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- ビギナーに高価な“スピン系”は必要? ゴルフボールの価格差はスコアに影響する?
巷に存在するゴルフボールは安価なものから高価なものまで多種多様です。アマチュアゴルファーにとって、この価格差がどれほどパフォーマンスに影響を及ぼすのでしょうか。今回は、ゴルフボールの価格差による性能の違いについて人気フィッターの石井建嗣(いしい・たけし)さんに聞きました。
ボールの価格差に一番影響を与えるのがピース数
巷に存在するゴルフボールは、1ダースで2000円を切る安価なものから、1球1000円近くする高価なものまで多種多様です。プロゴルファーはともかく、アマチュアゴルファーにとって、この価格差がどれほどパフォーマンスに影響を及ぼすのか、懐疑的な人は少なくないと思います。今回はゴルフボールの価格差による性能の違いについてお話しします。

ボールの価格差に一番影響を与えるのがピース数です。ゴルフボールは基本的に2層(2ピース)以上の複数の層から構成されており、層が増えるごとに製造コストが上がるのがポイントです。つまり安価なボールの大半が2ピースボールで、高価なボールは3ピース以上の構造になっています。
2ピースと3ピース以上のボールの性能差を説明する前に、それぞれの構造を簡単にお話しします。まず、2ピースボールは中心部のコアと外側のカバーの2層で構成されており、コアが柔らかく、カバーが「アイオノマー」という硬い素材で出来ています。対する3ピース以上のボールは、コアとカバーの間にミッド層があり、こちらはコアが硬く、カバーが「ウレタン」という柔らかい素材で出来ています。
このカバー素材の違いが金額差に影響を与える一つの要因で、ウレタンはアイオノマーに比べて、ボールがフェースにかなり乗りやすい特徴があります。特に50ヤード以下のショットはカバーの影響しかないといわれていますので、アプローチにおけるスピン量が格段に変わってきます。ピンをデッドに狙いたいゴルファーにとっては、アイオノマー素材では距離の計算がしづらいのです。
ボールの価格差はそのまま性能差に直結する
そもそも2ピースと3ピース以上では、設計の自由度が全く異なります。先ほど3ピース以上のボールはミッド層が存在すると話しましたが、これがパフォーマンスにかなり大きな影響を与えます。その理由は、3層以上になると各層の役割がはっきりするからです。
たとえば、ヘッドスピードが40m/s以上のドライバーショットでは中心部のコアが役割を果たし、30~40m/sのアイアンショットではミッド層が、それ以下の優しいアプローチショットではカバー層が仕事をします。
各層がそれぞれのショットで最適なスピン量を生み出すため、ロングゲームでは最大飛距離を、アイアンやウェッジではしっかりとスピンが入るといったハイブリッド構造が可能となるのです。対する2ピースボールでは残念ながら飛ばすという役割だけしか果たすことが出来ません。
よく、2ピースのボールを「ディスタンス系」、3ピース以上のボールを「スピン系」と分類することがありますが、この分け方だとディスタンス系は飛距離に特化して、スピン系はスピンに特化したモデルだと思われがちです。スピン系にも飛距離性能は十分に備わっていますので、個人的にはスピン系と言わずに3ピース以上のボールを「ツアー系」と呼ぶべきだと思っています。
ピース数が多ければ多いほど性能が高くなりやすいですが、3層あれば十分に飛距離、スピン性能に特化したボール開発が可能です。つまりボールの価格差はそのまま性能差に直結するのです。
ただ、やはりOBや池ポチャなど、ボールをロストすることが多いビギナーが高価なボールを使用するのは、お財布にも優しくありません。ボールの性能差を理解した上で、自分のゴルフと向き合いながらボール選びすることをお勧めします。
【解説】石井 建嗣(いしい・たけし)
香川県丸亀市で「ゴルフショップイシイ」を営むクラブフィッター。フィッター界の第一人者である浅谷理氏に師事し、クラブ&パターフィッター、TPIインストラクター、ゴルフラボ公認エンジニアの資格を持つ。ゴルフはHDCP「9.9」の腕前だが、自身のプレーより他人のクラブを“診る”ことに喜びを感じる職人肌。出演するYouTubeチャンネル「ズバババGOLF」では軽快なトークで人気を集める。
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