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- 朝イチと日没間際ではカップイン確率が半分に!? 思わぬミスパットを生む「グリーンのドーナツ化現象」ってなんだ?
グリーンでのパッティングにはさまざまな要素が絡んでくるので、毎回神経を尖らせがちになります。一部のゴルファーの間では「ドーナツ化現象」と呼ばれるものを懸念している人もいるようです。
後にスタートするゴルファーほど不利になる
パッティングは芝目や刈込みの高さ、さらにはコンパクション(地面の硬さ)や傾斜などさまざまな要素が絡んでくるため、繊細さが求められます。
そのため、少しでもラインを読み間違えるとカップを外してしまうこともありますが、パッティングに敏感になっているゴルファーたちの間では「ドーナツ化現象」と呼ばれる現象を気にしている人もいるようです。
グリーンにおけるドーナツ化現象とは、どのようなものなのでしょうか。ゴルフ場の経営コンサルティングを行う飯島敏郎氏(株式会社TPC代表取締役社長)は以下のように話します。
「ドーナツ化現象とは、カップの周りが多くのゴルファーに踏まれることによって周囲に窪みができ、カップの縁のところだけが少し盛り上がる現象のことを指す言葉です。上から見るとへこんだ部分がドーナツの輪っかのように見えるのでこう呼ばれています」
「グリーンの芝はとても短く刈り込まれていて非常にデリケートなので、傷んでいる箇所が集中しないよう、カップが切られる位置は毎日ローテーションを組んで変えられています。しかし、カップインしたボールを立ったまま拾い上げる際は、どうしても片足に体重のほとんどが乗っかりやすいので、シューズで芝が押しつぶされてしまいます」
「ボールをカップインさせる方向は人によってバラバラなので、最終的にはドーナツ状に輪っかのへこみが作られます。カップは大体早朝の営業開始前に変えられることが多いので、最初の方の組はドーナツ化現象の影響をあまり受けることなくパッティングができます」
「ゴルフ場を利用する人の数はおよそ200人ともいわれています。アマチュアの場合は相当数が“OK”で済ませるため、カップインさせる人は全員ではないとはいえ、最終組に近づくにつれてカップ周りの状態はどんどん悪くなっていきます。スタートが遅かった組ほど、ドーナツ化現象によって思わぬミスパットをしてしまう可能性は高まるでしょう」
一瞬見ただけでは分かりにくい場合もありますが、ドーナツ化現象がひどいとパッティングをした際のボールの挙動に影響が表れます。読んだラインに合わせて完璧に打てたと思いきや、カップインの直前で突然動きがブレて外れてしまうことも十分に考えられます。
パッティングを科学的に分析する第一人者として、一部のゴルファーに知られているアメリカのデーブ・ペルツ氏が行った実験があります。ロボットを使って3.6メートルの位置からボールを転がしてみたところ、営業開始前は73パーセントの確率でカップインできたのに対し、営業終了後に全く同じ条件でボールを転がすと、30パーセントしか入らないという結果になったそうです。
可能であればスタート時間が早い枠を予約してラウンドした方が、思い通りのパッティングを決めやすくなるでしょう。
ドーナツ化現象を防ぐには?
ゴルフは「あるがまま」の状態から戦略を考えてプレーするのが醍醐味ともいわれていますが、「さすがに後の組ほど不公平になるのはよくない」と考える人もいるはずです。ドーナツ化現象をなるべく起こさないようにするためには、どのようなことができるのでしょうか。飯島氏は以下のように話します。
「カップインしたボールをピックアップする際のマナーとして、カップから1足分の範囲は踏まないようにするべきというものがあります。しかしプロのトーナメントでは、カップのすぐ近くまで歩み寄ってボールを取り出そうとしている選手も見かけます。最近ではそれによって『ボールが入ってしまえばマナーは関係ない』と勘違いしている人が多いのが、個人的に残念だと思うポイントです」
「『レッスンの神様』とも呼ばれたアメリカのプロゴルファー、ハービー・ペニックは『ボールを拾い上げるときにカップの近くを踏まないようにしているかどうかを見ると、そのプレーヤーがどれだけ思慮深く思いやりのある人かが分かる』という言葉を残しています」
「要するに、ゴルフ場には自分たち以外にもプレーをしている人がいるので、周りのゴルファーのことまで考えてプレーすることを求められるということです。みんなが1足分空けてピックアップをすれば踏まれる範囲も広くなって分散されるので、ボールの転がりが極端に変わってしまうリスクも減らせると思います」
なかには、ピンとカップの底が一体になっていてピンを持ち上げることで簡単にボールを取り出せるタイプのカップを導入したゴルフ場もあります。
飯島氏は「本来はコロナ禍でカップとの接触機会を減らすのが目的だったが、結果として片足に体重を集中させる体勢にしなくてもボールを拾い上げられるようになった」「ドーナツ化現象を減らす効果も期待できる」としています。
しかし、カップインしたときの「カコン」という独特な音を楽しみにしているゴルファーも多いため、プラスチック製のピン一体型カップはあまり普及しないのでは、ということです。
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