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- 「ピッチングウェッジ」ってウェッジなの? アイアンなの? PWの使い道をクリアにすることがアプローチ上達につながる理由
アイアンセットにはほとんど入っている「ピッチングウェッジ」(PW)。しかし、アイアンと同じような見た目にもかかわらず「ウェッジ」と名前が付いていることから、「使い道のわからないクラブ」と認識している人も中にはいるようです。
PWはフルショット用と割り切り48度前後のウェッジを追加
あるシャフトメーカーが行った大規模アンケートの“ゴルフあるある”部門に、「使い道のわからないクラブがある」という悩みがランクインしました。筆者が複数のアベレージゴルファーに聞き取り調査を行ったところ、使い道がわからないクラブの代表はピッチングウェッジだといいます。

アイアンセットの組み合わせはメーカーやブランドによって異なりますが、最近では、「6~9番、PWの5本セット」や「5~9番、PWの6本セット」などが主流になっています。ほとんどのアイアンセットに「P」または「PW」と刻印されたクラブが入っていることから、ピッチングウェッジは本来ラウンドに欠かせない重要なクラブであることがわかります。
ただ、その“使い道”は、クラブの進化に伴って変化しているようなのです。ゴルフの技術やルールはもちろん、用品にも深い知識を持つティーチングプロの堀田和宏さん(埼玉県・越谷ゴルフリンクス)に、ピッチングウェッジについて詳しく教えてもらいました。
「ピッチングウェッジは、いわゆる“ウェッジ”の部類に入らないと私は考えています。本来はボールを飛ばさないためのクラブ、つまりアプローチショットに適した道具の一つと認識されていました。しかし、昨今のアイアンセットは全体的にボールを飛ばすクラブになっているからです。従来のものよりロフトを立たせることによって飛距離を出す設計になっている。ピッチングウェッジも同様で、かつての9番アイアンにPWと刻印したようなものです。ですからグリーン周りからのアプローチに使うというよりは、基本的にフルスイングをするのに適したクラブと考えて良いでしょう。グリーンを狙ったりハザードの手前に刻んだり、個人差はありますが、アベレージゴルファーなら110ヤード前後の飛距離が必要な場面で使うケースが多いと思います」
PWと刻印されているためウェッジとして使うものと思い込んでいる人も多いでしょうが、“10番アイアン”の位置付けと考えればスッキリ。フルショット用のクラブと割り切った方がアプローチのクラブ選択に迷わずに済みそうです。
一方で、新たな悩みも生じます。PWが10番アイアンの位置づけなら、アプローチに使うクラブは何をバッグに入れ、どういうふうに使い分けたらよいのでしょうか。
「初めてレッスンにみえる生徒さんのクラブセッティングを見せてもらうと、ピッチングウェッジの次が52度のウェッジだったりすることが多々あり、これには正直『えっ!』と驚きます。現在、一般的なピッチングウェッジのロフトは43~44度くらい。52度までの間は8度くらい空いていますよね。52度はピッチエンドランのアプローチに適したクラブですが、ピッチングウェッジをフルショットのクラブと考えると、ではランニングアプローチで転がして寄せたい時はどのクラブで打つのだろうと……」
「そういう方には、できれば48度のギャップウェッジを入れるとショートゲームがより安定しますよとお伝えします。例えば、ボールからエッジまでが近くて、エッジからカップまではやや距離がある。こういう場面では、小さなストロークで、球足を使う打ち方のほうがやさしく寄せることができます。48度ならエッジの少し先にボールを落とすことに集中するだけ。落とし所をきちんと設定していればスーッとカップに寄っていきます」
「ランニングにしてもピッチエンドランにしても、よりカップに寄せるには、グリーンの硬さや速さを考慮して落とし所をイメージすることが大切です。それには朝、練習グリーンでボールを3つ持ち、1つずつ2~3メートル先に手で投げてみましょう。その目的はグリーンに落ちてからのバウンドや転がり具合を見ること。ボールを拾いにいくとき、落ちてから何メートルくらい転がったかを歩測することの2つです。これだけでもスタート前にしておくと、いざコースでショートアプローチを迎えた時、落とし所をイメージするのに役立ちます」
これまでピッチングウェッジをアプローチで使ってあまりうまくいっていなかった人にとって、「PWはフルショットをするクラブ」「PWと52度の間を埋める48度のクラブを入れると良い」という発想は、“目から鱗”かもしれません。48度でランニングアプローチ、52度でピッチエンドランというふうにクラブを使い分けることによってショートゲームが安定して、スコアアップに直結しそうです。
上げるアプローチが必要な場面では“ロフト通り”を心がける
では、ボールを上げるアプローチにはどのクラブが適しているのでしょうか。
「56度か58度で、使いやすい方を入れるとよいでしょう。例えばバンカー越えでピンが手前に切ってあるケース。プロだったら58度を使い、スイングを操作してボールを上げてバンカーとカップの間に落とすイメージを描く人が大半です。ただし、56度であれ58度であれ、ボールを上げようとするほど振り幅が大きくなるためアマチュアの方には失敗のリスクが高まります。“いい感じ”を出そうとして、ボールの下をくぐってショート。最悪バンカーで“目玉”になり、大叩きすることも珍しくありません。ボールを上げる時は、スイングで調整しようとせず、ロフトに任せて素直にクラブを振るように心がけてください」
「また、バンカー越えでピンが手前なら、多くのプロはボールを上げてバンカーとカップの間に落とすイメージを描くと言いましたが、アマチュアの方は直接カップに入れるくらいの距離感で打つのがオススメです。これなら多少ショートしてもバンカーに入るのは防げますし、距離感通りカップ周辺に落ちればグリーンの奥行きがありますからこぼれることはありません。2パットで収められれば成功と言っていいでしょう」
今まであやふやだったピッチングウェッジの使い道がしっかりわかると、110ヤード前後のフルショットが自信を持って打てるようになるでしょう。アプローチのイメージもクリアになります。48度を新たに入れてランニングアプローチを多用する、52度は今まで通りピッチエンドラン、手持ちの56度か58度でピッチショットの距離感を磨くというふうに、やること、弾道、落とし所などのイメージがはっきりして、ショートゲームの打ち分けがラクになりそうです。
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