自ら開発に関わる「ツアーB XS」から「ツアーB X」に
昨年の「全英オープン」以来、7カ月ぶりに試合に復帰したタイガー・ウッズは「ジェネシス招待」で予選を通過しました。3日目には事故後のベストスコア「67」をマークし、今後に期待を持たせるプレー内容でした。そんなウッズのセッティングを調べると、3番アイアンとボールを変えていることが分かりました。

47歳になってもユーティリティを1本も使わないタイガー。
アイアンセットを3番アイアンからPWまで揃えていますが、最近は3番アイアンだけを別のモデルにしています。昨年は3番アイアンを「P770」にして、4番アイアンからPWまでをマッスルバックの「P7TW」。そして、今年の「ジェネシス招待」では、その3番アイアンを2023年モデルの「P770」に変更しました。
新「P770」は中空構造になっていること自体は前作と変わらないものの、3番アイアンのヘッド内部には45グラムのタングステンを搭載することで、さらに重心が低くなり、打球の上がりやすさが向上しています。
もう1つ、異例の変更をしていたのがボールです。
タイガーはナイキがゴルフボール事業から撤退した後、2016年からブリヂストンの「ツアーB XS」を使い続けていました。試合で使うだけではなく、同社とボール契約を結んだ上でボールのテストやフィードバックを行うなどスピン系の「ツアーB XS」には開発段階から携わっています。
もちろん、19年に「マスターズ」で劇的な復活優勝を遂げたときも「ツアーB XS」でした。それが「ジェネシス招待」では飛距離重視の「ツアーB X」を使用。同じ「ツアーBシリーズ」ではありますが、スピン重視の「ツアーB XS」と飛距離重視の「ツアーB X」はタイプが異なります。
ナイキ時代からタイガーはスピン系のボールを好んでいただけに、驚きのボール変更でしたが、PGAツアーで戦うためには飛距離が必要だったのでしょう。
その成果は「ジェネシス招待」の初日から表れていました。初日はローリー・マキロイとジャスティン・トーマスと同じ組でしたが、タイガーは3番ホールで331ヤードのビッグドライブを披露。初日は8ホールで300ヤードオーバーを記録し、世界トップレベルの飛ばし屋であるローリー・マキロイをアウトドライブするホールもありました。
タイガーは「ジェネシス招待」をこう振り返りました。
「自分で考えていたよりも難しかったけど、4日間歩いて戦えたことは大きな意味がある。次につながる。今後はメジャー4試合はすべて出て、残りは2試合くらい出場したいと思っている」
交通事故の影響、そして47歳という年齢も考慮しながら、これからのタイガーはクラブやボールを選択していくのでしょう。50歳を迎えるタイガーがどのようなモデルを選ぶのか興味深いです。
2023 タイガー・ウッズの最新セッティング
1W:(ロフト/9度)
3W:SIM(ロフト/15度)
5W:M3(ロフト/19度)
3I:P770(2023モデル)
4I-PW:P7TW
56、60度:ミルドグラインド3
パター:スコッティ・キャメロン2 GSSプロトタイプ
ボール:ツアーB X