セルフプレーが主流になりフェアウェイのディボット跡が増加
ゴルフ場は緑の芝生が敷き詰められたキレイな場所というイメージがありますが、実際にプレーするとフェアウェイのあちこちにディボット跡(ボールを打ったときに芝生が削り取られて地面がむき出しになっているところ)があり、お世辞にもキレイとはいえないコースもあります。
ディボット跡には目土をするのがマナーですが、実際に目土をしているゴルファーはほんのひと握りしかいません。キャディーつきプレーが主流の時代は、キャディーさんがせっせと目土をしていましたが、セルフプレーが主流になるとほとんどのゴルファーが目土まで気が回らないのが実情です。

目土をすれば芝生の再生が促進されるのですが、ディボット跡を放置すると芝生がなかなか元に戻りません。結果的にパー4やパー5のセカンド地点はディボット跡だらけというゴルフ場が増えています。
ただ、ゴルフ場関係者に話を聞くと、お客さんが目土をしないからコースコンディションが悪化しているとは考えていないそうです。
「目土はお客様に強制することではありませんから、マナーとしてご協力くださいというスタンスです」
「ゴルフ場のスタッフも目土をしていますし、ボランティアスタッフを集めて目土をしてもらい、そのお礼に平日の無料プレー券をお配りすることもあります。コースコンディションをよくするための努力はしています」
一方で、近年はどこのゴルフ場もコースメンテナンスにかける費用も人手も不足しています。グリーンキーパーは費用をかければコースコンディションがよくなると支配人に訴えるのですが、支配人は今の予算で何とかしてくれとグリーンキーパーを説得します。
コースコンディションをよくするには、お金をかければ何とかなるのでしょうか。前出のゴルフ場関係者は次のように語ります。
「これは非常に難しい質問です。お金をかければある程度はよくなると思うのですが、実際のところは分かりません。コース管理は生き物を扱う仕事ですから、いくらお金をかけても肥料をまくタイミングや薬品を使うタイミングの問題もあります。グリーンキーパーの力量が問われる側面もあるのではないかと考えています」
異常気象もコースメンテナンスに悪影響を及ぼしている
夏場はグリーンの芝生が病気で枯れてしまうゴルフ場もあります。芝生が枯れて変色したり、ひどいときは土がむき出しになったりしてボールの転がりに支障が出ます。
このところ気候変動で雨が大量に降ったり、気温が35度を超えたりと変化が目まぐるしいので、グリーンのコンディションを維持するのが非常に難しくなっているようです。

そもそも多くのゴルフ場のグリーンで使用されているベント芝は寒冷地型の洋芝です。日本の暑い夏には適していません。ですから昭和の時代には春・秋・冬に使用するベントグリーンと、夏に使用するコウライグリーンを併用する2グリーンのゴルフ場がけっこうありました。
その後、日本の夏にも耐えられるベント芝が品種改良によって誕生し、1グリーンへの改造工事がはやりました。
ところが2010年代に入ると日本の夏の暑さが一段と厳しさを増し、グリーンが深刻なダメージを受けるケースが続出したため、1グリーン化の波がピタリと止まりました。今はまた2グリーンがコースコンディション維持に優位な時代に突入しています。
夏場のゴルフ場でコースメンテナンスにガッカリしたくない人は、コウライグリーンで営業しているコースを選ぶのも選択肢の一つです。コウライ芝は暖地型の日本芝ですから、夏に枯れることはありません。
その代わり葉が太いのでボールの転がりは滑らかではありませんが、枯れたベント芝のグリーンでプレーするよりも楽しめると思います。
コウライグリーンを嫌がるゴルファーもいますが、コウライの1グリーンを貫き通している名門コースもあります。コウライグリーンをまだプレーしたことがない人は、今夏にプレーしてみるとベントグリーンとの違いを味わうことができます。