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- ゴルフ場の“コストカット”の影響がここにも!? 最近は「カラー」を設けないコースが増加中 なくすとどんな不都合があるの?
ゴルフコースには「フェアウェイ」「ラフ」「グリーン」以外にも、「カラー」と呼ばれる面積としてはかなり狭い芝のエリアも存在します。しかし、最近ではカラーを設けていなかったり、よりシンプルなつくりに改めているゴルフ場が増えているそうです。
カラーを丁寧につくろうとするとコストが上がる
ゴルフコースは「フェアウェイ」「ラフ」「グリーン」など芝の種類や草丈、役割に応じてさまざまなエリアに分かれていますが、グリーン周りには「カラー」と呼ばれるかなり狭い芝のエリアも存在します。

カラーはグリーンとフェアウェイ、もしくはラフとの間に挟まれていて、草丈もグリーンの内側と外側のちょうど中間に刈られていることが特徴です。
最近はカラーを設けていなかったり、よりシンプルなつくりに改めているゴルフ場が増えているそうなのですが、どうしてなのでしょうか。ゴルフ場の経営コンサルティングを行う飯島敏郎氏(株式会社TPC代表取締役社長)は、以下のように話します。
「まずカラーには大きく2つの役割があり、1つ目はグリーンにオンしたボールが外へこぼれ落ちないようにするための『ストッパー』としての機能です」
「グリーンはできるだけ地面の硬さ(コンパクション)を硬くしたり、芝の刈高を短くして、ボールが高速で転がるようにつくるのが望ましいとされています。時には強めのバックスピンをかけてもなかなか止まらないこともあり、遠いところからグリーンに乗った『ナイスショット』といえるボールがこぼれ、公平性が欠けないようにカラーを設けてボールを受け止めています」
「2つ目は、カラーには『リップ』という別名が付けられており、グリーンを際立たせる効果を持たせています。女性の唇もリップを塗るとより存在感が増しますが、それと一緒でグリーンの周りにカラーを設けると輪郭がはっきりし、遠くからでもグリーンの正確な位置と形が分かるようにしています」
「ところがカラーをつくるとなると、グリーンとフェアウェイとの間にもう一段階の刈高を設定する必要があるとともに、芝刈り機の刃の高さもその都度変えなければなりません。そうなると、機械を調整する手間や人件費が余計にかかってしまうので、カラーをつくらないゴルフ場が増えているのです」
ちなみにカラーを設けると、メリハリをはっきりさせるために刈り込みの頻度が上がり、合わせて芝の目数も増えて傷みにくいグリーンに仕立てることができるようになるそうです。
ただ、コース管理者が次第に減少している中で全てをこなすのは難しく、新たに雇用するのにも時間がかかるのであれば、「カラーをつくらない」という選択をせざるをえないとのことです。
さらに、ゴルフ場によってはカラーの中でも「内カラー」と「外カラー」の2種類の層に分けているところもあり、グリーンの内側と外側の草丈の高低差を緩くして、グリーンからこぼれ出たボールが埋まらないようにしています。
しかし、それではわずか数十センチの狭い範囲内で「グリーン」「内カラー」「外カラー」「フェアウェイ」と4種類の芝を作る必要が生じ、より一層の手間となってしまうため、トーナメント以外ではあまり用いられない手法とされています。
多くのゴルフ場ではカラーでウェッジを使ってはいけない
トーナメント中継を見ていると、選手がカラーからウェッジでアプローチする光景もしばしば見かけますが、飯島氏は「一般的なゴルファーがカラーでウェッジを使うのは、コース管理上あまり好ましくはない」と話します。
「アプローチはダウンブロー気味で打つのが基本ですが、その際にボールの周りの芝(ターフ)も一緒に削り取ってボールを飛ばします。プロゴルファーの場合は、そのようにしてきれいにターフを飛ばせますが、アベレージゴルファーの場合は芝の下にある根や土までごっそりと削り取ってしまいがちです」
「多くのゴルフ場ではカラーにコーライ芝が使われていますが、コーライ芝は根が横に伸びる習性があって、削り取った後のターフを単に被せただけでは活着せず再生しません」
「芝を復活させるには、目土をかけて乾燥を防ぎ、周りの芝の根が伸びるのを待たなくてはならず、その期間は2〜3カ月程度かかるといわれています。多くのゴルファーがカラーでウェッジを使うと穴だらけになり、修復に時間がかかるだけでなく見た目も損ねてしまうので、カラーでのウェッジ使用は禁止としているゴルフ場が大半です」
ゼネラルルール上では、カラーはもちろんグリーンでもウェッジを使うことは認められています。各ゴルフ場が芝の保全に苦心している中でコースを傷つけかねない行為をするのは好ましくありません。ルールではなく「マナー」として、特定のクラブを使用できる範囲を制限しているといえるでしょう。
カラーを設けるとさまざまなメリットが期待できるため、あるに越したことはありません。しかし、ゴルフ場で長年課題とされている「コスト」の面を考えると、カラーの簡略化は致し方ないのかもしれません。
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