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- ショットはヤードなのにグリーンではメートル… 長さの単位が変わるのはどうして?
ゴルフでは、ホール表記やショットの飛距離は「ヤード」で、グリーン上の話になると突如として「メートル」という単位が主役になります。同じスポーツなのに、どうしてプレー中に長さの基準が変わるのでしょうか。
ゴルフを続けていくとヤードの感覚が馴染んでくる
プロのトーナメントでは、300ヤードを超えるドライバーショットや20メートル以上のロングパットを沈めるシーンなど、超絶プレーを目にすることができます。また、日本のゴルフ場ではめったに経験できない、600ヤードを超えるロングホールも珍しくありません。
ここまで、とくに違和感は無かったと思いますが、実はヤードとメートルという異なる長さの単位が混在しています。ゴルフではなぜ、ホール表記やショットの飛距離は「ヤード」で表し、グリーン上の話になると「メートル」を使うのでしょうか。レッスンプロの小松拓夢氏に話を聞いてみました。

「ゴルフ発祥の地はイギリス・スコットランドといわれ、かの地で使われていた長さの単位がヤードであるため、それを継承しています」
「日本人は日常生活からメートル表記に慣れ親しんでいるので、とくに自分の飛距離が把握できていないビギナーのうちは、もしかしたら少し違和感があるかもしれません。とはいえ、ゴルフを続けていくうちにヤード表記の感覚が脳やカラダに馴染み、逆にメートル表記に違和感を抱くと思います」
「1ヤードは0.9144メートルで、150ヤードなら約137メートル、200ヤードなら約183メートルとなりますが、メートル表記はやはりピンと来ないですね(笑)」
江戸時代以前の日本では、尺という単位が主に使われていましたが、「メートル」を国際基準とする「メートル条約」への加入を機に、さまざまなモノの長さが現在のメートル表記に統一されています。
それに伴い、日本のゴルフ場でもメートル表記に切り替えられた時期があったそうですが、「距離感が命」となるゴルファーたちから猛反発を受け、現在のヤード表記に落ち着いています。
ちなみにゴルフでヤード表記を用いているのは、意外にも日本・アメリカ・イギリスの3カ国のみで、その他の国や地域ではメートル表記が主流になっています。
繊細な距離感を出すには、メートルの方が合理的
グリーン上では、それまでのヤードの世界からメートルの世界に戻ります。なぜグリーン上では、ヤードポンド法に則った「フィート」ではなく、メートルやセンチを使用するのでしょうか。小松プロは次のように話します。
「ゴルフの本場であるイギリスやアメリカでは、グリーン上のパッティングでフィートという単位を用いています。1フィートは0.3048メートル(約30センチ)で、3フィートが1ヤード。ホール表記がヤードなので、その下の単位であるフィートを用いるのは、ごくごく自然な流れでしょう」
「また、フィートはグリーンの速さを表す単位としても用いられ、それは日本のゴルフ場でも同様です」
「一方、日本ではメートルという単位がグリーン上での主役となり、カップまでの残り距離はゴルフ中継などでもメートルで伝えています。パッティングの距離感は、“感”という言葉のとおり、脳や身体に染みついている感覚が重要です。多くの日本人にとっては、メートルあるいはセンチが長さの基準になっているので、距離感を出すには、メートルの方が自然であるし合理的です」
「ちなみにプロゴルファーや上級者の中には、歩測をベースとした独自の基準や、目で見た感覚を最優先して距離感を出している人もいます」
ゴルフでスコアアップを図るには、自分の中にある“感覚”を研ぎ澄ませていく必要があります。もっとも繊細なタッチが求められるパッティングでは、それまでに培ってきた感覚を信じて、迷いなく打ち切ることが重要なのかもしれません。
文/のぐち まさひろ
ゴルフとサウナと愛犬をこよなく愛するライター&ディレクター。20年ほど従事したクルマ系メディアの編集者からフリーランスになり、これから何をしていこうか色々と妄想中。ホームコースは千葉県の「南総カントリークラブ」で、オフィシャルハンデは「7.7」。
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