そんなにイヤなら事前に調べればいいのに… エアレーション情報を多くのゴルフ場が発信しているって知ってた？

　春になると毎年、同伴者から質問を受けることがあります。それは「どうしてグリーンに小さな穴がたくさん開いているのですか？」です。

　グリーンに小さな穴を開けるのはエアレーション作業といって、ゴルファーの踏圧によって押し固められたグリーンにすき間を空けることで、芝の根が成長するスペースを確保すると同時に、酸素を送り込むことで成長をうながします。エアレーション作業は更新作業とも呼ばれます。

　農業では作物を栽培する前に畑を耕します。畑を耕すことで固くなった土をほぐし、土の中に空気をたっぷり含ませることで水はけがよくなり、作物は根を伸ばしやすくなります。

　芝生の場合は土の表面に葉が生い茂っているので、土を掘り起こすわけにはいきません。したがって小さな穴をたくさん開けて空気を送り込み、根を伸ばしやすい環境を整えます。芝生が健康に育つために必要不可欠な作業です。

　一方で、ゴルファーにとって悩ましいのは、エアレーション作業中はボールの転がりが悪くなることです。小さな穴が開いている状態も転がりが悪いですし、穴を開けた後に根の乾燥を防ぐため目土をする（砂をまく）のですが、砂をまいたときはさらに転がりが悪くなります。ボールの転がりが悪くなるだけでなく、ショットが止まりづらくなりますし、アプローチでは穴や砂粒の影響で思わぬ方向にはずんだりします。

　エアレーション作業期間はゴルフ場によって異なりますが、穴を開けてからふさがるまで1～2週間かかることが多いようです。そしてエアレーション作業を開始するタイミングは気温が関係しているらしく、ある日突然始まる印象がありました。

　4月に入って暖かくなり、ゴルフに最適なシーズンかと思いきや、コースに出てみるとグリーンが穴ぼこだらけで、「なんだよ。聞いてないよ！」と憤るゴルファーが後を絶ちませんでした。

　ゴルフ場もお客さんから文句をいわれるのはイヤなので、エアレーション作業を実施する時期をホームページなどで告知するようになりましたが、それを見ていないゴルファーには伝わりません。

　ラウンド当日にマスター室前で「本日はエアレーション作業中です。ご迷惑をおかけしますが、ご理解とご協力をお願いします」という掲示を見かけてガッカリするゴルファーは今でも多いです。

　筆者は仕事柄、ゴルフ場関係者の知り合いがたくさんいるので、エアレーション作業を行なわなければならないことは理解しています。ただ、昔のゴルフ場業界は「エアレーション作業を実施する時期をゴルファーに告知する必要はない」と考えているフシがありました。

　そのことに対して筆者は「コースコンディションがこれだけ変わるのであれば、エアレーション作業を実施する時期をゴルファーに告知したほうがいいのではないか」といい続けてきました。

　ちょうどそのタイミングで外資系企業が日本のゴルフ場買収合戦を始めました。米国ではエアレーション作業を実施する時期を告知する文化があったらしく、彼らを中心に告知するようになりました。昨今は多くのゴルフ場がエアレーション作業の実施時期をホームページや公式SNSで告知しています。

　エアレーション作業は春だけでなく秋にも実施するゴルフ場があります。近年は9～10月も暑い日が続くことが多いので、秋のエアレーション作業は事前告知が難しいかもしれませんが、それでも予約前に問い合わせればエアレーション作業を実施する可能性があるかどうかは教えてくれると思います。

　したがって、どうしてもエアレーション作業中のゴルフ場でプレーしたくない人は、事前に調べれば避けることができます。