プロは簡単そうにやってるけど… ウェッジでの「リフティング」ってどれくらい難しいの？ できるとゴルフが上達する!?

“リフティング”と聞くとサッカーのイメージが強いですが、ゴルフでもウェッジの上でボールをコンコンと弾ませるパフォーマンスがあります。

　SNSや動画投稿サイトでは上級者からツアープロまで多くのゴルファーがリフティング動画を公開していて、なかには常人には難しそうな“神ワザ”を見せてくれる人もいます。ウェッジでリフティングをするのは、どれくらい難しいことなのでしょうか。レッスンプロの関浩太郎氏は、以下のように話します。

「ビギナーのなかには、興味本位でリフティングにチャレンジしてみたものの、実際やってみたら1回しかできなかったという人も少なくないと思います。プロゴルファーがいとも簡単にこなして見えるのは、それだけゴルフのレベルが高いからであり、リフティングもそれなりに練習しないと何回も続けることは難しいのです」

「ウェッジでリフティングをすると、『ボールやターゲットに対してフェースを真っすぐ向けて打てるようになる』という効果が得られます」

「サッカー教室で子どもたちがリフティングしている光景をよく見かけるのは、『シューズのどの位置に当たったかでボールがどんな跳ね方をするか』を学ぶためです。サッカーでは、ボールに対してどう足を当てにいくかによって曲がる向きや幅などをコントロールします。『ここに当たったら真っすぐ跳ねないんだ』『こうすれば左に曲がるんだ』といった発見を通し、シュートやパスのバリエーションを増やしていくのです」

「ウェッジを使ったリフティングも、フェースを地面に対して水平にしなければボールは真上に跳ね返りません。連続で成功した回数が増えるほど、インパクトでフェースを真っすぐ向けたままボールに当てられるようになるのです」

　ゴルフは「最も遠くまでボールを飛ばせる球技」といわれますが、実際に7番アイアンでフルスイングをした時点で一般的なホームランボールよりも遠くへ飛びます。ドライバーなら、その2倍近い距離を出すことができます。

　しかし、飛距離が伸びる分だけ曲がり幅も大きくなりやすいのが、ゴルフにおける打球の大きな特徴です。たとえば、インパクト時にフェースがターゲット方向からほんの2〜3度しかズレていなかったとしても、遠くへ飛べば飛ぶほど横に何ヤードも曲がってしまいます。

　ゴルフはそれだけ「繊細さ」が求められるスポーツのため、いかにインパクトでボールやターゲットに真っすぐフェースを向けられるかが重要であり、その練習でウェッジを使ったリフティングは効果を発揮するとされるのです。

　では、ビギナーでも始めやすいリフティングのコツは何かあるのでしょうか。関氏は以下のように話します。

「箸で何かをつまむ際、より短い箸を使った方が滑ったり途中で落としたりせず、先端に感覚を集中させて安定して持ち上げることができるはずです。それと一緒で、リフティングも初めのうちはクラブをなるべく短く持てば、比較的簡単に何回か連続でできるようになると思います」

「地面にあるボールをすくい上げてリフティングを開始するのは難易度が高いので、片手にボールを持った状態でフェースに近いところから落とすとやりやすいです。それでもまだリフティングが難しいと感じる場合、フェースに近い位置から手でボールを落とし、跳ね返ってきたのをキャッチするというところから始めても大丈夫です」

「まずは1回バウンドしたのをキャッチし、慣れてきたら『2回、3回……』とキャッチする頻度を少なくしていけば、何回かは連続してリフティングできるようになるでしょう」

「上級者になってくると途中でボールを止めてフェースの上で転がしたり、わざとスピンをかけて真上以外にもいろいろな方向に跳ね返らせたり、そのまま歩いたりなどの高度な技もできるようになります。普通に真上に上げるだけでも十分すごいですが、さらなるレベルアップのためにチャレンジしてみるのもいいかもしれません」

　関氏によると、レッスンをしている中で「何十年もゴルフをしているにもかかわらず、フェースが開いているのか閉じているのか意識したことがなかった」という人が多くいるそうです。

　そして、「それはまるで野球のピッチャーが指の向きや球種を一切考えずに投球しているようなものであり、むしろピッチャーが投げるボールより圧倒的に遠くへ飛ぶゴルフにおいては、もっと曲がり幅に敏感にならなければならない」と続けます。

　一見すると遊びのようにも見えますが、リフティングを極めれば極めるほどゴルフ全体の上達にもつながって、周りと差をつけられるようになるといえるでしょう。