- ゴルフのニュース|総合ゴルフ情報サイト
- 記事一覧
- ゴルフの豆知識
- 「グリーンが速い」って本当はどういうこと!? 転がりを決めるのは「フィート」だけじゃないって知ってた?
クラブハウス内やコースへの出入り口付近には、当日のグリーンのコンディションが書かれたボードが掲示されていることがありますが、グリーンの速さはどのように調節されているのでしょうか。
季節や芝の状況によって少しずつ作業内容を変えながら速さをキープ
クラブハウス内やコースへの出入り口付近には、当日のグリーンのコンディションが書かれたボードが掲示されていることがあります。「刈り込み高さ」や「スピード」といった情報が記載されているのを見たことがある人も多いかもしれません。ボールがスムーズに転がるグリーンが好まれる傾向が強いため、なかでもスピードは重要です。

日によって速さは微妙に変わりますが、どのような方法で調整されているのでしょうか。ゴルフ場の経営コンサルティングを行う飯島敏郎氏(株式会社TPC代表取締役社長)は以下のように話します。
「グリーンのスピードを調整する方法は主に3つあります。まず、グリーンは営業開始前に毎日手入れがなされていることからも分かるように、コース内の他の芝地よりも短く刈り込むことによってスピードを確保しています。例えば、同じ坊主刈りをなでるのでも、短く刈ったほうが手を動かした時に髪から受ける抵抗は少なく感じるでしょう。芝も同様に、短く刈れば刈るほど葉先が立ってボールが転がった際に芝から受ける抵抗が減少するので、失速しづらいハイスピードなグリーンが出来上がります」
「次に、決められた範囲内に生えている芝の数(芽数)を適切な数値に調整をします。もしも芝が密集しすぎてボサボサしていると『順目・逆目』といった芝の伸び方にムラが出来やすくなってしまうため、適度に間引くことも大切です。そして、グリーンの地面の硬さである『コンパクション』を硬くすると、ボールが沈みにくくなって表面を滑らかに転がっていきます。ただし、あまりにも硬くしすぎると芝が生育する余地がなくなるので、芝に影響が出ないギリギリの範囲内で地面をローラーで押し固めます」
ボールがどのくらいの速さで転がるかは「スティンプメーター」と呼ばれる器具を使って測定されます。スティンプメーターは「雨どい」に似た形をしており、公式のものは長さがUSGAの規格で3フィート(およそ91センチ)と決められています。
スティンプメーターは片方の端にボールをセットするための窪みが刻まれていて、ボールがセットしてあるほうを上に、そうでないほうをグリーン面に付けた状態で少しずつ持ち上げていきます。すると、一定の角度を超えた時点でボールが自然に動き出してスティンプメーターから転がり落ち、グリーン上を転がっていきます。
そして、グリーン面を転がり始めてから止まるまでにボールが進んだ距離がグリーンの「速さ」となり、例えば3メートル転がった場合は「約10フィート」と計算されます。基本的に、傾斜のない平らな場所で3回同じ作業を行い、平均値が当日の速さとしてゴルファーに伝えられる仕組みになっています。
通常営業の際は「10フィート」が平均の数値と言われていますが、プロのトーナメントが開催される期間はもっと速くなる場合もあり、14フィート以上という場合もあります。
スティンプ「12」、コンパクション「13」の合計「25」がトーナメント基準
また、コンパクションは「コンパクションメーター」(土壌硬度計)と呼ばれる器具の先端に取り付けられた針を地面に刺し、その反発によってバネが伸び縮みした長さで求められます。
「山中式」と「ラング式」の2種類の測定方式があり、日本では前者がよく採用されています。一般的にスティンプメーターで測った数値が「12」、ラング式でのコンパクションが「13」の合計「25」がトーナメント基準とされていて、速いグリーンの一つの目安とされています。
さらに飯島氏は「グリーンのメンテナンスは毎日行われているが、スピードやコンパクションの調整は計画的でなければならない」と話します。
「ゴルフ場の芝も、スポーツターフである前に一つの『植物』ですので、太陽光を浴びて光合成をし、葉っぱの中に栄養をため込んで生きています。そのため、あまりにも短く刈り込みすぎると、養分を蓄えられる部分が小さくなり、健康な状態をキープする力を損なわせてしまう恐れがあります。特に冬場は植物の成長が鈍化しやすいので夏ほど芝刈りは入念にせず、密集度合を調整したり表面を整えたりして、スピードの上げ下げをしています」
「刈り込み、芽数、コンパクションのすべてがそろって、初めてグリーンのスピードがコントロールできるのですが、作業を実施する時期や天候などを考慮したうえで工程の比率を少しずつ変えることが、コース管理者には求められます。また、芝刈り機をかける向きも『1回目は南北方向にかけ、2回目は東西方向にかける』という『ダブルカット』にすることによって芝目が偏らないように工夫しています」
ゴルファーがラウンドを開始したころには既にグリーンの作業は終わっているため、スピードを調整する現場をリアルタイムで見る機会はあまりないかもしれません。しかし、グリーンはゴルフ場の評価を大きく左右する存在でもあり、毎日時間をかけて丁寧にメンテナンスされているのです。
最新の記事
pick up
-
ナイスショット連発で上重アナも仰天!? キャロウェイ「ELYTE」シリーズをラウンドで使用するとアマチュアにとって大きな恩恵が!<PR>
-
【連載コラム】なぜフォーティーンのクラブは人を魅了するのか? 美しいフォルムに宿る揺るぎない性能・その秘密を開発者に聞く<PR>
-
クラブと体の「接点」は重要! テーラーメイドのツアーボール「TP5」「TP5x」と「プレイヤーズ グローブ」は細部までこだわった逸品<PR>
-
今より「2センチ小さいサイズ」を試すべき!? 新品ゴルフグローブを「ピッタリ」で選ぶべきではない理由とは?
-
【クイズに答えて200名さまに抽選で当たる!】Taylor Made Golf(テーラーメイドゴルフ)ボール
ranking