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- スコアカードにバラバラに振られた“謎の数字”はどういう意味? ベテランも正確に知らない「HDCP」を明快解説
スコアカードには「HDCP」と書かれた欄があり、数字がバラバラに振り分けられているのを目にすることがあります。では、HDCPとはどのような意味で、何のための数字なのでしょうか。
「若い数字ほど難しいホールになっている」わけではない
各ホールを何打で入れたか記入するための用紙として「スコアカード」がありますが、中を見てみるとそれぞれのホールの規定打数や、複数のティーイングエリアからのヤーデージなど、様々な情報が記載されています。
また、それらに加えて「HDCP」と書かれた欄もあり、1〜18番までの数字がバラバラに振られているのを見たことがあるかもしれません。
普段のラウンドでは気に留めないかもしれませんが、HDCPとはどのような意味で、何のためにある数字なのでしょうか。ゴルフ場の経営コンサルティングを行う飯島敏郎氏(株式会社TPC代表取締役社長)は以下のように話します。
「『HDCP』とは『ハンディキャップ』をアルファベットにした時の略語であり、マッチプレーを行う時にプレーヤー間にあるスキル差から生じる優劣をなくし、平等な環境下で対戦ができるように設けられているものです。各ホールに与えられた数字は『ハンディキャップナンバー』といいます」
「ストロークプレーの場合、18番ホールまで回り切った後に合計ストローク数から各プレーヤーごとのハンディキャップを足したり引いたりすれば、優劣の差を埋めることができます。一方で、マッチプレーの場合となると1ホールごとに勝敗を決めなければならないため、前もって『このホールにはハンデを設ける、もしくは設けない』といったことを決める必要があります」
「ハンディキャップナンバーの振り分け方には法則性があり、ナンバー1は4〜6番ホール、ナンバー2は13〜15番ホール、ナンバー3は1〜3番ホール、ナンバー4は10〜12番ホールまたは16〜18番ホール…というように、3ホールごとにブロックで分け、その中からバックティーを起点としたヤーデージが最も長い順番に数字が与えられます。ナンバー6まで振り終わったら、また4〜6番ホールのブロックに戻って残りのホールの中で距離が長いものから若い数字を振っていき、合計3周同じ作業を繰り返せば、18ホールすべてにハンディキャップナンバーがつきます」
「また、1つのブロックの中で実際の難易度の高さと振り分けられたハンディキャップナンバーが釣り合わない場合は、同一ブロック内で数字を逆転させることもあります。よく『振られた番号順に難しいホールになっている』と思い込んでしまう人がいますが、正しくは『3ホールごとに区切られたブロックの中で、数字が若いホールがより距離が長くて難易度も高い』と表現するのが適切です」
「ハンディキャップナンバーをつけるブロックの順番が18ホールの中で行ったり来たりしているのは、できるだけ数字を満遍(まんべん)なく散りばめることで、最後まで勝敗がもつれ込むようにし、早い段階で勝敗が決まってしまうのを防いでゲーム性を高めるためとされています。」
実際にマッチプレーを行う時には?
では、マッチプレーを行う際にハンディキャップナンバーはどのように見るのが正しいのでしょうか。飯島氏は以下のように話します。
「例えば、ハンデが9のAさんとハンデが6のBさんがマッチプレーで対戦すると仮定します。AさんとBさんのハンデ差は『9-6=3』となるわけですから、よりスキル的に劣勢のAさんは18ホール中3ホールまで1打ずつハンデをもらうことができます。そのため、Aさんは4〜6番ホールのいずれかにあるハンディキャップナンバー1のホール、13〜15番ホールの中にあるハンディキャップナンバー2のホール、そして1〜3番ホールの中にあるハンディキャップナンバー3のホールで1打ずつ与えられ、仮にBさんと同じ打数でカップインしたとしてもAさんは1打少なく入れたとみなされます」
「5番ホールがパー4で両者とも4打で上がった場合でも、Bさんは『パー』なのに対してAさんは『バーディー』という扱いになり、このホールではAさんが勝ちと判断されます。一方で、ハンディキャップナンバーが4以降の残り15ホールはAさんにはハンデが与えられないので、2人は同じ条件下で対戦します」
「日本ではあまりマッチプレーが浸透していないこともあり、『わざわざハンディキャップナンバーをスコアカードに記載する必要があるの?』と考える人もいるかもしれません。しかし、実際は『クラブチャンピオンシップ』などのゴルフ場が主催する競技会でマッチプレーが行われる機会はしばしばあるほか、通常のラウンドでも少なからずマッチプレーで楽しみたいゴルファーはいるので、不要とはいえません」
マッチプレーはストロークプレーとはやり方が異なるだけでなく、触れるタイミングも多くないので、難しそうなイメージを持たれがちです。しかしルールさえ知っていれば、ゴルフの遊び方の選択肢はさらに広がるといえるでしょう。
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