定番で、実際多くのアマチュアゴルファーが何の疑いもなく使用していました。また、ゴルフショップに用意されている試打クラブもそのスペックがほとんどでした。しかし、近年は50グラム台のシャフトの台頭が著しくなっております。今回はその背景と軽いシャフトのメリットをお伝えしようと思います。
背景には「カルカタ」の流行が
そもそも50グラム台のシャフトが流行りだした理由の一つに「カルカタ」の流行があります。5年ほど前から多くのメディアでこの言葉が使われ、簡単にいうとドライバーのシャフトを軽くして硬くしたら飛ぶというトレンドが出来上がりました。そもそもなぜこの「カルカタ」が流行ったのかという点ですが、理由はいくつかあります。まず男女問わず、多くのツアープロがシャフト重量を落として飛距離アップを実現したことが一番の大きな理由でしょう。軽くする最大のメリットはヘッドスピードが上がることです。プロの多くがヘッドスピードアップを実現できたことで実際に飛距離を伸ばし、この流れがメディアを通じてアマチュアに浸透したというわけです。
もう一つの理由はシャフトメーカーの企業努力とカーボン繊維の質の向上が挙げられます。以前は軽くすると耐久性や強度が落ちるという問題があり、なかなか軽くて硬いシャフトを作れなかったのですが、技術と素材の進化が相まってそういったシャフト開発が可能となりました。同時にヘッド重量の増加も「カルカタ」の後押しをしました。5年ほど前からドライバーのヘッド重量がそれ以前よりも数グラム重くなりました。5年以上前はヘッド重量が200グラム以上あるとかなり重いヘッドに分類されていましたが、近年は200グラム超えが当たり前、重いモノは205グラム近くあります。確かにボールと衝突する部分であるヘッドが重いと、同じスピードでぶつかれば初速アップが望めます。しかし、重さのせいでヘッドスピードが落ちてしまえば元も子もありません。シャフトの軽量化で重くなったヘッドのマイナス部分をカバー出来たのも大きな要因として挙げられます。
ただ、この「カルカタ」という言葉において、若干の語弊があるとすれば硬いという表現です。というのも基本的にシャフトは重量が10グラム落ちると振動数は小さくなり、硬さは半フレックス程度軟らかくなります。具体的にいうと、例えば60グラム台のSRを使用していた人が50グラム台のシャフトに移行する場合、同じくらいの振動数を選ぶとSシャフトになるといった具合です。この表記上のフレックスの移行が結果的に「硬い」と表現されていますが、振動数という概念で話すと物理的に硬くなったわけではありません。
そもそもオーバースペックのシャフトを使用していた人が多い
私の見解ではカルカタブームはそもそも一般アマチュアゴルファーがこれまでオーバースペックのシャフトを使用していただけと思っています。フィッティングを行っている中で気づくのは、大多数の男性アマチュアゴルファーにとって60グラム台のSシャフトはオーバースペックで、50グラム台のSシャフトがマッチする方が多いということです。
とはいえ、やはり自分に最適な重さを選ぶのがベストなのはいうまでもありません。軽くすることの最大のメリットは前述した通りヘッドスピードアップです。60グラム台のシャフトと50グラム台のシャフトを振り比べて、ヘッドスピードが変わらないなら重いシャフトを使った方がボールへの衝突エネルギーは大きくなります。シャフト重量を選ぶ際は「ヘッドスピードが落ちない範囲でなるべく重いシャフト」を選ぶことをお勧めします。
【解説】石井 建嗣(いしい・たけし)
香川県丸亀市で「ゴルフショップイシイ」を営むクラブフィッター。フィッター界の第一人者である浅谷理氏に師事し、クラブ&パターフィッター、TPIインストラクター、ゴルフラボ公認エンジニアの資格を持つ。ゴルフはHDCP「9.9」の腕前だが、自身のプレーより他人のクラブを“診る”ことに喜びを感じる職人肌。出演するYouTubeチャンネル「ズバババGOLF」では軽快なトークで人気を集める。
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