ゴルフ場の「DX化」どこまで進んでる？ ドローンやキャディーロボットなど“最新技術”はプレーヤー側にもメリットあるの??

　ビジネスをはじめ、さまざまな分野で“DX（デジタルトランスフォーメーション）”が進められていますが、特にゴルフ場は若年層をはじめとした新しいユーザーを呼び込む必要があるため、もっとデジタル化を推進すべきといわれています。

　では、デジタル化の推進によってゴルフ場で既に対応が変化した点や、それによってもたらされた効果には、どのようなものが挙げられるのでしょうか。ゴルフ場の経営コンサルティングを行う飯島敏郎氏（株式会社TPC代表取締役社長）は、以下のように話します。

「まず、デジタル化によってカートナビの性能が飛躍的に向上し、今までは人の力に頼っていたことや紙に印刷する必要があったことが、タッチパネル1台でできるようになったのは大きいと思います」

「かつてはターゲットまでの距離は、各ホールの両脇に設置されているヤーデージ杭を参考にしたり、プレーヤー自身の経験と勘で導き出すのが一般的でした。キャディー同伴の場合は、キャディーが残りの距離を教えてくれていましたが、いずれにせよ“参考値”にしか過ぎず、100％正確とはいい切れませんでした」

「また、グリーンのどの位置にカップが切られているかを示したピンシートも用意されていましたが、毎日大量の紙を印刷するのも費用が掛かります」

「しかし、現在ではカートナビでこうした情報も正確かつ瞬時に手に入れられるようになり、計測やミスショットに起因するプレー時間の短縮だけでなく、無駄な紙や消耗品の削減にも効果をもたらしたでしょう」

　ほかにも、セルフプレーを推奨する動きが高まり、スタッフの配置を効率化できたことも、カートナビの導入における恩恵といえます。

　キャディーマスター室では、走行している全てのカートの現在位置を把握でき、ペースが遅れている組には遠隔で進行を促すことができます。また、前方カートの位置をそれぞれのカートから確認できるので、打ち込みや打球事故のリスクが減少し、それに伴ってトラブル対応の負担も軽減しています。

　カートナビでスコアを登録できる点も、メリットのひとつに上げられます。特にコンペでは、全員分のスコア集計や順位決定を人力で整理する必要がありましたが、その負担もなくなっています。もちろん、紙資源や筆記用具のコストカットにもつながっています。

　加えて、カートナビと手持ちのスマホにインストールしたアプリと連携させれば、スコアはもちろん、フェアウェイキープ率やパーオン率などのデータを蓄積することができます。そこから今後の課題点を明らかにすれば、より質の高い練習につなげられるはずです。

　デジタル化のメリットについて、飯島氏は以下のように続けます。

「最近では、コース管理にドローンを用いるゴルフ場も少しずつ現れ始めています。一般的な18ホールのゴルフ場は、平均の広さが100ヘクタール近くあるので、局所的に小さな芝の変化を見分ける作業をする際には大きな労力がかかります」

「そこで、AIを搭載したドローンを飛ばし、上空から芝の状態を確認できるようにすれば、少ない人員とコストで芝の品質を常に高い状態に維持し続けることができるようになります」

「また、近年は手引きカートにデジタルの技術を詰め込み、プレーヤーの後ろを自動で追従する機能を持たせた“キャディーロボット”と呼ばれるツールまで作られています。これにより、クラブを出し入れするためにカートを往復する必要がなくなるだけでなく、乗用カートを使わない“歩きプレー”の見直しも見込めるといわれています」

　ゴルフ場は、特に手厚い接客サービスが求められる施設でもあります。サービス全体の質を維持・向上させるためには、今後もさらなるデジタル化を推し進めることが期待されます。