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- チタンか…カーボンか…はたまた開発競争は新素材探しへ? ドライバーヘッドの素材は今後どうなる?
ドライバーヘッドの素材は年々進化しています。今回はドライバーの素材と今後のトレンドについて、人気フィッターの石井建嗣(いしい・たけし)さんに聞きました。
ここ数年はカーボンコンポジットヘッドが主流
ドライバーヘッドの素材は年々進化しています。ここ数年はフェースがチタンでクラウンやソールにカーボンが使用されている、いわゆるカーボンコンポジットヘッドが主流になっています。ただ、テーラーメイドが2022年にチタンフェースに変わってカーボンフェースを採用したことで、ますます開発競争に拍車がかかりました。今回はドライバーの素材と今後のトレンドを予想してみようと思います。(文/クラブフィッター・石井建嗣)

本題に入る前に、まずドライバーヘッドの歴史について簡単に触れようと思います。歴史をたどると柿の木が原材料のパーシモンという木製からステンレス、メタルと続きその後、チタンになり現在主流のカーボンコンポジットへと繋がっています。ちなみにチタンフェースのヘッドには全てのパーツをチタンで構成したフルチタンヘッドと近年流行のカーボンコンポジットヘッドがあります。
ドライバーヘッド素材にチタンが残った理由はいくつかありますが、一番はしっかりした強度を保ちながら軽く作れるという点が大きいと思います。ヘッド体積が大型化して行く中で最適だったのがチタンだったというわけです。ではなぜそこからカーボンコンポジットに移行したかという点ですが、カーボン最大の特徴である軽さを活かせるためです。カーボンはチタンより軽く、同時に剛性が高いというメリットがあります。
現在のヘッド開発は「約200gのヘッドのどこに必要な重量を配置するか」、要するに重量配分の勝負になっています。重量が不要な部分に軽いカーボンを使用する事で余剰重量が生まれ、より必要な場所に重量を配置できるため、近年はカーボンコンポジットが主流になっています。ただカーボンコンポジットは異なる素材のモノを組み合わせる分、フルチタンに比べて打球音が悪かったり、コストが高くなりやすかったりというデメリットも持ち合わせています。
開発競争は素材探しへ?
ではここからカーボンフェースに話しを移しますが、冒頭でも話したようにテーラーメイドが立て続けにカーボンフェースのヘッドを発売しています。カーボンフェースの最大のメリットはやはりここも軽量化と言えます。フェースにカーボンを採用することで、チタンの半分ほどの重さに出来るので、さらなる余剰重量が生まれ、ヘッド設計の自由度が増します。そういう意味ではかなり画期的な発想ではあるのですが、この後に他メーカーでカーボンフェースを採用したヘッドが数種類しか発売されていないことを考えると、正直チタンフェースとカーボンフェースの優劣をつけられないのが現状といえるでしょう。
ちなみに私のアマチュアゴルファーにおけるフィッティングデータではチタンフェースとカーボンフェースのヘッドを比較すると初速はほぼ変わりませんが、スピン量に若干の差が出ています。どちらかといえば、チタンフェースのほうがスピンが多く、カーボンフェースの方がスピンが少ない傾向にあります。もちろんこれはフェース素材だけの話しで、ヘッド開発においてはそれらを補うことは十分に可能です。またプロとアマチュアではこの結果も変わってくると思いますので、結局は個々のプレーヤーによって最適解は変わるとしかいえません。
当面はこのチタンとカーボンフェースの2種類で競争が進んでいくと思いますが、もっと優れた素材が出てきたら各メーカー当然そちらに移行していくと思います。これからはその新しい素材を見つける競争に突き進んでいくのかもしれませんね。
【解説】石井 建嗣(いしい・たけし)
香川県丸亀市で「ゴルフショップイシイ」を営むクラブフィッター。フィッター界の第一人者である浅谷理氏に師事し、クラブ&パターフィッター、TPIインストラクター、ゴルフラボ公認エンジニアの資格を持つ。ゴルフはHDCP「9.9」の腕前だが、自身のプレーより他人のクラブを“診る”ことに喜びを感じる職人肌。出演するYouTubeチャンネル「ズバババGOLF」では軽快なトークで人気を集める。
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