意識すべきは「段取り」
たとえゴルフ経験が浅くても、ラウンド中はプレーファストを意識してスロープレーの防止に努めることが全てのゴルファーに求められるマナーです。とはいえ、ラウンドに不慣れなビギナーであれば、ついプレーが遅くなってしまう場面も出てくるでしょう。

スコアよりもまずはスムーズに回ることを心がけたいところですが、気づかぬうちにプレーが遅くなってしまうケースもよくあること。では、ビギナーはどういったことが原因でスロープレーになりやすいのでしょうか。
レッスンプロの村井良行氏は「ボールを打つときにいろいろと考えすぎてしまって、時間がかかる人が多いです」と言い、以下のように話を続けます。
「YouTubeやレッスンで習ったことを全て再現しようとする方がビギナーには多くいますね。習ったことを意識しすぎて素振りが多くなり、プレースピードが遅くなるケースはよくあります」
「私自身、コースデビューを迎えるビギナーと一緒にラウンドをする機会も多いですが、スタート前には必ずスロープレーにならないように注意喚起をしています。具体的には、『素振りは1回まで』『バンカーは2回打って出なかったら手で出す』『パッティングは4回まで』といったルールを決めるようにしていますし、土日や祝日は特に混んでいるので、プレーが遅れないように気をつけています」
一口にビギナーといっても、プレーのスピードは人によって異なります。村井氏は「普段の生活ペースがプレーにも現れる傾向がありますね。普段マイペースでゆっくりな人は、ラウンド中もゆっくりしている人が多い」と言い、スロープレーに陥らないためにプレーヤー自身が意識すべきことを以下のように話します。
「段取りを意識するようにしましょう。具体的には『2打目以降のショットでは、使う可能性のあるクラブを何本か持っていく』『カートで移動する際はクラブを持ったまま乗り、次の地点に着いたタイミングでクラブの入れ替えをする』といった行動を心がけるだけでも、タイムロスを減らせるはずです」
また、「急がば回れ」の精神を持つことも大切です。村井氏は「深いラフに入ってなかなか抜け出せないときは、無理して前にボールを打つのではなく、いったん横に出すのもいいでしょう。結果的にはそちらのほうがスムーズに行くこともあります」とどんなシチュエーションでも前に進むのではなく、状況に応じて最適なプレーの選択をすることも重要なことであると話します。
急ぎすぎるあまり前の組への配慮に欠けた行動も…

村井氏はさらに「『自分はプレーが遅いかも』と自覚することが大切です」と語る一方で、「安全第一を忘れないようにしましょう。急ぎすぎて周囲の状況をよく確認せずプレーを進めるのは危険です」と注意を促しています。
「スロープレーにならないように」と意識することは大切なことでもありますが、度が過ぎると前の組に迷惑をかけてしまうことも。急ごうとするあまり、前の組への配慮がおろそかになっては本末転倒です。
特にカートのベタ付けや打ち込みはトラブルに発展する原因にもなります。たとえ故意ではなかったとしても、これらは相手を不快にさせてしまうマナーに反した行動なので、ラウンド中は自分のことだけを考えるのではなく、前の組の動きを意識しながらプレーを進めることが求められます。
ビギナーにとって不慣れなラウンドは自分のことだけでも精いっぱいかもしれませんが、まずはスコアを追い求めるよりも、スムーズな進行を最優先にプレーする意識が最も重要であると言えそうです。